兼題 鳥交る 桜蘂 朧 席題 しやぼん玉 |
東 人 運び込む新の机や桜蕊 木道のずゐまで朽ちて鳥交る 吹き初めはてのひらに乗せ石鹸玉 朧夜や地下の茶房の色硝子 利 孟 尊徳の石の書へと桜蕊 鳥交る弁当箱の蓋の汗 セーラー服の紺のネクタイ桜蕊 湖朧酌婦の話す昔かな 玄 髪 引っ越しの雨疎ましや桜蕊 鼻先を濡らして消えしシャボン玉 奥秩父吊り橋搖れて鳥の声 下駄穿いて湯の町小径朧月 武 甲 友寝入る夜汽車の窓の朧かな 禁猟区わがもの顔の鳥の恋 桜蕊笑み満面の園児行く 希 覯 子 櫻蕊つけて新車の祓はるる シャボン玉吹いて客寄す露店かな 階上と階下世帯異なる朧かな ぎこちなくあどけなくして鳥交る |
千 恵 子 シャボン玉音信途絶えし友のこと 新しき恋語る老妓や桜蕊 をみな等の声美しく鳥交る 朧夜に橋の擬宝珠の在り所 京 子 朧月中天にあり坂の町 鳥交る異国の街の石畳 桜蕊残んの紅と共に搖れ 白 美 児の顔の風神となり石鹸玉 連子窓日差し溢れて鳥の恋 衣冠にも桜蕊降る根津神社 神々も聞こし召したか朧月 内 人 シャボン玉消え去る音のあるやなし 朧月美濃焼の藍確かなり 酒蔵の静かに眠る朧かな 嫁ぐ日の紅うっすらと桜蕊 香 里 酔ひさましもう一まわり朧月 鳥交るささと葉が搖れ立ち留まる 星朧都庁の光だぶりけり 吹く息で大きさ競ふ石鹸玉 |
健 次 親子して大きさ比べの石鹸玉 朧夜の城址に浮かぶ天守閣 朝シャンの香り濶歩し鳥交る 熱燗のうまし宴や桜蕊 英 樹 桜しべ降る北口に待ちわびて リヤカーの花屋が路地に鳥交る しゃぼん玉眼鏡のレンズとれやすき 朧夜のひとり来ている霧笛橋 外 人 彼の君の横顔暗し朧月 子らの声追われて逃げるしゃぼん玉 しゃぼん玉青と緑の君の顔 葉に止まる動くなさわぐなしゃぼん玉 朧月酒と涙と青い海 消えるのをじっとがまんのしゃぼん玉 重 孝 鳥交る軒下借りて雨宿り 朧夜や遠く隔たる我が家路 筵にも賑ひいくつ桜蕊 いつまでもこわれずにいて石鹸玉 千 尋 シャボン玉受くるてのひら血のかよふ 鳥交る影ふくらみし綿カーテン 櫻蕊紅き線描二重八重 朧月狐狸の茵のつと覗き |