134回原宿句会
平成12年8月2日


   


  美穂子
千の手に胴より細り花氷
夕立を言ひ訳にして小半時
再びの間違ひ電話熱帯夜
見つからぬ言の継ぎ穂や秋扇
北斎の波間に飛魚の憩ひけり

  千恵子
大靴の男の走る夕立かな
全身の毛穴ひらきて熱帯夜
一飛びのあとの海原つばめ魚
秋扇拡げて手持ち無沙汰かな

  白美
手も脚もふやけて重し熱帯夜
首筋に残る白粉秋扇
夕立の過ぎて青空藍深め
夕暮の飛魚焼く匂ひ舳倉島

  正
潮風の平戸は飛魚の港町
広重の夕立に山河蘇る
歌姫の胸元ひろき熱帯夜

  武甲
飛魚の島に地鳴りの鎮まらず

  翠月
夕立に出ばな挫かれ飲む珈琲
熱帯夜刻む時計の音哀れ

  和博
病む人の会話の途切れ団扇風
配列は入選句数および特選句数順