千恵子 学童丸てふ渡し船冬霞 色足袋を履きて在所を出ぬ暮し 赤子泣く声近々と寒夜かな 新しき下駄をおろして初大師 正 安曇野の寒九の水で洋酒割る 心中を語る太夫の足袋白し 初大師海岸を待つ達磨たち ヴァチカンの寒夜に祷る修道女 武甲 白足袋を脱ぎて余興の人となる 露店主は子連れ二代目初大師 白美 足袋をはき背筋伸びたる女弟子 金箔の数を競へる年酒かな 川向ふ手負ひの熊の現はるる |
美穂子 初大師片目達磨の睨みをり 白足袋を脱ぎて一日を括りけり 解の無き問ひ抱へをり寒き夜 翠月 冬晴や刷毛を自在の漆塗り 初大師入れる両目の大達磨 和博 初大師鳩は庇を住み処とす 山裾にたゆたふ波か冬霞 明 爪先もしびれる寒波二月堂 冬がすみ棚引く先に今日の宿 |