139回原宿句会
平成13年1月15日

   
 

  千恵子
学童丸てふ渡し船冬霞
色足袋を履きて在所を出ぬ暮し
赤子泣く声近々と寒夜かな
新しき下駄をおろして初大師

  正
安曇野の寒九の水で洋酒割る
心中を語る太夫の足袋白し
初大師海岸を待つ達磨たち
ヴァチカンの寒夜に祷る修道女

  武甲
白足袋を脱ぎて余興の人となる
露店主は子連れ二代目初大師

  白美
足袋をはき背筋伸びたる女弟子
金箔の数を競へる年酒かな
川向ふ手負ひの熊の現はるる

  美穂子
初大師片目達磨の睨みをり
白足袋を脱ぎて一日を括りけり
解の無き問ひ抱へをり寒き夜

  翠月
冬晴や刷毛を自在の漆塗り
初大師入れる両目の大達磨

  和博
初大師鳩は庇を住み処とす
山裾にたゆたふ波か冬霞

  明
爪先もしびれる寒波二月堂
冬がすみ棚引く先に今日の宿
配列は入選句数および特選句秀逸句数順