161回原宿句会
平成14年11月7日


   

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ご興味のおありの方はお探しください



  東人
ときをりは牡蠣を叱りて牡蠣割女
秒読みや棋士の背中の襖開き
散る紅葉眉に紅さす舞妓かな
大門を閉ぢて木の葉の散りかかる

  利孟
襖閉め根の無き松の枝伸ばす
あやかりの掌の入る手締め酉の市
牡蠣舟の小揺れて汐の上り来る
「開店」の札置く小径欅散る

  美穂子
饒舌の舌に冷たき牡蠣啜る
襖背に閉ぢて小声の似あふ部屋
添水打つ音の律儀に詩仙堂
血縁という一点や鵙高音

  千恵子
音立てて見られてしまひ穴惑ひ
絵襖の鷹の目の射る勅願寺
木の葉落ち尽くし寄宿舎長方形
水叩くやうな音して熟柿落つ

  希覯子
西行とおぼしき姿古襖
木の葉散る絵画館前好きな道
塾に行く子のいでたちも冬に入る
牡蠣飯や夫に添へ足す二三粒

  正
高麗寺の門を潜ればゆきばんば
山雲に濤声いたる襖かな
木の葉散る街角に聴く手風琴
牡蠣食むやモンマルトルに酌むワイン

  白美
キャンドルに炎の立ち牡蠣の瑞々し
おたふくの笑みに憂ひや三の酉
唐紙を隔てし部屋の笛の音
エスプレッソの白磁の器木の葉散る

  翠月
菊人形仕上げの酒を吹きにけり
渦の巻く風に木の葉の急ぎ散る
通されし部屋に重みの奥襖
牡蠣鍋や食の豊かな伊豆の海

  和博
喉越しに熱を吸ひとる酢牡蠣かな
マニキュアの両手で開ける白襖
身に入むや我が子の故郷いづくにか
散る木の葉突き刺すやうな喉ぼとけ

  筝円
粗塩で洗ふ牡蠣の身拉致報道
ひと筋に香の流れて冬襖
白菊や周五郎の妻凛として
梢訪ふ屋上に散る木の葉かな