162回原宿句会
平成14年12月5日


   
点盛り表は、リンクをどこかに埋め込んであります
ご興味のおありの方はお探しください



  利孟
遠目良き舞台の衣装年詰まる
前掛けの母の爪立ち聖夜劇
胸探り尻撫でて良き鴨を選る
蔦紅葉ばかり明るき御所の垣
鴨喰ふや封蝋赤き芥子瓶

  美穂子
寒風や頭上まで荷の行商婦
山峡の村の眠れる落葉雨
辛口の地酒一献鴨煮ゆる
近道の上りの続き夕時雨
少女らの組む指白き聖誕祭

  千恵子
書き込みに重なる記憶古暦
鴨煮える音に海鳴り遠くなる
寒風に顔の一角削ぎ落ちる
日の当たる枯れ葦原に釣りの人
胸元にガラスブローチクリスマス

  白美
鬼平の贔屓の店の鴨の鍋
焼栗やダイアナ妃笑む新聞紙
腰繩を打たれし女北の風
早口で続く電話の師走かな
星置きていよよ華やぐ聖樹かな

  翠月
鴨鍋の煮込み指南の婆の声
初霜のベンチに指のあと長し
夕陽追ひかけて尾越の鴨の群
寒風や口に手を当て市の人
ネクタイの気になるクリスマスの夜

  和博
聖夜かな祈り拙き耶蘇の末裔
えげれすと話す蘭人花八つ手
日一日冬日の透ける銀杏かな
寒風や頬つぺの赤き子に会ひて
鍬焼きの鴨の脂に燻る炭

  箏円
製材所の木つ端で星の聖樹かな
朝霧や烏の声の向き探る
鴨鍋の香り信濃の夜を満たす
掻き寄せて身の幅ほどの落葉径
吾を待つ人寒風の中にかな

  正
寒風の沖より戻る大漁旗
大地より身を乗り出して畑大根
シャンゼリゼ聖樹の灯る並木道
夜祭の秩父の坂の人いきれ
教会の鐘や運ばる鴨の皿
 改めて、句の配列について申し上げておこうと思います
原宿句会は第1回からの「原宿句会報」の編集準則として
 1.宗匠戸恒東人の句が巻頭
 2.点盛りでの総合得点(天3、地2、人1)での高得点作者順
 3.作者毎の作品は得点の高い順
 4.総合得点同点の場合は、入会の古い者が上
とのルールによっております
なお、代稽古担当の利孟については、今回は上記ルール2、および4に則り
巻頭となりましたが、「宗匠」として常に巻頭という栄誉はあまりにも
恐れ多いところでありますので、常に巻頭を狙いはいたしますが
原宿句会会員として競わせて頂くことといたします