第169回原宿句会
平成15年7月8日

   
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  千恵子
絶壁を蝶のぼりゆく山開き
七夕や朝夕かはる子の願ひ
職退きてよりの安穏梅実る
昼の月残る丘陵メロン穫る
追ひ山笠に明け初めの空動き出す

  希覯子
生まるるも老いるも木場に竹牀几
銀皿にメロンの冷えの傳はり来
梅を干す唐箕一杯で足りる
浄め水浴びてわれにも博多祭
篤農の禰宜の祝詞や山開き

  正
詰められし瓶に息づく実梅かな
真青なる空に噴煙山開き
山笠駆ける軒先に置く大バケツ
夕風に揺るるうきくさ鏡池
病床のメロンの味の忘れざる

  白美
たくしあぐ法衣の袖や冷素麺
山笠の走りて大蛇猛りけり
病室に色柔らかきメロンかな
母書きし梅酒のラベル字の若き
ヘリコプター今年も廻りて山開き

  美穂子
満を持す山笠に打つ明け太鼓
逆光を影の分けくる夏暖簾
熱の子の唇赤くメロン食む
とりどりの色待ち兼ねし山開き
梅つけて青み帯びたり厨の灯

  利孟
身の幅の蔭拾ひゆく夏日かな
動かぬと見ゆるが消えてなめくじら
支配人よりとメロンに白ナフキン
親の背に山笠追ふ尻の担ぎ縄
梅漬ける海の湿りの塩ふりて

  翠月
二つ割糖の極のメロンかな
世話好きな伯母の教への梅酒かな
夏負けや慈愛の眼のマリア像
逞しき男の肩や山開き
花笠の手振り身振りやみな美人

  武甲
それぞれの思ひ背負ひて山開き
生ハムの塩気和ますメロンかな
山笠の山をたぎらす男意気
七夕や灯りなき夜の反戦歌

  筝円
中陰の満ちたる今朝に出す実梅
自転車で博多山笠ひとめぐり
退院の荷物の中のメロンかな
山開き六根清浄意は知らず
七夕や雨の多摩川越えゆかば

  和博
夕張のメロンに残る鉱山の色
海開きライフセーバー控えけり
町衆の締込みきりり山笠走る
青空や富士五号目の山開き
青天の梅干しの皺深くなり

 比呂史
食べ頃を記念日としてメロン切る
追山笠の熱担ぎ込む櫛田入り
遠乗りの車を洗ひ梅雨晴間
ごみ袋片手に祈願山開き
梅干しを箱に納めて献上す