第190回原宿句会
平成17年4月11日

   
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  美子
片割れといふ別れあり桜貝
浮かれ出て蕎麦屋満席義士祭
花の客の会釈作法のごとくなり
親老いて荒れし測溝すみれ濃し
誰彼となく親しめり大桜

  幸徳
逍遥の先に香煙義士祭
ポケットに忘れた葉書桜貝
甍より流れとなりて花あらし
人送る土手の石段すみれ草
沈丁花ゆるやかに往く終列車

  白美
スコーンやグラスに菫の束差して
            によせう
過去帳に知らざる女性花の雨
たとうれば八百比丘尼桜貝
義士祭や順路通りに墓追いて
人多きところにさらに花見客


  利孟
花屑を掻きて輓馬の喘ぐ坂
花の雨閲覧室に固き椅子
寄せ波の泡の欠片のさくら貝
賽の目の点字ブロック花菫
そのかみに無きてふ蕎麦屋義士祭

  正
三味の音の遠く花散る津軽の夜
地震の地の古き桜のたわわかな
義士祭香煙と人途切れなく
名もゆかし詩歌に詠まれし桜貝
ハイテクの工場の庭に花菫