第197回原宿句会
平成17年11月10日

   
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  利孟
蕎麦掻や残りを計り振る徳利
御降嫁の御列色をかへぬ松
鷹渡る厚き煉瓦の廃兵院
冬に入る官衙に白きビルの群
つわぶきや火袋狭き庭灯篭

  白美
雨戸繰る音の重たき今朝の冬
鵜の瀬過より京への山路鷹渡る
柿剥きて昔語りの始まりぬ
蕎麦掻や色紙のサイン読み解けず
弔問の客の途絶えて石蕗の花

  正
鷹渡る遠流の島の空の色
川の音絶えし山居や冬に入る
東巴文字の荘る庇や唐辛子
石蕗の花沖の一里に帆掛け船
蕎麦掻を好みし父も今は亡く

 直人
蒼穹を一筋に断ち刺羽去る
枯れ色に埋もる庭や石蕗の花
高き実を鳥に残して秋暮るる
蕎麦がきや時に薪足し竃の火
立冬や新刊の書に指を切り

  美子
肉を裂く嘴風を切り鷹渡る
石垣に十字の家紋石蕗の花
掌の油ウエスで拭ひ蕎麦を掻く
陽溜りに混血の猫冬に入る
山廻る径をたどりて水木の実