兼題 十三夜 牛蒡(掘る) 鈴虫 席題 運動会 |
東 人 不器量のなかのあしなが牛蒡かな 運動会消えたる国の旗つらね 人に蹤き路地ぬけてゆく後の月 鈴虫の社宅に嬰の増えにけり 利 孟 賞の字の刷られしノート運動会 十三夜明りを覆ふ操舵室 茣蓙に置くステレオラヂオ牛蒡掘る 鈴虫や警手の揺らす合図灯 白 美 鈴虫や卓にひろがる冷え御膳 牛蒡引く関東ロームの赤き土 湯加減を足でぬるめて十三夜 騎馬戦の鉢巻とばす運動会 美 子 痩せ牛蒡戯れに引く捨て畑 三井寺も石山寺も十三夜 鈴虫の鳴き声踏んでしまひけり 希 覯 子 階上階下に照る照る坊主運動会 霧吹いて鈴虫の鳴き誘ひけり 牛蒡引く夫唱婦随をそのままに 麻雀の誘ひもありて十三夜 |
内 人 北富士や号砲耳に牛蒡掘る 運動会ソ連の旗を探しけり 鈴虫や共食ひの足残る篭 十三夜解ける帯のささめごと 外 人 運動会横見て走る一年生 コース沿ひカメラも走る運動会 源平の池の水面の十三夜 藤棚のすず虫の声数いくつ 英 樹 笹掻きの水に真白き牛蒡かな 日々に減る篭の鈴虫高鳴けり 女教師の声が華やぐ運動会 泣き真似の娘の肩を抱く十三夜 瑞 夫(岩佐) 十三夜ふと一葉が偲ばれる 病癒えぬ妻と語らふ十三夜 詫びごころボトルに託す月句会 秋の夜のボトルをなかの句会かな |
千 恵 子 鈴虫や家うち寝息に満たされて 十三夜女やさしき眉持てり 確かなる腰もて女牛蒡引く 運動会果てたる庭に犬の佇つ 健 次 組みし腕ぬくもり伝はる十三夜 児童より多く親あり運動会 地下駅の風物となり鈴虫も ごぼう引く皺を刻みし顔の汗 武 甲 新妻のマニキュア眩し十三夜 我が子撮るビデオの走る運動会 偏差値に一喜一憂十三夜 鈴虫や靴音乾く家路かな 千 尋 鳴き納むすずむしの闇ほの白き 朝風に耳そばだてて運動会 ハイウェイを並んで飛ばす十三夜 す巻きにし新聞紙ごと土牛蒡 |