兼題 鯊 秋茄子 爽やか 席題 夜食 |
東 人 漬梅をかりかりと噛む夜食かな 弟子捨てて俳誌終刊秋茄子 掌に受けて鯊の甘露煮熱きまま 爽やかやガッツポーズの細き腕 千 恵 子 夜食とる工事現場の国訛り 秋茄子や鉄漿もいる写真帖 婚告ぐる便り爽やか楷書体 遠見れば小舟ばかりの沙魚の秋 英 樹 ちぎり絵の屑膝にある夜食かな 秋茄子の土のほてりに輝けり 爽やかに鐘打つ僧の飛び上がる 鯊釣りや最終便の船が来て 希 覯 子 爽やかに岩崎恭子笑みにけり 爽やかやドレミファ橋を跳び渡る 秋茄子や支柱の竹に牡蛎の殻 毎日が日曜となり沙魚を釣る 白 美 秋茄子やさふらふと結ふ祖父の文 天婦羅油撥ねどよめきの沙魚の舟 夜食待つ時の余りて葉書書く 背鰭張る沙魚の命や釣りの糸 |
美 子 帆に受けし風直角に爽やかに はたはたと国旗鯊釣日和なり 鯊釣りの父童顔になり帰る 客ありて三日秋茄子採り忘れ 重 孝 釣り人に上目遣ひの魚篭の沙魚 爽やかに楕円飛翔のグライダー やるまいぞ厨廚の篭の秋茄子 チャルメラの音近付きて又夜食 千 尋 逆立ちになり大空の爽やかに 一畝の畑にぎはして秋茄子 モグモグと口だけ動く夜食かな 言付けにくるみし沙魚の五尾十尾 利 孟 書き込みの増える楽譜や夜食摂る 秋茄子をもぐ手に皮のきしみかな 鈴仕込む金のスカラべ爽やかに 沢庵の飯に染む色沙魚日和 京 子 糠床の夢より醒めて秋茄子 颯々と風をまとひしさわやかさ 紺の色かくも艶なり秋茄子 |
玄 髪 爽涼や痩せ馬が行くおらが村 ベランダの俄かづくりの秋茄子 昼下がりぶらり本牧沙魚日和 冷蔵庫の奥まで探る夜食かな 香 里 さわやかにテニスボールの返す音 秋茄子を塩もみする手染まりけり さやけくてビルから望める東京湾 明 義 さわやかや磯皓々と浜の月 秋茄子の肌照り映えて網の上 さわやかや雲足早に月が冴え さわやかに網戸を越えて夕の風 |