兼題 鮟鱇 霧氷 ラグビー 席題 大寒 |
東 人 孵し合ふごとく球出しラガーメン 鮟鱇の腑分けの出刃を逆手かな 大寒や碑文に痩せし北魏の書 甲斐の風武蔵の水の霧氷かな 利 孟 大寒や墨の艶増す護符版木 得点のボール置き去るラガーかな 鮟鱇鍋帳場の壁のファクシミリ 雲の来て霧氷の種を蒔きにけり 千 恵 子 円陣のラガー獣の如く吠え 大寒や爪切る音のよく響き 吊るされて鮟鱇ますます不器量に 月光に霧氷蒼めく川辺かな 千 里 朝日吸ひふくらみ落つる霧氷かな 空の色映して咲けり霧氷林 鮟鱇の吊るされ凍てし大目玉 ラガー等の去りしグランド白き線 |
白 美 首筋に風の錐もむ霧氷かな ラガー等に八頭身は見当たらず 大寒や癇強き子の投げし独楽 鮟鱇の肝は別との肝嫌ひ 美 子 仰向けの鮟鱇の腹競り落とす 天と地にラグビーの球突き立てる 一村の音閉じ込めて樹氷群 吊るされし鮟鱇の貌強かに 英 樹 例会は鮟鱇鍋と決まりけり 日当たりて金の襖の霧氷林 ラグビーの薬缶の水に立ち上がる ラガー等の互ひのシャツを交換す 法 弘 大寒や留守番電話が吐く罵声 樹氷林に日矢の撩乱かぎりなし 鮟鱇の顎ばかりが残さるる ラグビー見る新宿二丁目の酒場 |
玄 髪 大寒や思ひもかけぬ訃報着く 月遅れニュース9に霧氷咲く 鮟鱇の鍋遠ざかる不況かな ラガー等に我子夢見し多摩川原 明 義 鮟鱇鍋グツグツ煮えて足くづす ラグビーや骨軋ませて息荒し 大寒や被告の友がうなだれて 軒下に鮟鱇鍋の墨書跡 希 覯 子 民宿の主人は漁師綬魚料理 ラガー観る青春遠く去りにけり 大寒や放置クレーンの赤ランプ 霧氷観る旅の誘ひの電話来る 梅 艸 その前に笛ラガーなお疾駆せり 鮟鱇や無名の夜の鍋の底 鮟鱇をさばく合羽の腰回り 白骨の手踊りもあり樹氷林 |
浄 駆り出され喪服襟立て鮟鱇鍋 藤一と寺一の活躍遥かラグビー場 息切れて大の字に寝る樹氷林 香 里 ラグビーの歓声響く絵画館 大寒や電車の中で汗をふく ラグビーの券と席番合はせ見る 鮟鱇の肝で一杯舌鼓 武 甲 ラグビーの悲喜こもごもにノーサイド 鮟鱇を吊るす老舗の句会かな 林間に宝石散らす霧氷かな |