兼題 梅雨 ハンカチ 扇 席題 明易し |
東 人 早送りできぬBS明易し 白扇をほどきて闇の香を入るる ハンカチの染みに憶えの課の旅行 梅雨寒や音飛びとびのプリンター 英 樹 梅雨に入る荒磯の果ての捨てバイク 山水に旅のハンカチ浸しけり 幕間の白扇使ふ男役 白扇を膝に一ト打ちして開く 千 恵 子 さり気なく女の意地や白扇 祖母の忌や手熨斗で伸ばすハンカチーフ 明易し人語ひそひそ通りけり 軒下に寄り添ふ猫や梅雨しとど 武 甲 白扇を煽ぎ捨身の石を打つ ハンケチを翳して駆ける通り雨 短夜や兼題三句成り難し 敷石の色艶増して梅雨来たる |
美 子 寝たる児の顎が銜へる汗拭 梅雨寒や鴉の声の先細り 教官となりし夫在り明易し 隣席の人の扇の風貰ふ 法 弘 梅雨寒し棹にはりつくデモの旗 短夜のいよよ短し妻を得て ハンカチやひとしきり泣き「さて実は」 扇よりさざなみ立つは余呉の湖 利 孟 梅雨晴間腹で抱へて花の鉢 明易の鉄橋に燈の寝台車 上着より抜きしジタンと新扇 応援の隅止めかぶるハンカチーフ 白 美 明け易き天窓に入る鳥の声 白扇の揺らぎて碁盤暮れ泥む 小半時たたずみて待つ梅雨の恋 夜半洗ふハンカチ君に借りしもの |
健 次 梅雨寒や食管制度の座談会 ハンカチも並べ干したりホームレス 噺家や変幻自在の扇子持ち 明易し中学受験の合宿所 京 子 濃くうすく縞目を描く走り梅雨 残り香は隣座席の絹扇 手の中のハンカチ紅し言葉待つ 千 里 梅雨の夜の秒針のろき置時計 角取りに待ったと言へず扇さす 青水無月水藻うごめく水面かな 短夜や妻の寝息に耳澄ます 萩 宏 入梅や古刹の甍くろぐろと ハンカチの汚れ知らずやガキ大将 明易しさへづり誘ふ木立かな 帯にさす細身の扇すすむ盃 |