兼題 四月馬鹿 ヒヤシンス 春昼 席題 囀り |
東 人 路地裏はいつも日の底ヒアシンス 囀の輪の端に坐し吹かれけり 頂きものいずれも酢漬け万愚節 春昼や子は親よりも律儀にて 千 里 春昼や二つ耳浮く河馬の池 飯盒のふつくら飯に百千鳥 うらやまし姉さん女房四月馬鹿 切らんとす髪も思ひも四月馬鹿 法 弘 春の昼軒すれすれをゆく都電 囀りや庭先に伏す石の臼 子の影の頭でっかちヒヤシンス 死にたいと言へば死のうと四月馬鹿 京 子 眠る嬰の手足のくびれ春の昼 春昼やジャズを低めの美容院 万愚節五分遅れの花時計 気まぐれに子の埋けをきしヒヤシンス |
白 美 囀りや地上に繋ぐ熱気球 ヒヤシンス窓に象飛ぶ歯科医院 四月馬鹿積み上げている超高層 春昼や胸よりはずす検査管 英 樹 万愚節風呂屋に水中眼鏡の子 春昼や傾き癖の掛け時計 ヒヤシンス夜に屋根を打つ通り雨 春昼や玻璃の震へし銃砲店 美 子 春昼や煮烏賊の目玉噛み損ず 囀りや選ばれし木の沈黙す 体形はアジア原産ヒアシンス 嘘を吐く体力萎えし万愚節 千 恵 子 春昼や瞼重たき佛達 掌の中に篭の鳥入れ万愚節 囀りや鳥語を聞くといふ話 間も色も程よく並びヒヤシンス |
希 覯 子 側室の墓荒るるまま百千鳥 春昼やシルバーパスの客多し 栄轉や左遷の辞令四月馬鹿 玻璃鉢は水垢曇りヒヤシンス 杜 子 棒読みの昇進辞令万愚節 囀りの寄す前方に後円に 「はつ恋」のちぎれしページ風信子 うたた寝の口の乾きや春の昼 利 孟 止めてまた鳴り出す時計万愚節 剃り残し探る指先ヒアシンス 春昼の風に乾かすショートボブ 囀りや駆けて降り立つヘリコプター 武 甲 南窓の主顔してヒアシンス 朗々とけいこ三味線春の昼 四月馬鹿匠より「天」を貰ひけり |
梅 艸 嘘一つつくでもなくて四月馬鹿 萩 宏 万愚節幼馴染を思ひけり 伸 作 白い髭ガラスが似合ふヒアシンス 春の昼地図になき畦影を追ふ 赤と黒童囀るランドセル 四月バカ女房だますも無視をされ |