兼題 仏桑花 新茶 労働祭 席題 初鰹 |
東 人 音たてて湯に縒りを解く新茶かな 鎌倉に禅寺多し初鰹 そのなかに犬に蹤く人労働祭 芯伸べて日の行方追ひ仏桑花 白 美 骨太の指が捌きし初鰹 島民の睡れる真昼仏桑花 白薩摩に色を深めて新茶かな 公園の座を取り合ひて労働祭 希 覯 子 鉢巻に威勢みなぎり初鰹 メーデーの列割り通す郵便車 走り茶や狭山の友の律儀なる 沖縄に慰霊の旅や仏桑花 利 孟 メーデーや警官の手の区分地図 走りの茶おもむろに浮く台秤 身を支へはばたく蝶や仏桑花 雄雌の味の好みや初鰹 |
京 子 新茶淹る母の好みの湯の加減 ハイビスカス飾り色濃きカクテール メーデーの列に加はり乳母車 千 里 眉太き神父の胸に仏桑花 七回忌思ひ思ひの新茶かな メーデーや乙女の素顔赤みさす ジーンズのお尻の位置に仏桑花 伸 作 湯上りの男子すつくと初鰹 減給やメーデー遠くなりにけり ハイビスカスつけてフラ舞ふ老人会 美 子 新茶呑む年ごと脆くなる野心 風化する手配の写真仏桑花 メーデーや眉尻を濃く描き上げて 人心地つく初鰹買ひ終へて |
千 恵 子 仏桑花石垣続く島の家 初鰹質屋の妻の長電話 ごみ篭に烏群れゐる労働祭 新茶飲む不眠の夜の続く朝 梅 艸 新茶まづ縒りの固きを愛でるかな メーデーや移ろひしもの去らば去れ メーデーや年に一度の「労働祭」 玄 髪 送られし新茶をめでるたなごころ 若き日が脳裡をめぐる労働祭 白髭にむらさき染みて初鰹 わが部屋に月下美人の咲ける夜も 法 弘 ハイビスカス挿しつつ嘘をつく女 新茶嗅ぐ鼻梁の脇のうす黒子 「二の腕の美子でござい」メーデーへ |
萩 宏 初鰹出刃を研ぐ背に酒一本 メーデーや日当替はりのサンドイッチ 珈琲をしばらく休む新茶かな 忍逢ふハイビスカスの映える宿 |