兼題 天道虫 海霧 青梅 席題 首 |
東 人 別という名の駅つづき海霧深し 天瓜粉首の括れの胡麻をとる 天道虫星の数ほど恋をして 成り年のとりわけ赤き実梅かな 千 恵 子 雨意ありて天道虫の動かざる 脱けさうで脱けぬ木偶首万太郎忌 海霧深し父の形見の旅鞄 昨日落ちしままに青梅色づけり 健 次 てんと虫畳み損ねの薄羽見せ 首長去り都市博跡に西日射す 海霧ごしに手負ひの武者の影法師 淡々と地面にころげし青梅や 希 覯 子 天道虫鎧に散らす紋所 海霧晴れて利尻の富士を目のあたり 籠に満つ実梅に葉つきありにけり 棟上げの首尾上々に梅雨晴れ間 |
京 子 海霧をまつ毛にのせて父帰る 梅の実やどこにもゆるみのないまろさ 首置かぬマヌカンの着る花浴衣 天道虫飾りのピンに成りすます 千 里 亡き人の姿を海霧に挙手の礼 海霧が出て島を丸ごと連れ去れり 実梅落つ龍角散の苦さかな 濡れまいぞ葉裏を傘に天道虫 背を向けしB型どうし青き梅 美 子 実梅落つ夜討ちの記者の来る予感 幼子の爪切る縁に天道虫 千 尋 梅の実やぐらりゆらりと瓶の底 青梅や大河小説「完」の文字 錆び釘のあたま避けゆくてんと虫 |
白 美 海霧深し運河に滲む停泊灯 焼き上げし不揃ひの菓子てんと虫 首塚に訪ふ人のなし炎天下 目計りで瓶に転がす実梅かな 伸 作 たち込める海霧汽笛さえのみこんで ラムネ飲む音のなつかし壜の首 水滴をはじく青梅越しに虹 うたたねの汗ばむ首に天道虫 法 弘 夏至の夜や乳首に銀のピアスして 出棺や葉裏へ回る天道虫 実梅洗ふ母の手首の輪ゴム跡 ここは横須賀KISSに濡れ海霧に濡れ 博 道 海霧に射す灯に向けて櫂を漕ぐ 青梅の香に誘はれてひとかじり 襟首の長き髪あげ夏祭 手に留まる天道虫とひと休み |
武 甲 海霧や指令飛び交ふ操舵室 てんと虫帰宅せし子の襟にをり 短夜やハリファックスに首懸ける 落梅や隣家に伸びし去年の枝 義 紀 香水や夢二の女首長く 青梅落つ小学生の一群に 左中間天道虫が飛び抜けり この恋の行く末まるで海霧のごと ま り も 梅雨晴れに色変えたくなる犬の首輪 |