兼題 秋の水 雷鳥 アキレス腱 席題 虫 |
東 人 島のごとく魚影黒ずむ水の秋 秋の蚊のアキレス腱を刺しにけり 音の合はぬ虫のすだけり永田町 鳥も寄りつかぬ雷鳥監視員 千 恵 子 聞き分けつ聞き分けかねつ虫の闇 解剖図照らす満月アキレス腱 雷鳥にやまびこ返る静寂かな 引く水脈のゆるむ早さや秋の水 健 次 角切りや踏んばる勢子のアキレス腱 笹舟の船足早し秋の水 北岳の雷鳥語る父は老い 虫しぐれ静まり人の来るを知り 白 美 雷鳥や肩に重ねる子のリュック 水澄みて投網高々はねあげて 鈴虫や言葉余して封を閉づ 体育の日まだしたたかなアキレス腱 |
法 弘 きしむ櫓の渦の巴に秋の水 虫鳴くや背中あはせの墓の間 らいてうや女も登るけものみち 涼しさよ番町お菊のアキレス腱 京 子 堰に入るまでのやすらひ水の秋 雷鳥の羽色淡める山の風 運動会並ぶ稚なきアキレス腱 義 紀 身に入むやアキレス腱の古き傷 霧の尾根より雷鳥が飛び出だし 白玉の酒にホロ酔ひ虫の夜 秋水や湖底にアキ缶赤き文字 利 孟 牛小屋の裸電球虫時雨 秋水の桶に糶られて錦鯉 雷鳥の濃き霧といふ檻の中 朝秋の矢場黙礼のアキレス腱 |
美 子 魚の膚癒して迅し秋の水 雷鳥の夜は月光の色となり アキレウス腱を浸せり秋の水 希 覯 子 黄金の鯉太りけり秋の水 爽やかやアキレス腱の予後もまた 虫時雨無人の駅の燈暗し 探鳥や雷鳥姿無きままに 香 里 秋水の岩すれすれにカヌー漕ぐ 澤の井の仕込み始まり秋の水 虫時雨我声よりも大きけり 雷鳥の声する方に姿なし 萩 宏 雷鳥や雲の動きに目もくれず 暴走の爆音過ぎて虫の声 水澄みて君の瞳に僕がいる 棒倒しアキレス腱を引き落とし |