兼題 秋思 種茄子 小春 席題 どんぐり |
東 人 団栗を踏みて別れの記憶など 土に寝て青を失へ種茄子 文読んで秋思の闇をふくらます 肩を抱きしめて眩しき小春かな 蜜蝋の封書の中の秋思かな 利 孟 手を掛けぬことが手入れの種茄子 鉄瓶の蓋の鳴り出す秋思かな 団栗の袴を猪口におままごと 小六月チョークで今日のスペシアリテ 波寄する音に泡立ち葦の花 白 美 小春日や花いろいろの菓子木方 甚六の名を欲しいまま種茄子 立秋や老いの瞳の澄みわたる 検閲印捺されし古書の秋思かな 団栗の拳に入る五つほど 千 恵 子 団栗を掌に盛り上げて思案の子 農を継ぐ子のある話種茄子 刈り終へし田に一礼の農婦かな 灯に入るを見てゐて不意に来る秋思 寝ころべるベンチの温み小六月 |
梅 艸 小春日の形正しき紫煙かな 銭湯の小銭数へる日の秋思 血中のアルコールほどの我が秋思 種茄子や所在なき紺のDNA 希 覯 子 種茄子と覚しき株の縄囲ひ 川隔て手話の少女の小春かな 種茄子のどつかと坐る藁褥 歩け会団栗拾ふ閑を呉れ 各停の電車に秋思つくしけり 香 里 バス停をひとつ先まで小春かな 一人聴くユーミンの曲秋思かな 立ち止まるウィンドウの色小春かな 笙 サラセンの王の紋章秋高し 太らせて色の錆びゆく種茄子 こまごまと便りしたたむ小春かな 山の根に灯一つ秋思かな |
萩 宏 横町に軽き秋思の地蔵尊 団栗の意志なき方へ転びけり 土間に置く団栗集めし竹の篭 種茄子や父の回復願ふ母 小春日や今日は休みしダイエット 健 次 千年の壁画を前の秋思かな 小春日が続けば時は進まざる 団栗の蔕を並べておままごと 今はただ心を癒す小春空 法 弘 観覧車真昼の位置にゐて秋思 古代裂に包みし玉のごとき小春 けふことに荒るる山風里神楽 有線の三時の時報種茄子 小春日を母とも母を小春とも 美 子 種茄子の有らん限りに太りけり 小六月犬のストレス癒しやる 昨日泣き今日笑ふ母秋思濃し 白鳥の戻りて光増す川面 肩と胸地表に出して大根立つ |
正 小春日や懐かしき歌口ずさむ 珈琲に夢ふくらます今朝の冬 首傾げモディリアーニの秋思かな 選びたき人は遠くに種茄子 ころころと団栗転げ子も転げ 健 一 浜畑の風に種茄子太りけり 団栗の両手に拾ふ夕の道 茶の花のまちまちに咲き畝の裾 ロックの音流るる街の秋思かな 山道に葉の散る先の小春かな |