兼題 くづ餅 早乙女 卯の花 席題 今年竹 |
東 人 葛餅や吉野古道に落胤誌 姉追うて蛍の闇にありしこと 卯の花や声で球呼ぶ外野の子 早乙女に携電の鳴る棚田かな 脱ぎ終へて七日の竹の風さそふ 正 金印の埋もれし島や花うつぎ 新緑やハイドパークの蹄跡 学び舎の隣に伸びし今年竹 葛餅に引かれて大師詣かな 早乙女の真白き肌に神も墜ち 白 美 回廊の柾目の柱若葉風 彩色のあせし看板くづ桜 腕まくり足まくりして潮干狩り 早乙女が助手席に乗りライトバン 卯の花の匂ひて旅の終りかな 法 弘 竹皮を脱ぐや妙義の山の前 早乙女の尻が丸く濡れてをり 蝶一枚はるかに渡る溶岩大地 嬬恋は終着の駅花卯木 葛餅や芸妓の素顔幼くて |
利 孟 早乙女の手を貸し合うて田に下りぬ 脱ぎ切れぬ皮を揺すりて今年竹 卯の花や朱に点り初む水銀灯 くづ餅の厨訪ふ風蔵む 海色の皮引き残る初鰹 千恵子 竹林に皮脱ぐ音や昼の月 箱膳に祖母の名前や葛桜 童貞を捨てし日のこと椎若葉 卯の花のこぼれる闇に人の声 早乙女の尻隆々と昼の月 義 紀 若竹や生傷絶えぬ吾子の脛 また増えし休耕田や田螺鳴く 卯の花や子を叱りをる母の声 葛切を横目に暗き路地に入る 母から娘へと早乙女の赤襷 美 子 五月女の神の産土踏みて舞ふ 足裏の壺の激痛躑躅燃ゆ 葛餅の皿の遠くに猪牙の舟 亀石の碑に浸み通る若葉かな |
希覯子 篤農の父祖三代や卯木垣 早乙女と呼ばれて齢思ひけり 葛餅や辨殻格子磨き減り 母の日や二寺を巡りて句三昧 少年よ大志を抱け今年竹 健 一 今年竹風に背筋を伸ばしけり 葛餅や帰りに渡る太鼓橋 早乙女の髪掻き上げる白き腕 牡丹の蕾ほんのり覗く紅 卯の花の小屋を覆ひてこぼれけり 香 里 花卯木うす暗き家に帰りけり 早乙女や水かさ増して土にほふ つるるんと葛切喉をとほりけり 早乙女や白き脚絆に泥はねる |