兼題 昼顔 あめんぼう 父の日 席題 梅雨入り |
東 人 黒南風や一反五畝の海女の畑 輪に散りて楕円に戻り水馬 異動先わからぬままに梅雨に入る ゆらゆらと風に色づく浜昼顔 父の日や父に臙脂の蝶ネクタイ 法 弘 涼み舟ゆれて揺るがぬ舟徳利 父の日や爪の割れ目の油染み 天下布武争ひし川あめんぼう いのちなきものに昼顔すがりけり 犬同士顔見知りなる避暑地かな 利 孟 昼顔や英語併記の基地の塀 往き戻る象の薄目や白日傘 あめんぼの総身の貧乏ゆすりかな 父の日の午の銀座の獣径 シーサーの吠えかかるかに梅雨に入る 希覯子 海難碑浜昼顔の多きかな はかどらぬ橋脚補強梅雨に入る ぢぐざぐに遡る智慧持ち水馬 拝殿へ額くまでの日傘かな 父の日や娘二人の果報とは |
白 美 梅雨入りやかすれかすれのボールペン 父の日や黙々むしる庭の草 雨足に追はれて早きあめんぼう 昼顔の絡みて柘植の華やげり 朝顔の双葉に測る系のいろ 千恵子 海昏れて浜昼顔も眠りけり 折れさうな四肢踏ん張つて水馬 新居まだ片づかぬまま梅雨に入る 黒南風や真珠筏は沈みがち 父の日や父知らぬ子も父となり 正 父の日のネクタイ選ぶ茶髪の娘 何処とも厠の匂ひ梅雨の入り 川風や御輿をかつぐピアスの子 晝顔の家の中より夜想曲 水馬凱旋門のドライバー 美 子 山開き魔女の瞳の濃き緑 梅雨の入り床屋の犬の伏目がち 父の日にいとえを紛ふ国訛り ぎりぎりにこそげて立てり水馬 昼顔や大型店の地鎮祭 |
梅 艸 父の日や万年床の煙草盆 浜昼顔他愛なき会話途絶えけり 父タルヲ辞ス父の日の貸ビデオ 古池の底の水馬の溺死体 萩 宏 傾斜とは無縁の日々や水馬 昼顔の色奪ひたる黒き雲 梅雨に入る庵の壁の白さかな 父の日のセールの札の破れけり 昼顔や海への歩み止めにけり 健 一 水馬飛び戻るたび仲間増え 雨垂れの小石を撥ねて梅雨に入る 昼顔の朽ちたる柵にそろひ咲き 父の日に変へる掛軸父匂ふ 夏の山群れなす水の沢下り 笙 めばる煮る大鍋の蓋踊らせて 昼顔の淡きねぢりに時刻む 父の日に贈りしパイプ残されて 川の面に六つの笑窪水 |
義 紀 飽きもせで石を投げし日水馬 捨てやうか古りし白靴遠き恋 昼顔や遠き友呼ぶ漁師の子 父の日のなぜふことなく果てにけり |