兼題 原爆忌 凌霄花 玉蜀黍 席題 羅 |
東人 命なきものの影濃し原爆忌 羅や紅うすくひく昼の席 半生は後家を通して凌霄花 唐黍の芯は捨てられ敗戦日 テーブルに並ぶナプキン蝉時雨 健一 黙祷のサイレン長き原爆忌 たまさかに紗を着こなせり夜の道 夏帽子鏡の前の被り初め 唐黍の穂波の続く村はづれ 凌霄の群がり咲きや寺隠す 千恵子 抽出に動かぬ時計原爆忌 もぎ取りし玉蜀黍の薄湿り 凌霄や片蔭続く旧街道 羅や女五十の疲れ見せ 愛語聞く眼に蛍光らせて 希覯子 お手植えの松を縛りて凌霄花 凌霄花物干し男女別 唐黍を食みつつ歩く北の旅 あまたなる友の逝きし日原爆忌 羅や聖像前もはばからず |
正 羅の歌姫に逢ふ楽屋口 夢千代の日記に残る原爆忌 ざはざはと玉蜀黍畑を風渡る 万緑の水に溶け入るドナウ河 楽劇のプリマ思はす凌霄花 利孟 髭噛みしまま唐黍の茹で上がる 品書きの壁に鋲止め凌霄花 フラッシュで和らげる影原爆忌 羅や赤坂辺り灯の入りて 甲羅干す乳房両手に抱へ込み 龍堂 石笛を吹きて縄文夏祭 水底の石を棲み家に鮎憩ふ もぎたてのとうもろこしが馳走かな 十六夜の人の言の葉やわらかき 彷徨す御魂鎮めむ原爆忌 笙 原爆忌島を二分の滑走路 浜風に顔をそむけて凌霄花 汗取りの薄紅にほう薄衣 大没日墓地は坂道蝉時雨 背伸びして未だ実らず玉蜀黍 |
義紀 黙祷の球児のニキビ原爆忌 サングラス女の煙草細きかな 噴水や未来を語る二人居て とうきびや海は広いな大きいな 凌霄や廃線決まりし無人駅 白美 嬰児の油團で寝入る昼下り 凌霄花歌舞練場の桟敷拭く 掌を零れる水の原爆忌 とうもろこし皮の隙き間に入りを見る 羅をはおりて闊歩遊歩道 |