兼題 端居 白玉 天牛 席題 海開き |
東人 巫の笏もて泳ぐ海開き 白玉や古地図に墨の行者道 天牛の角つき合うて瓶の中 日傘差す主は和服着給へり 前山の風にこごえし端居かな 白美 海開き足首飾る金鎖 白玉や金箔散らすお品書 端居して想ひのたけは闇に沁む 夕暮れて隣り家訪ふ釣忍 天牛やきりきり鳴いて空の鉢 利孟 天牛の攀ぢては鳴らす窓硝子 風捉へやすきパレオや海開き 陽に縮み風に細りて干しかんぺう 水で艶くれては丸め白玉よ 値踏みする目で人を追ふ端居かな 笙 切れぎれの野球中継端居かな 梅雨晴れやようよう決まる出勤着 鳴き交す声の途切れず遠蛙 ひと所くびれのありて鮎の川 白玉のつつましやかな甘さかな |
千恵子 海開き祝詞は波にのまれがち 風だけに心許して端居かな 白玉のつるりと滑る喉の奥 豆腐売る声の間延びや梅雨晴れ間 天牛の鳴くやギイギイ國返る 希覯子 芙美子忌や瀬戸内海は橋伝ひ 白玉や益子の壷の和三盆 海開き縄囲ひして地割り済む 夕端居振子時計の刻告ぐる 発見は天牛虫のジュース好き 正 端居してグリークを聴く今宵かな 新聞に髪切虫や胸騒ぎ 鈴の音やチロルの丘の青嵐 初恋の破れし浜や海開き 白玉や肌柔かき京女 健一 天牛の動く大あご飽きぬ暇 白玉の一匙ごとに震へをり 白日傘まとめる髪の白リボン 旅ごころ空港ロビーの端居かな |
健次 子供らの遊ぶ声なき端居かな 網寄せて天牛虫の角動き 嬌声やしらたまひさぐ店があり |