第207回四天句会
平成18年9月7日

   
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  正
大雁塔望む旗亭や酔芙蓉
扁額の文字のかすれや涼新た
秋分やはや灯を点す山の宿
ナシ族の軒端に吊るす唐辛子
枕辺に高き虫の音山家集

  比呂四
秋分やお西お東本願寺
柔らかき風に遊ばれ酔芙蓉
惑星の一つ減らされ残暑かな
新涼や捲り上げたる袖戻す
唐辛子陽射しまともに逆立てり

  武甲
甘露煮の骨のほろりと秋彼岸
ジョギングの後の人の輪酔芙蓉
長月の朝に取り合ふ号外紙
お湯割りのグラスで泳ぐ唐辛子


  美子
芙蓉咲くや白き紬に袖通す
熟れ切って天井守の剛き赤
空と海つなぐ七島秋の潮
新涼や男子新宮生まれけり
秋分やガラスの花器を仕舞ひけり

  直人
蜩や母の弱音を聞き流す
先斗町路地の奥なる酔芙蓉
新涼や伯母急変の電話鳴る
色づきし唐辛子採る手篭かな
秋分のあと一献をご先祖へ