第266回四天句会
平成23年10月4日(火)

   
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兼題 霧 栗 風炉の名残



  比呂志
風が塵吹き寄せ風炉の名残かな
疾走の揺れなき「はやて」鰯雲
おかつぱの髪ふわふわと栗拾ふ
上り来る霧は吾が身をすり抜けて
刈り取りて荷台に山をなして蕎麦

  恵一
鳴く牛を荷台に載せて霧の中
蕎麦刈るや那須野ヶ原にひかり充ち
栗笑むや曙光まばゆき高尾山
女来てひととき緩ぶ風炉名残
店先の鰯の笊や霧を吹く

  あやの
黒楽に薄く紅の斑風炉名残
白樺や霧にうごめく灯と影と
曼珠沙華床机に掛けて蕎麦を食ぶ
蕎麦刈って水音近く帰る道
倒木を尻目に弾け栗の毬

  武甲
ブルーインパルス
秋晴るる六機乱れぬ宙返り
気まぐれの霧より現れて摩周岳
見納めの花生け風炉の名残かな
下校子の蹴りては探る栗の毬

  雨竜
蕎麦を刈る藍の手甲の手で手繰り
風炉名残表に胡麻斑の竹柱
遠筑波山の形に栗むけば
山霧の摘まみ損ねて落ちにけり
山の秋森の小窓の青さかな

  利孟
蕎麦を刈る立ち枯るるかに束ねては
風炉名残汁三杯を賜りて
虫潰すかに長靴でこじて栗
牛里へ降り牧柵を埋めて霧
清明に添うて識神秋の雨

  義春
塔頭の梢さわさわ風炉名残
毬栗の棘千本の痛さ哉
尾瀬沼の木道つつむ朝の霧
朋来る馳走の蕎麦を刈りをれば
ベランダの毀れ蔓棚秋の暮