第366回四天句会
令和2年2月13日
利孟
蛤を探る足裏で砂崩し
花の兄令和の御世に咲き初めて
春立つ日結び緩まぬシューレース
雛飾る衣装の擦れを撫でつけて
三寒のレール継ぎ目に音立ちて
武甲
立春やステンドグラスの藍深く
臘梅の山にミシュラン一つ星
飛び梅を伝へる社梅まつり
初午やネットで学ぶいなり寿司
雑炊に仕立て蛤鍋の汁
比呂志
公魚を釣りてかき揚げには足らず
三寒の甲羅へ頸を埋める亀
立春や胸を開いて深呼吸
下船して焼蛤の匂ひかな
香に満ちて蕾の解け梅の花
あやの
蛤の椀に花麩の二つほど
立春や競ふ特設菓子売り場
三寒の空姿無きジェット音
一本の梅が香に満つ夜の路地
鬼やらひ輪ゴムで耳に掛ける面
虚承
三寒のページを捲る指硬く
老梅の一枝を剪り武骨な手
科学館ミイラ展での追儺かな
立春や味噌汁の香のベッドまで
焼蛤の二文字の幟並び立て
義春
うねり寄す波三寒の能登の海
梅咲くや西山公の竹の杖
蛤や埋め立てられし青き海
春立つや南紀白浜パンダの子
遠雪崩仏と知らずライン哉
雨竜
一粒の豆が拾へて節分会
立春や紫色の月明かり
焼蛤や夫婦茶碗の九谷焼
夕暮れに色の兆して梅蕾
三寒の朝の歩幅の広がりて