第43回 平成11年師走20日
利孟選投稿句会
万華鏡めぐるごとくに霜溶ける
木枯しや菜漬の樽の重き蓋
梁跡の杭の不揃ひ千鳥鳴く
竹馬や足跡深き麓なり
川村清二
御仏の鼻を擽りすす払ひ
大安や木枯し一号吹き止まず
軒下で白肌晒す干大根
二〇〇〇年迎へる師走Y2K
佐藤美恵子
凩や前かがみに吹く釜の湯気
波に道さらはれ惑ふ千鳥かな
頬杖をして待つ帰りこまづぶり
胸張って小さき竹馬音高し
とこゐ憲巳
力ある限りうなりて独楽
木枯やガラ ス明るきヘアサロ ン
木枯しの街道抜けてビルの上
竹馬に乗る父に子の驚きぬ
貝独楽の床父の名の布鞄
竹馬のややためらひて越す小川
木枯しの去りたる枝にかりんの実
川岸水辺小魚くはへて濡千鳥
へんみともこ
冬の夜絵本の仕掛け立ち上る
シクラメン狭き区切りのカルテ棚
凩や等身パネルの顔笑ふ
独楽削る腕に確かなリズムかな
三澤郁子
転けぐせの未だ直らず不精独楽
凩や斜めにゆける交差点
勝ち独楽のなほ廻れるは奢りとも
かつかつと来し竹馬の赤き頬
岩本 充弘
一湾の汽笛は低く凍てにけり
木枯しの行きつく果ての海荒し
雪を見るための格子戸開ける朝
蝋梅や那須連山の遠けぶる
引き紐の手応へ重きけんか独楽
一羽来て一羽の去りぬ寒尾長
時ならず豪雨の去りて冬の虹
木枯や遠き灯りを近づけて
永松邦文
荒星や北関東の天冴ゆる
新巻の瞳ノルウエーの海よりと
木枯しや厚底靴の群れ乱る
クラス会竹馬の想ひ遥かなり
仁 平 貢 一
一人きり降りたる駅の軒氷柱
木枯や榎大樹の一里塚
枯野原越えて高原駅近し
連山の木枯が来て衣かへ
福 田 一 構
柄皮に手垢の竹刀去年今年
靴整ふることより子らの初稽古
剣士はや帰り支度のクリスマス
道場の灯り煌々去年今年