第128回 平成19年6月17日
★ 祭髪仕上げにねぢる豆絞り
・ ありたけの風を集めて土用干
・ 湯ぼてりを宥めて纏ふ宿浴衣
・ 卯波寄す小島に残る岩屋跡
・ 寝袋の中の目覚めや閑古鳥
昭雄
★ 郭公の声透きとほる夜明け前
・ 日光の湖万緑を呑みきれず
・ 開け放つ二階の窓や遠郭公
写生子のみな青葉色若葉色
サーフボードの影持ち歩く卯波かな
敬子
△ 流行に今更乗れず更衣
△ 雨雲の沖より晴れて閑古鳥
・ 六地蔵日ごとに供へ鳴子百合
・ 参道に卯波の飛沫く鵜戸神社
あの当時偲び知覧の新茶飲む
△ 柳絮とぶ渡し場までの板の道
・ 卯浪晴れ月の砂漠の歌の浜
・ 鉢を置く縁に風呼び風知草
・ 郭公や水を飲む子の息つがず
・ 花柘榴雲の切れ間の青き空
比呂
△ 郭公や木立の隠す馬柵の果
・ 客船の窓の灯連ね卯波立つ
風白し朴の大樹は花隠す
鮎一尾喉の仏に奉る
宮を出て神輿三基の胴震ひ
一構
△ 夕焼の炎色きはまり越の国
・ 朽ち舟の艫の水漬ける皐月波
暁闇や忽に高音の閑古鳥
園児みな園庭に出て五月晴
老人の会話ちぐはぐ梅雨に入る
・ あめんぼや水面去るもの来るもの
・ 鳴き出しにひとつつまづき閑古鳥
・ ぼうふらの淀みの中のフラダンス
・ 河口より出づる漁舟に卯波立つ
雨蛭や驚くほどの伸び縮み
美代
・ 水晶の数珠つまぐりて夏ねぶつ
・ 卯波立つ五浦の崖の六角堂
・ ひたすらに郭公を聞く寺の縁
・ 切妻の重なる影や夕薄暑
睡蓮の閉じてたそがれさそふ音
良人
・ 北前の風待ち湊卯波寄す
・ 象潟の白砂の礁卯波立つ
・ 郭公の声四方より赤麻沼
紫陽花の七変化助く雨模様
里坊に郭公の声飛び来たる
・ 郭公の声の混じれる陀羅尼経
・ わけもなく跳ねては滑る水馬
・ 靴脱いで走る砂浜卯月波
初夏の野菜づくしの夕餉かな
網戸ごし動かぬ雲の逞しき
聖子
・ 郭公の呼び合ひ森を響かせる
・ 夏木立照らすひかりの水鏡
老木に思はぬ若葉茂りおり
紫陽花や昨夜の雨後色かへる
くれなゐの薔薇に触れゐて恥らへり
清二
・ 谷川に声が飛び交ふ蛍狩り
・ 閑古鳥一声空の広きかな
子が遊ぶ手頃の波も卯浪かな
紫陽花に見抜かれてゐる心内
紫陽花の心を知らず通りすぎ
・ 高速船の玻璃より高き卯月波
・ せせらぎの光躍るやよぶこ鳥
ほととぎす那須岳分ける曇草
磨かれし舞台に足音白襲
麦秋のひかりの風の迅さかな
憲巳
・ 一人降り一人乗る駅ほととぎす
ふるさとは思ひ出千里ほととぎす
郭公なく那須塩原に人を待つ
酪農の匂ひに酔ひてほととぎす
利孟
炎天の石段の角鋭くて
卯波寄すしまなみ街道鉄の道
青嵐寄すに抗ひ音花火
くわくこうの鳴けば揺すりてランドセル
気まぐれの風噴水の頭を刎ねる