第174回 平成23年06月19日
兼題 白靴 半夏
白靴のはたいて払ふ土埃
半夏生秘仏を隠すお前立ち
蟻地獄猫よけの瓶並び立て
半夏雨ぐづりくはへて哺乳瓶
餃子食ふための行列沙羅の花
良人
◎朝風呂の湯音の透きて半夏生
○火渡りの見えぬ火の色半夏生
・面紐を固く結びて半夏生
・雨粒の白く糸引き半夏生
・白靴の友と行く街朝まだき
郁子
◎遠郭公フランスパンのぱりとやけ
・夕焼や太古の匂ひ残す湖
・止むかとも見えてまた降る半夏雨
・旅用と白靴いまだ捨てきれず
麦秋や月に白銀日に黄金
○ガキ大将眩しき人に打つ草矢
○拝み手に半夏の野へと竹トンボ
・新しき石鹸おろす菖蒲風呂
・半夏生江戸へ五十里へだつ湖
白靴やステッキあればタップ踏む
比呂
○落し文寄木細工の秘密箱
・買ひ立ての白靴で行くシャガール展
・篁に風の入り込む半夏雨
・葉桜の騒き重次のゐる気配
セーラーの鍔無き帽子南風
ともこ
○白靴や貸自転車で巡る町
・白靴をスニーカーにかへロープウェイ
・手を借りて結へる竹垣半夏生
・十薬や傘を傾げる雨の路地
散りてなほ柊落葉の強さかな
○半夏かな座卓並べて写経の間
・節電の小暗き駅や夏兆す
・白靴の一またぎして水溜り
自転車でいつもとおる子白い靴
半夏生群れてビー玉かくしをり
一構
○飛魚のひかり屋久島へと飛翔
・義兄逝くと夕餉に電話半夏かな
・紀元杉囲む木道半夏かな
半夏生あすは屋久島靴手入れ
雨霏々と道路を断ちて半夏かな
健
○白靴に赤シャツ闊歩する漢
・半夏生節電といふ暗き日々
・白靴やいざ出陣と繁華街
身はかるくあらはな肌や半夏生
半夏生半年過ぎた月日かな
○曲家に伏せし鍋釜半夏生
ベランダに乙女の夢の薔薇香り
西瓜売り震災募金箱を添へ
母の日やオルガンを弾く母若し
白靴の軽やかマーチ響く街
聖子
○半夏生日暮れはいつも風つれて
川の面に映るネオンや半夏生
耳飾り長き本尊半夏生
昼なほも燈りを灯す半夏生
昼休み寸暇のテニス白い靴
信子
・郭公や花の荷解く朝の花舗
・踏切に続く貨車の音半夏寒む
・半夏生客待つ古都の人力車
・白靴の男駆け込む朝の駅
白靴の手品師客を手玉にし
・紫陽花の咲きて縁の寺参り
老木の青梅まばら枯れもせで
白靴の弟子甲斐甲斐し地鎮祭
よされ節あはれこの野路半夏生
老鶯と和し松籟のしきりなり
恵子
・微睡めば遠くに夜半の雷聞こゆ
板塀や足首細き白い靴
常滑の甕に重石し半夏かな
半夏生跳んで面打つ豆剣士
夏祭しぼりの鼻緒の下駄はいて
鴻
震災禍亡き子の形見白い靴
天道虫鼻先留まる縁かな
人目惹く歩道花壇の棉の花
震災のニュースいつまで半夏生
根切り虫貴重な苗を食ひ倒し