第200回 平成25年8月17日
兼題: 朝顔 星月夜



   利孟
 枝先に相寄る鳩や牽牛花
 飾り剪る五彩の紙垂や霊迎へ
 星月夜狭め武甲の山の闇
 炎天を片手に支へ仁王尊
 息をつく間もなく馳けて走馬灯

   昭雄
☆尾根といふ大地の背骨星月夜
△星月夜嘶く俑の兵馬にも
・ペガサスに蹴られて目覚む星月夜
・朝顔の種前掛に母卒寿
 閉ざされし塔光年の星月夜

   良人
△星月夜足尾の尾根を定かにす
・牽牛花廃家の軒に垣をなし
・朝顔の紺を濃くして朝日影
 巡礼の背中後押す星月夜
 朝顔や蔓を余さず花つけて

   信子
△朝顔や子が子ら率ゐ登校す
・母乗せて来たか低めの茄子の牛
・湯上りの熱る項星月夜
 踊り笠背ナにし父に負はれけり
 噴水の崩す力もありにけり

   ミヨ
△やまがらや石斧の出し屋敷畑
・子の掘りしアンモナイトや日雷
・心張り支ふ谷戸のくらしの星月夜
 朝顔や螺旋階段靴音す
 野州路の湯治場泊り星月夜

   一構
△朝顔や藍の褪めたる剣道着
・朝顔の朝の光に咲き誇る
 朝顔や黒き子犬を膝の上
 朝顔や勅使門には錆の錠
 星月夜戦場ヶ原をひとりじめ

   江口
・宵を待つ花浮き上がる星月夜
・朝顔や皆が一人で摂る朝餉
・星月夜祭り帰りの肩ぐるま
 朝顔やガラスお猪口の五六杯
 去年の種こぼれて咲ける牽牛花

   比呂
・指咥へ泣き寝入る児や星月夜
・げに長き噂話やかき氷
 棚経の僧のバイクに寺の紋
 色も香も薄れし夜の茅の輪かな
 しかじかと大朝顔のやぶれやう

   笠原
・遥かなる時の思ひ出虫の声
・朝顔の青の微笑み風に乗る
 ちろちろと邯鄲の夢星月夜
 朝顔やひとり鮮やか花開く
 星月夜一体空間胸一杯

   健
・潮騒の浜に寝転び星月夜
 怪談を語るに難し星月夜
 流れたる願ひ届かぬ星月夜
 朝顔や遣らずの雨に邪魔されし
 ペルセウス座より閃光の流れけり

   敬子
・語り継ぐ戦争体験星月夜
 四角水瓜たたく思案や俄雨
 朝顔の紫紺列なす幼稚園
 空蝉の残す姿は黐の木に
 秋立つや真顔の車夫の客を待つ

   鴻
 朝顔の花満開のアーチかな
 見上げれば流星走る星月夜
 葉の裏に卵産みつけ秋の蝶
 流星の消えぬ間の願ひ事
 夕刻の秋の初風快し