第203の2回 平成25年年12月16日
兼題: 十二月(師走) むささび
社員証下げポケットに冬帽子
どんな色した鳥来るか青木の実
お下りの白きケープに着脹るる
賀状書く観自在馬頭観世音
年詰まる路地へと廃品回収車
昭雄
☆青木の実真昼しづかな尼僧院
○青木の実鍛冶屋は鍬に銘を刻み
○鳥の羽根挿して米寿の冬帽子
△節くれの手に冬帽子取り祈る
△畔叩きつづけ老爺の冬帽子
良人
☆朝市の売手買ひ手の冬帽子
○色の無き庭に色づき青木の実
△軒裏にせまる暮色や青木の実
△棟高き石倉影に青木の実
△妻は赤夫は黒の冬帽子
☆寒満月ピーターパンの空横切る
○住み慣れし袋小路や青木の実
△寡婦といふ肩書きとなり花八ツ手
△中折れにある抓み艶冬帽子
うなぎ屋に届く備長炭俵
ミヨ
○鉤針の編み込む日差し冬帽子
○梵天掲げうねる雄叫び柚子の里
△蕎麦がきやてのひらほのと小丼
△年番の菩薩を背負ひ秋例祭
△味噌蔵の軒のかたへの青木の実
信子
○青木の実今は昔の練兵場
△老犬に合はす歩幅や冬帽子
△白い息吐き梵天の荒々し
予備も添へなきがらに着せ冬帽子
都会人の闊歩小粋に冬帽子
○駄菓子屋の老いし店番冬帽子
△園児らの真つ赤な頬つぺ冬帽子
△園庭に黄の塊の冬帽子
△目ばかりを残ししつかと冬帽子
青木の実色の闌ここかしこ
輝子
△掘炬燵重なる足を避けてかな
△端折りて見る焼き芋の焼け具合
△病室の臭ひの隅の冬帽子
青木の実庭木重なり合ふ中で
病ひして浮かび見えるは青木の実
敬子
△郵便夫垣根にのぞく青木の実
△合唱の園児揃ひの冬帽子
雲の巻くスカイツリーや冬浅し
霜月の草木無想雨晴れて
実南天患者こもごも順を待つ
△外出のどれをかぶろか冬帽子
△リトマスや酸に反応青木の実
紅一点山歩きの青木の実
似合ふならかぶりたいぞと冬帽子
ファッションやペアでかぶる冬帽子
巴塵
△紅濡らす月のあかりや青木の実
さつそうと路地へと消えて冬帽子
青木の実宿の女将の固き帯
階や青木のあかの瑞瑞し
大ジャンプヘル脱ぐ顔の稚し
木瓜
思ひ入れ紅色放つ青木の実
冬帽子デザイン飛びて未来人
街外れ紅化待てるは青木の実
散り放ち寒さ宥める焚き火の音