第203回 平成25年11月17日日
兼題: 冬近し 返り花
納経の朱印に墨書返り花
爺婆を追ひて小走り七五三
冬近し金で繕ふ疵茶?
二の酉や串を弓手のコップ酒
天高し岩に爪彫り百羅漢
ミヨ
☆どぶろくの喉にとろりと飛騨暮るる
△菰巻くや侍塚の松林
△枝あばれあばれ放題木瓜の返り咲く
△石切りの石の声聞く冬隣
筑子や百戸の渓の初しぐれ
比呂
○冬近し影の漕ぎ行く夕渡し
○稲孫田の実の無き稔り疾風雲
○首咥へ運ぶ猫の仔枯葎
△抽出しに覚え無き螺子冬はじめ
△里山に響く禽声返り花
○音立てて王手飛車取り冬隣り
△名馬の子名馬となれず丘小春
△冬満月を帰る畑の事了へて
返り花とて満開の花見頃
初めての恋は十三返り花
芳子
○今朝の冬組子の窓の影やはく
△浮寝鳥一羽離れてむかふ岸
△返り花月の光の青白き
里の宿林檎浮かせた湯のあふる
炉にかざす手に皺深き人生感
敬子
○返り花日のぬくもりの残る峡
△呆け封じの寺に一輪返り花
侍塚の菰巻しかと冬近し
風情ありなんて詠む人じゃないでしょう
リハビリの持ち場一つの芋煮会
△河原飛ぶ鳥の数増し冬隣り
△街中に荒ぶビル風冬近し
△汽車走る土堤に?子の返り花
災ひを余所に大島椿咲く
境内の躑躅の株に返り花
昭雄
△曲なかば函の螺子巻き冬近し
ありてこそはどうかね
返り花楚々と雲間に日矢落ちて
冬近し空突き上げる大欅
返り花終の力を光とし
鴻
△草の実を面に体に犬走る
好天にひねもす一人甘藷掘る
行く人のふと立ち止まる返り花
散歩道木の葉黄化し冬支度
枝卸す庭の楓や冬支度
△冬近し芸術展にある我が書
気合ひ入れて体力試験
信号で軽き足踏み返り花
腕萎ゆる予防注射や冬近し
中庭の眺め程よき返り花
健
△冬近し母の便りの届きたる
生きてゐて山あり谷あり返り花
返り花護国神社の砂利の道
返り花季節と人を惚れ直す
冬近し車窓の色は土の色
輝子
△カリカラと縮れし葉音冬近し
作り物めきて密やか返り花
恥らへるかに色のぞき返り花
返り花赤の絵の具の一垂らし
抱いた子の寝入り温か冬近し
△英霊や葉の無き枝の返り花
木瓜の実の稔れるままに花咲いて?
触太鼓打つの宮ゆく冬となり
錦ふむ社の庭や冬隣
冬近し眼鏡をそっと枕元
木瓜
△むささびの飛びて切り裂く森の闇
返り花人の心を引き止めて
冬近し白カンバスに明日を描く
返り花小悪の石に善を見る
気も清ああ冬近し自然生