第231回 平成28年4月10日
兼題 春日傘 雉
花の雨兵舎廊下の帽子掛
雪解沢鎹ゆるむ丸木橋
ゴム止めのネクタイ伸びて入学する
人ゐなくなれば回して春日傘
野営地に起床喇叭の響き雉
昭雄
☆鍬の背でほぐす土塊雉走る
△桑畑母衣打つ雉の胴震ひ
△春日傘連ねて遊行柳まで
・春日傘覚えぬ人の遠会釈
・遠巻きに雉の抱卵野良仕事
比呂
△待つ人の来るまで回し春日傘
・傾ぎたる枝の古巣の番鳥
・鳥帰る帰る辺知らぬものもゐて
・奉納のほら貝響き山笑う笑ふ
・寝そべつて草はむ牛や春の雲
・アーケードへ入りてたたんで春日傘
・そよ風に靡く黒髪春日傘
・雉子の声向ふ山へと運ぶ風
・畑を打つ影を遠目に雉走る
身の丈の草の陰へと雉走る
輝子
・切り通し抜けて眩しき桜波
・番雉子生き急ぐかに鳴きしきる
・雉の声霧立ち上る山起きる
登下校いつもの場所で春日傘
草餅は家伝の味の一つなり
ミヨ
・地震跡へ向ふ脚絆の桜守
・まがたまの出土の丘の夕桜
たまさかに人恋ふ日かな春日傘
朝まだき野路佇めば雉ほろろ
花吹雪中なる幹のがらんだう
・あるがまま生きて卆寿の春の夕
・春日傘蔵町をゆく異邦人
お手玉を交すディケア春の窓
山笑ふ古稀が高らに四季の歌
築山を雉が一気に駈け抜ける
美恵子
・胡蝶蘭胸に飾りて春日傘
・今は昔孝行息子の糸桜
花散るや天地スーラの絵となりて
風に乗る花の休みし春日傘
無防備に地に踏ん張りて野雉かな
健
・釜川へ枝垂れこぼるる花明り
・鬼怒川の散歩の小径
菜の花の香りの中へ春日傘
番笠の相合笠や春日笠
車座や花より団子雉弁当
・若作りしたき心地や春日傘
・春深し気遣ひ要らぬ妻もがも
雉鳴くや染み着く苦悩遣り残し
春眠や天のご褒美覚め遣らず
地を出せる人と成りたや老蕨
鴻
・畑手入雑草取りを入念に
桜散る花に浮かれる人の背に
豊作となれと願ひて籾浸す
早起きし好きこそものの作句をし
早起きし朝顔花を負かしけり