第260回 平成30年9月9日
兼題 秋祭り 敬老の日


  利孟  
 秋祭幣立てて守る力石  
 精米機吐き出しぬくき今年米  
 コンバイン二百十日の朝まだき  
 寄合の未だ若輩敬老日  
 仏壇に一基の位牌秋果盛る  

  巴人  
☆秋まつり掲ぐ綿菓子風に痩せ  
・御旅所に酔うて四五人秋まつり  
・奉加帳回り始まる秋祭り  
 孫たちに脆き父なり敬老日  
 敬老の日の庭先に蹴躓(づき  

  比呂  
☆村祭剃り跡青き天照大神  
・秋まつり鱗の乾く御饌の魚  
 神籬に散らばる小銭秋の蝶  
 貝風鈴浜の仮店残りゐて  
 長き白眉がもの申しけり敬老日  

  ミヨ  
・一時を筆で紛らせ老人の日  
・酒蔵に大書の屋号柿赤し  
 大盛りの飯喰へ喰へと秋祭り  
 山柿に甘柿ひとつ開拓碑  
 一望の嶽の噴煙秋気澄む  

  美恵子  
○磨きたる靴に背の伸び敬老日  
○敬老日開運橋へ回り道  
・山の幸積み上げ自慢秋祭り  
・古時計祭の笛に時刻む  
 祝ひ菓子孫に分けやり敬老日  

  聖子  
○初取りの奉納野菜秋祭り  
・秋まつり行列稚児のおちよぼ口  
・敬老の日白髪を染めて撮る写真  
・敬老の日肥満の犬は寝るばかり  
 秋まつり仮装行列コンクール  

  雅枝  
○盆の月風に乗りくる遠囃子  
・祝ひやる側にまだ居り敬老日  
・ウィンクする南瓜のお化けハロウィン  
・敬老の日遺伝子伝へ孫曾孫  
 祭果て幼背にゆく苅田道  

  英郷  
○ぶつつけ山車気負ひ繰り出す秋祭り  
 過ぎし日は淡き墨絵に敬老日  
 颱風の去って舞茸報消えぬ  
 ありの実に思ひ起こせよ初心  
 アキアカリ敬老の日に瑞々し  

  信子  
・しみじみと母似の手指古茶を酌む  
・誰彼に振る舞ふ御神酒秋祭  
・一刷毛の雲里山に秋まつり  
 健脚の体育の日の早歩き  
 雨上がる敬老の日の日の匂ふ  

  敬子
・連れ添ひて永久の歩みの敬老日
・赤・緑・黄色のありてかき氷
・隣家より高く覗きし立葵
 秋祭子供のゑがく地球絵図
 江戸風鈴時折母の声に似て

  昭雄
・敬老日酒豪自慢が自重して
・敬老日父母に家伝の朱塗膳
 里山に狐の鳴ける敬老日
 村祭りこの季だけの顔集ふ
 馬を見に行きたくなりぬ村祭

  青樹
・白パッチきつく女の祭り髪
・行く末に憂ひも無くて敬老日
 火男の笑ひを誘ふ秋祭り
 収穫を終えて安堵の秋祭り
 荒御輿担ぐ女の白パッチ

  良人
・年寄りの働きここぞ秋祭り
 秋祭り奉納舞に風の来て
 秋祭りまづ若者の舞ひ踊る
 神殿に供ふ酒樽秋祭り
 提灯を飾る山車行く秋祭り

  木瓜
・秋扇一煽ぎして投了す
 身を支ふ腕が天指し捨て案山子
 じんわりと父を隣に敬老席
 やり残し重き熱さや秋の蝉
 ご近所と肩を並べて秋祭