第281回 令和元年6月28日
兼題 茅花流し 木苺
銀の穂のしとどに茅花流しかな
音花火上がり解禁鮎の川
初夏の風入れメトロ地上へと
初恋の味木苺の熟れてなほ
薫風や托鉢僧の笠の影
ミヨ
☆梅雨晴間粉糠だまりの精米所
△茅花流しゆらす紺屋の伸子張り
・枝先の泡に生る蝌蚪水光る
・廃鉱のとば口の闇走り梅雨
・木苺や水神様は崖の上
信子
△木苺をつまむ日差しの甘さごと
△ながし吹く陶器の町の大狸
・花石榴散るや日毎の花の数
・拭き戻るワイパー茅花流しかな
・梅雨の雷病院奥の理髪店
△深く息つき歩みだし蟇
△木苺やかさぶた剥けた膝小僧
・口笛の少年木苺の実の熟るる
・どこまでも弾みうねりて茅花原
・木苺の記憶は父の肩車
比呂
△綿飴の箸にからまぬ走り梅雨
・来ぬ人や地雨に垂るる額の花
・木苺や片補助輪車傾ぎ漕ぎ
・門灯に巣つくる燕灯の点り
茅花流し茂吉生涯訛声
美恵子
・木苺や丸く耀く泥だんご
・木苺や幼鳥出ては隠れては
・草の香の茅花流しの道にかな
・裏山に雲垂れ茅花流しなる
・雲垂れて茅花流しの速さかな
△弟逝けり茅花ながしの濁り空
・夕陽浴び木苺の実は紅く濃く
・水騒ぐ茅花ながしの姿川
・男体山の大薙木苺の熟れて
径端の木苺摘むに痛さかな
良人
・地蔵堂茅花流しの吹き抜けに
・木苺の実る山道下校道
木苺の赤ちらほらと下校道
参道を茅花流しの吹き渡る
木苺にのびる幼児の小さな手
木瓜
・かなぶんぶん頭ぶつけてごつつんこ
・茅花流し此方彼方の潦
腕広げ深紅のサマードレスかな
木苺の実つけ一鉢庭の端
蚊となりて亡父絆を辿るらし