第290回 令和3年3月28日
兼題 卒業 春日傘
咲き撓り触れなば落ちむ島椿
赤いガウン黒いガウンの卒業す
初蝶の日溜り出てはもどりては
母の歩に合はせ差しかけ春日傘
人呼んでおけら街道朧月
信子
☆啓蟄の空にくぐもる鳩の声
・大股で校庭回り卆業す
・ポストへと辻を曲がりて春日傘
・面会の画面の笑顔麗かに
無防備な犬の寝姿桃の花
ミヨ
△蛍烏賊しこしこ噛んで密さけて
△刃物磨ぎマスの張り紙ヒヤシンス
△春日傘遊里でありし路地をぬけ
・彼岸かなひたすら念じ位牌堂
・地震痕の傾く校舎卒業す
△親子教師悲喜こもごもに卒業す
△春日傘たたみて歩むアーケード
・卒業の歌に重なり鳥の歌
・二荒社の石段上る春日傘
春日傘手にして土手の並木行く
木瓜
△一杯に膨れ縮まず紙風船
△エイプリルフール免許証自主返納
・春の宵パソコンゆるく立ち上がる
卒業やところてん式押出器
岡惚れの視線を弾き春日傘
比呂
△はればれと鳴く神鶏や初櫻
・利き酒や通ひ徳利に梅の花
・春日傘粒餡漉し餡蒸し饅頭
・証書番号二,三七一卆業す
・日の丸の深き折り目や卒業す
△たらの芽の天ぷらさくと歯に香る
・麗らかな卒業日和の並木道
・くるくると肩に遊ばせ春日傘
・たらの芽や山のお寺の鐘の音
卒業で天と地の涯て見ることも
昭雄
・会釈して距離の程良き春日傘
・足元を決めてきりきり弓初め
・春日傘眩しきままに遠ざかる
・夏座敷王手の指の良く撓り
・春日傘夕日をつれて空つれて