第289回 令和3年2月21日
兼題 椿 猫柳
猫柳模型飛行機ゴム巻いて
色兆してよりのふた月紅椿
領収書納付書を積み二月尽
目刺焼く一蓮托生なるままに
小道具を持たせる思案雛飾る
比呂
☆春疾風総身突つ張る歯科治療
△淡々とナース採血冬の蜂
△漏刻の音に歩進め雪女郎
△猫柳転輪蔵の軋み鳴る
△かくれ里てふ真空地帯藪椿
ミヨ
☆藪椿幾許に散りて湾浄土
△迫持の煉瓦の橋や猫柳
△黒潮の揺るがす海石紅椿
・春蘭や檀家の墓地は坂上り
・冬の虹クッキーの生地休ませて
☆斧振るひ寒の桧の香を起こす
・梅の香や陽明門の先の闇
・初雪や双児姉妹は窓開けて
・奥白根の崖の古寺梅香る
・猫柳一糸一糸に風からむ
信子
△もう二月いまだ二月の窓明かり
△犬の目に映り込む空猫やなぎ
・大いなる夕陽纏ひて猫柳
・△□ハングル書きの初みくじ
・平飼の紅さす玉子寒椿
英郷
△柔らかな微笑み返し猫柳
△猫柳野面に生命充ち満てり
・昨夜の雨つぶらに落とす椿の葉
・ほんのりと日差しに揺れて猫柳
・分け入りて稜線添ひの藪椿
△落椿大和魂潔く
△ウイルスの渦中ゆるゆる水温む
・会津なる雪割草の地に立ちて
・春蘭の肩を並べて気を吐いて
・ふはふはのいたづら小僧猫柳
美恵子
△繋ぐ手の温き散歩やねこ柳
△宙も地も満開にして散り椿
・黒土を終の褥に椿散る
・お喋りを楽しむ散歩猫柳
・椿咲き乱れ赤獅子舞ふごとく
良人
△落椿面をあげて地に咲けり
・音もなく夜来の雨や椿落つ
・色あせてなほ咲き続け藪椿
・猫柳揺れれば水面きらめいて
落椿舗道の端に散らばれり