第293回 令和3年6月27日
兼題 祭 浴衣


浴衣は、透け感のある白地は夜、紺地は昼と使い分けたりします
模様は、あばれ熨斗、構わぬ、枡つなぎ


  利孟  
 甚五郎作と伝へて飾り山車  
 アラームの開けたら閉ぢよと冷蔵庫  
 悼 泉敬子会員
 動員に過ぎし青春蓮咲く  
 勅使馬曳かせ祭の列起てり  
 肩揚げに蝶の重なる浴衣の子  

  昭雄  
☆眼を細め奏でる高音祭笛  
△鼻筋に光る白粉祭稚児  
・たかぶりて調べ切なき祭笛  
・熟睡せる祭浴衣の子を背なに  
・見栄を切り踏み出す一歩蝦蟇  

  美恵子  
△初浴衣帯を高めに初デート  
・下駄の音の高き低きや夏祭り  
・汗の指一本で取るWEB予約  
・息凝らしつひに出目金掬ひけり  
・さりながら当番だけの夏祭り  

  良人  
・スーパー銭湯祭男が声高に  
・湯の宿の廊下明るむ藍浴衣  
・座るたび腹に苦しき浴衣帯  
・藍染めの浴衣揃ひの若夫婦  
・街騒の中に聞こえて祭笛  

  ミヨ  
・黄菖蒲や尊徳堀の淵あかり  
・浴衣生地染めて渡瀬に流すかな  
・薔薇咲くや万年筆の手に馴染み  
・子雀の小糠けちらす精米所  
 麓へと御堂下ろされ在祭  

  木瓜  
・夏立つや古老古着を脱ぎ棄てて  
・缶蹴りの音の切り裂く夏の空  
・存外の孫の反抗夏日かな  
・おぼろなる過去掘り起こし祭笛  
 若さ発つ浴衣の折目おろしたて  

  英郷  
・ふる里や何はともあれ夏祭り  
 夏祭り今も昔も万国旗  
 今年なら着せて見せたし染め浴衣  
 コロナ禍に祭囃子も遠のけり  
 太郎杉へ渡る大橋藍浴衣