第294回 令和3年7月25日
兼題 夕顔 鬼灯 夜光虫 木下闇
自販機のぬるき釣り銭炎天下
寄する波返す波間の夜光虫
鬼灯市朱印に十日詣の印
夕顔やサナトリウムの灯の蒼く
国東に苔生す佛木下闇
浅草寺の御朱印に四万六千日の印です
比呂
☆虫鬼灯三途向かふのお花畑
△夕顔や瓜実顔の祖母の髷
△猫足の回忌の膳の零余子飯
△苔むせる小町の墓や木下闇
・金泥の雲の波間に夜光虫
△家中をめぐり鬼灯鳴らしづめ
△山の音夕顔父祖の地に太る
△猿酒不死と言はずも不老とも
・詣で来し杜に一礼木下闇
夜光虫沈思黙考解く疾さ
ミヨ
△夕顔や下野の野に雲垂れて
・台風過土手蔵に吊る舟一つ
・鬼灯市顔傾けつたもとほる
・地滑りの塞ぐ山道小百合咲く
・大天狗神と崇めて在祭
美恵子
△ほほづきを鳴らして競ひ姉妹
・碧空に溶ける青山夏の朝
・救急のサイレン響く猛暑の日
・アイガードの女医の問診猛暑の日
血圧を測り朝餉や木下闇
△暮れ泥み夕顔の花妖しかり
・梅雨明けて虫の骸に草鞋虫
・連絡船繋がる波止場夜光虫
・鬼灯や飾り余りを笛にして
鬱蒼な木下闇に入り先が消ゆ
信子
△揉みほぐす鬼灯一つもう一つ
・一雨のあとの潮風夜光虫
・夕顔の実にひとしきり雨のきて
・青梅雨の夜を来て接種終へ寡黙
下闇や城趾の濠の深みどり
良人
・ほほづきの仏花の中に灯りをり
・県庁通りの栃の並木の木下闇
・夕顔の畑一畝を埋め咲けり
・浅草のほほづき市の大功徳
夕顔の線路を挟み咲きにけり
木瓜
・夕顔の淋しく明日の夢を見て
・夜光虫他人は何にも見てくれぬ
・木下闇小糠雨降る散歩道
鬼灯や頬ふくらませ口すぼめ
箸先をふるへて逃れ冷奴