第300回 令和4年2月12日 Zoom
兼題 青饅 啓蟄
   瀧凍てゝ水にねむりの刻もどる 重次    



  利孟  
 FUNAMURAと銘あるフライ鱒を釣る  
 青饅や母より継ぎしうるい山  
 啓蟄や錠無きコイン精米所  
 初午や戸戸に自慢のしもつかれ  
 春の雪背にケットの調教馬  

  信子  
☆磨崖仏寒さの残る石の町  
☆アクリル板に区切らる卓の余寒かな  
△啓蟄のひかりを探る大蚯蚓  
△青饅や小指伸ばして味見して  
 立春の富士を真下に見下ろして  

  聖子  
◎啓蟄や鷺は浅瀬に陽をつつき  
◎初孫のシールの手紙小春かな  
◎マフラーの少女小さき闇に消ゆ  
△青ぬたや宿に屋上露天風呂  
 

  美恵子  
◎饒舌なイケメン美容師猫の春  
◎子の離れ一人小声で豆撒いて  
△青ぬたの一箸ごとの祖母の味  
△啓蟄や日帰り旅行の旅雑誌  
△大寒の保護犬声を忍ばせて  

  ミヨ  
◎青ぬたや古民家茶寮の皿小鉢  
◎水仙花根締めの貝と海を恋ふ  
△戸袋の闇あえかなる冬の虫  
△絵馬揺らす風馥郁と蝋梅花  
 

  英郷  
◎温もるや男体山の光る薙  
△片栗や土の温みに芽の動く  
△啓蟄の青空あおぎ歩く土手  
△青饅の甘酸つぱさの嬉しくて  
△温もりの空透き通る戸室山  

  比呂  
◎赤い靴赤い自転車春の雲  
△青饅や酔客遂に泊り込み  
△春立つやぴんと跳ね上げダリの髭  
 泥のやうなる土鳩の声や水仙花  
 啓蟄や人喰ふ蓼の色しらず  

  良人  
△啓蟄や風に扉の音立てて  
△啓蟄の大地ひかりに温もりて  
△青饅や貝の剥き身の舌ざはり  
 啓蟄や昼の光のまぶしくて  
 啓蟄や鶏は忙しく地をつつき