肌に多くあらわれる活性酸素の影響
「シミ・ソバカス」やハリのなさ
わかりやすいのは肌にあらわれる症状
活性酸素の研究は、たかだか40~50年程度です。研究が進むにつれて、老化や病気に及ぼす活性酸素の危険な顔が明るみに出てきました。
老化から起こる現象には、目に見えないものと目に見えやすいものがあります。目に見えやすいものとして、女性が気にするシミやソバカスがあります。
強い紫外線は凶悪な一重項酸素を発生させます。シミやソバカスは、一重項酸素のせいなのです。私たちの肌は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層になつています。表皮は、さらに外側から角質層、顆粒層、有辣層、基底層の4層に分かれています。
紫外線には、3種類(UV・A、UV・B、UV・C) があります。このうちUV・AとU V・B が主に地表にまで届きますが、UV・Aは表皮までしか届かないのに対し、UV・Bは真皮層まで届きます。
表皮と真皮の間には、メラノサイトという色素をつくる細胞があります。
紫外線が皮膚の組織に入り込むと、水分と反応して一重項酸素が発生し、メラノサイトが刺激されます。刺激されたメラノサイトは、活性酸素によるダメージを防ごうと、メラニン色素をつくり始めます。日焼けの正体が、黒くなつたこのメラニン色素です。
私たちの皮膚では、表皮のいちばん内側の基底層で、絶えず新しい細胞がつくられています。内側の細胞はどんどん皮膚の表面に向かって押し出され、いちばん外側の角質層はアカとなってはがれ落ちます。
UV-A は細胞をつくる基底層、UV-B はそれより内側の真皮まで届きます。この紫外線を浴びつづけると、発生する一重項酸素によって新しい細胞をつくる層が傷つけられます。
こうなると、新しい細胞はつくられにくくなり、メラニン色素は外側に移動しにくくなります。結果として皮膚に居残ることになり、これがシミやソバカスになるのです。
肌のハリを奪いシワをつくる
活性酸素による肌のシミは、女性の美の大敵です。もう1つ、活性酸素が原因となる女性の肌の大敵があります。
それは、「シワ」です。
シワが活性酸素と関係する理由は、活性酸素が皮膚のコラーゲンやエラスチンを変化させてしまうからです。
肌のハリと関係しているのは、表皮の下の真皮という層です。真皮の成分の約30% が水分、残りの約70 % がコラーゲンとエラスチンで、コラーゲンが圧倒的に多くなっています。
コラーゲンはたんばく質で、3本のコラーゲン線維が三つ編みのようになっています。この三つ編みから強い耐久力が生まれ、直径1mmのコラーゲン線維を切るには10kgの力が必要とされているほどです。
通常、真皮のなかで、コラーゲン線推は複雑にからみ合ったり、前後左右のあらゆる方向につながっています。立体的な綱目構造になっているわけで、この立体構造が肌のハリを生んでいます。
UV・Bは真皮まで届き、そこで一重項酸素を発生させます。すると、この活性酸素によってコラーゲンが酸化され、コラーゲン線維が細くなったり短く切られたりします。
さらに、網目構造がまばらになつたり、線維同士がほどけたりもします。このことで、肌からハリが失われます。
ハリが失われます。一方のエラステンは、コラーゲン線維がからみ合う部分をしっかり結んでいます。
こちらも、一重項酸素に酸化されると性質が変わります。枝分かれしたようになつたり、伸びきったゴムのようになります。結果として皮膚がたるみ、弾力が奪われ、シワを刻むことになってしまいます。
シワのなかで、とくに出やすい部分が目じりです。いわゆる「カラスの足跡」です。目じりは、顔のなかでももっとも角質層の薄い部分です。それだけハリと関係する真皮層が表皮に近く、紫外線の影響を受けやすいからです。