海外派遣の最終審査 F
海外派遣の最終審査の場に来ている。
来ていると感じるのは、最初はそこに来訪者を案内して入室したはずなのに、
いつの間にか審査の選考対象者のテーブルに座っていたからだ。
着席したとたん、なんと場違いな服装でいるのに驚いて、身体がこわばってしまう。
自分だけでなく、もう一方の競争相手となる女性も普段着というより、
ラフなジャージあるいはスエットの上下のようなもので揃えていて…、おかしな感じ。
面接の場ではあるが、すでに決定済みのような雰囲気で迎え入れられたようだ。
審査官は上司であって、目が合うと、君も来ているのかと声をかけてくる。
わたしは、一応経験はしたいと考えていましてというような返事をすると
それじゃ、君の方はゆっくりしてて構わないと言われてしまう。
じっくりと選考されていく過程を観察していなさいという特別扱い
あるいは部外者扱いに変更となり、心身ともにリラックスしてしまっている。
今回の海外派遣の選考に関する審査基準の説明とこれまでの経緯について、まず説明があった。
122人の応募があり、120人は選考外であって、残った2人ということらしい。
第1次選考に提出された「ある応募者」の論文のサマリーを並べだし、次々と見せられた。
どれも手書きのもので、黒いサインペンか毛筆で書かれた汚い文字がそこにあった。
名前は見えなかったが同じ筆跡なので、繰り返し申請したのだろうとあわれに思った。
手書きは、さすがにありえないだろうし、文字がぎっしりと詰め込まれているだけで、
段落という区切りもなく、論点を整理されていないので落選となっても当然だなと思っている。
審査官の選考過程におけるエピソード話は続いているが、いつの間にか耳に入ってこなくなった。
手書きの汚い文字は、もうひとりの審査対象者の女性が書いたものではないかと、ふと思った。
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