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Jalla! Jalla! /
The Best Man's Wedding

Josef Fares

2000 Schweden 88 Min. 劇映画

出演者

Fares Fares (Roro)

Torkel Petersson
(Måns - Roro の親友)

Tuva Novotuv
(Lisa - Roro の恋人)

Laleh Pourkarim
(Yasmin - Roro の婚約者)

Leonard Terfelt
(Paul - Yasmin の兄)

Jan Fares
(Farsan - Roro の父)

見た時期:2001年3月

ストーリーの説明あり

先にいろいろ説明をしなければなりません。スウェーデン映画ですが、タイトルはアラビア語です。「急げ急げ!」とか「早く早く!」とかせかす時に「ヤラヤラ!」と言います。ドイツやスカンジナビアでは y の代わりに j と書くのでこういう綴りになっています。

監督の Josef Fares は名前の半分まではヨーロッパ人のようで、あとの半分はアラビア人のような名前です。もっともそう言い切って安心しているわけにはいきません。アラビア方面にはユセフという名前があり、アラビア語では o と u をヨーロッパのようにはっきり区別しないので、もしかしたらこれはユセフ・ファレスという名前なのかも知れません。この人は主演の Fares Fares の弟です。父親役の Jan Fares は2人の父親、簡単に言えばこの映画は家内工業でできあがった製品です。

ここで語られる話は舞台をドイツに移してもいいような、時々聞く話です。見る側にとってややこしかったのはスウェーデン語とアラビア語が映画館に飛び交い、画面にはドイツ語の字幕がついていたことです。主人公が飼っているインコウまでアラビア語を話します。単語はドイツ語やアイスランド語と似ている物もあるので、暫くすると慣れますが、はじめにぱっと家族関係を紹介されると苦労します。

アラビア人のロロ、スウェーデン人のモンス、物を言わないアフリカ人の3人は公園の掃除人兼庭師をしている若者です。ロロとモンスにはそれぞれ恋人もいて、青春真っ只中。そこへスウェーデン人にはない、アラビア人特有の問題が起こります。ロロが結婚適齢期にさしかかっていることです。アラビア人の世界ではちょっと前まで日本でも知られていた結婚適齢期というのがあって、家族の圧力で結婚させられてしまいます。アジア、アフリカの他の国でも時々似たような話を聞きます(インド人社会の例はこちら)。ロロはすっかりスウェーデンの生活に慣れ、リサという恋人もいます。ですから押しつけ婚には困ってしまいます。ロロの両親はまあ、話があったから一応ということで、奥方候補のヤスミンと引き合わせます。気立てのいい可愛い女の子です。ヤスミンも北欧の生活に慣れ、本当は今結婚する気などありません。2人は話が合っていいと思っていると、強敵が現われます。ヤスミンの兄です。瞬間湯沸し器と言ってもいいぐらいすぐかっとなる性質で、ヤスミンやロロが逃げようとすると無理やり車に押し込んで、新居の家具を買いに行かせたりします。もちろんお店は IKEA です。

結婚したくないということで話が合ってしまったカップル。それでは偽装婚約をしよう、という話になりますが、瞬間湯沸し器の兄は徹底していて、四六時中目を光らせ、強引にアパートを借りさせ、家具をそろえ、結婚式の準備も終えてしまいます。この危機をどうやって脱するか・・・。それは見てのお楽しみ。

ちょっと前イギリスでも僕の国、パパの国という映画が作られ、パキスタン人でイスラム教の父親、イギリス人の母親、長くイギリスに住んでいる子供たちの間で結婚問題を扱っていました。日本は前世紀の後半で適齢期とかお見合いという話は立ち消えになってしまいましたが、そういう制度が残っている国はまだけっこうあるようです。

ついでですが、音楽がなかなかいいです。全体を60年代後半のソウル風の曲で決めています。演奏はスウェーデンのバンドのようですが、英語で歌っています。またカメラがユーモラスです。仕事仲間3人で楽しそうに休憩していると思ったら、急にカメラが何百メーターも後ろへ引きます。3人はどこかその辺に座っていると思いきや、けっこう急な丘の中腹に座っているんですね。また、モンスがかがみながら人にみつからないように逃げる時は、カメラもモンスになったつもりで低くなります。

これを書いた頃にはまだ知らなかったのですが、日本には最近合コンというシステムがあって、若い人がグループで会って交際相手を探すんだそうですね。それですぐ結婚相手が見つかるわけではなさそうで、結婚できない男だめんす うぉーかーも多いようです。私は若い頃お見合いには反対でしたが、後になって年長者が薦める配偶者候補というのも一応参考意見として伺っておいた方がいいのではと思うようになりました。当時問題だったのは半強制的だったことだけで、仲人とか両親というのは当事者と違う目で見るので、参考になる場合もあるのでは、選択肢の1つとして強制されないのならいいのではと思うようになっています。自分が年を取ったことがばれてしまいますが。

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