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Små ulykker /
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Små olyckor /
Tur i oturen

Annette K. Olesen

2001 DK 109 Min. 劇映画

出演者

Jørgen Kiil
(John - 一家の父親、看護人)

Vigga Bro
(Ulla - ヨーンの妻)

Jannie Faurschou
(Eva - 上の娘、画家)

Henrik Prip
(Tom- 弟、建設業者)

Maria Würgler Rich
(Marianne - 下の娘、新米の栄養士)

Jesper Christensen
(Søren - ヨーンの弟、大工)

Karen-Lise Mynster
(Hanne - ゾーレンの妻)

Tina Gylling Mortensen (Ellen)

Julie Wieth (Lisbeth)

見た時期:2002年9月

ストーリーの説明あり

詳しく説明しますので、見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

ドグマ映画ではありませんが、ラース・フォン・トゥリアーの経営している会社が作った作品で、ドグマに似たスタイルで作られています。テーマもドグマ映画で扱いそうな話です。ドイツ語のタイトルは「ちょっとした災難」といったような意味です。家族物で、それほどややこしくないストーリーです。

家族構成は出演者の所を見て下さい。ほぼこの一家だけで話が進みます。冒頭ウラが交通事故に遭い死んでしまいます。未亡夫になったヨーンはこれまで病院の看護人という仕事一筋。それ以外の責任は一切ウラに任せて幸せに暮らしていました。結婚したり独立した娘息子が2人。いよいよこれから独立という娘が1人。そして特に仲違いもしていない弟が1人。その弟には妻と息子がいます。

家庭の事は苦手な父親の世話は就職したばかりの下の娘マリアンネが引き受けます。父親の家の近くに住んでいるため、食事を持って頻繁に訪ねて来ます。彼女は栄養士になりたてで、まだよく分からないので母親にバックアップしてもらうことになっていました。母親の突然の死は彼女にとっては二重のショックです。ちょっと奥手のマリアンネですがボーイフレンドが欲しくなり、広告を出します。ちょうどそんな時に母親に死なれ、途方にくれていますが、新しい職場の経理係が親切なまなざしを向けてくれます。

姉のエヴァは画家で、芸術家に良くあるようにちょっと変わっています。独立心が強く結婚せず、ある女性のアパートで絵を描いています。母親の死については「自分は悲しんでいない」と公言します。弟のトムは建設業で上手く行っていますが、仕事ばかりで家族をかえりみず、妻からはやいやい言われています。彼はエヴァの勧めで 5 、7、5 などと指折り数えながら俳句を作り始めます。どういうわけか俳句は最近ドイツでも流行っていて、インテリの暇人が作って新聞に発表したりしていますが、デンマークでも同じような様子です。90年代に一時日本から来るものは何でもかんでもすばらしいと言われた時期があり、その名残なのかも知れません。

ヨーンの弟ゾーレンは元は大工だったのですが、アートローゼという強い痛みを伴う病気にかかり、膝が自由になりません。今では鬱状態と言ってもいいぐらい引っ込んでいます。50歳の妻ハンネは元気で、夫に旅行に行こうなどと働きかけますが、ゾーレンは毎日寝そべってテレビを見ているだけです。ハンネは我慢の限界に来て不倫を始めます。それを夫に面と向かって言います。そのため2人の間はきつい戦争状態。

これだけではまだ手ぬるいとばかりにエヴァが問題を持ち込んで来ます。ウラの死後父親の所に世話をしに通っているマリアンネとヨーンは波長が合うのかとても仲良しになります。父親としては、亡き妻以上にかいがいしく世話をしてくれる末娘が可愛く、まだ世の中に出て行くのに自信のないマリアンネは父親に見守られながら徐々にボーイフレンドとデートし始めます。

夫婦仲がおかしくなったゾーレンは家出。息子とヨーンのアパートを訪ねます。父親とマリアンネがあまりにも仲がいいために嫉妬したのか、マリアンネが父親の背中をマッサージしている時に突然エヴァはヨーンがマリアンネと寝ているのかと言い出します。この言葉はマリアンネをひどく傷つけ、そのため父親との関係はギクシャクします。エヴァは言うだけ言ってしまうと、その後それほど深く考えていません。しかし父親は心労が重なり、発作を起こして仕事中に倒れます。

このあたりからようやく事態は収拾に向かいます。父親は死なず、エヴァは謝り、マリアンネは同僚とデート。同僚はヨーンに挨拶。ゾーレンはとりあえず妻と休戦協定。

他愛ない家族ドラマですが、個性があるのは演出と俳優の乾いた演技。北ドイツの監督デトレフ・ブックと似たようなタイプのドライなユーモアです。しかしブックの方は笑いの部分の比率が高いのに比べ、オーレセンは現実の悲惨さの比率を上げています。ドイツ人が言うマカバ (makaber) という状態に近いです。俳優の危ない演技も効果を上げています。例えばエヴァが「マリアンネと寝ているんだろう」と言った時の父親役のキールのにやりとした表情はどちらにでも解釈できます。ドグマ映画のセレブレーションの父親と比較するとおもしろいです。そして娘のマリアンネは気持ちのやさしい純真な娘ですが、知恵遅れ寸前という奥手ぶりなので、父親が上手く口車に乗せれば自分のやっている事が分からず、言いなりになりかねないという危なさも出しています。実際には、彼女の方が健全な精神を持っていて、彼女を心配したはずのエヴァの方が不健全な考え方をしていたわけですが、その辺のニュアンス、1つ間違えばエヴァの心配している状況になりかねない微妙さがこの作品の個性になっています。

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