映画のページ
開催時期: 2002年12月4日‐11日、
ベルリン
後記: 10年弱経って見直してみましたが、メジャー系に進出した俳優、監督は殆どおらず、分野ごとの住み分けになっているようです。
後記: 映画祭はもう終了しているのです。出品された本数が非常に多いので、まだ書き続けています。ベルリンの特徴の1つを示す催し物なので、1度ぐらいそういう雰囲気を紹介してみたいと思って書き始めたのですが、マラソンになりそうです。24日には全くタイプの違う次の映画祭に行くので、それとダブりそうです。
べルリンはドイツの中ではゲイに対してリベラルな方に入るというという話は時たま聞いている方もおられるでしょう。最近選ばれた市長がゲイだと公言しています。というわけでゲイの催し物も結構あり、その1つがゲイ映画祭です。これは私が内容を分かり易くするために勝手につけた名前で、正式名は verzaubert international queer filmfestival といいます。会場は東ベルリンにある映画館に落ち着いたようです。今年で12回目。ベルリンが、ベルリンが、と言っておりますが、この映画祭はミュンヘンとフランクフルト(11月20日から)、ケルン(11月27日から)、ハンブルク(2月4日から)でも行われます。
オープニングの日を除いては平日1日4本、週末は5本、6本上映。ですから変更などが無ければ延べ33コマ(1コマ2時間程度)、2つのホールで上映となります。単純計算をすると66本上映となりますが、初日は同じ作品を2回上映、また短編を3時間枠に入れてあったりするので、実際の本数はちょっと違って来ます。ま、かなりの数のゲイ、レズビアン映画が一同に集まると考えていただければ大まかなイメージが伝わるかと思います。
私はこちらの方は専門ではないのでプログラムを見て、おもしろそうな作品を1本か2本見る程度。全部通しで見られるフリーパスは無いので入場券は割高になります。普通の切符が 8 €、午後の早い時間ですと 6 €、特別な185分の催しは 10 €。
これまでこの映画祭で印象に残っているのは処刑人、I love ペッカー、ゴッド・アンド・モンスター、Heaven。
処刑人はゲイの映画と言うには一般的過ぎるかと思います。1999年のファンタのフィナーレを飾り、評判が良かったので同じ年のゲイ映画祭にでリサイクルというわけです。ウィレム・デフォーがゲイの FBI だったからという、きわどいこじつけで出品されたのではないかとかんぐっています。はちゃめちゃな必殺仕置き人風コメディーで、前回日本へ行ったら、町中で DVD を売っていました。処刑人はドイツでは残念ながら一部のファンにだけ好かれ、一般には広がりませんでした。公開しようという時に射殺事件が起きたのが災いしたのかも知れません。
I love ペッカー は今飛ぶ鳥を落とす勢いのトビー・マクガイアーが主演。これもゲイ映画というほどゲイ色は強くありません。(余談ですが、スパイダー・マン にデフォーが出ていました。彼はオスカーなどは狙わず、ずっこけた役をやるとなかなか良いです。ひいきにしています。)
ゴッド・アンド・モンスターは映画自体はそれほどゲイっぽくありませんが、ゲイだった映画監督の話で、ここにコメディーでしか知られていないジャングル・ジョージ氏が重要な役で出ています。彼の全く別な面が見られます。渋い作品でした。
Heaven はほとんど世間では知られていません。これも実はファンタの方で見ました。犯罪物ですが、ゲイの男性がひどい目に遭うところはなかなかシビアです。ファンタの仲間には1、2度こちらの映画祭にも参加した人がいたそうですが、自分がゲイでないとちょっときつい(本人の言葉で言うと「専門的過ぎる」)と感想を漏らしていました。
全般的にレズビアンの参加がこれまで少なかったような印象ですが、今年のパンフレットを見ると数が増えたように思えます。前の記事にも少し書きましたが、女性の方が公言をためらう人が多いようです。ベルリンの市長がある日レズビアンの女性になるというのはまだ先のようです。私もあまり専門的に追っていないのでなぜこういう男女差が出るのかは分かりません。
さて、この映画全部見る元気はないので出品される作品を紹介するだけにしておきます。(時にはかなりあからさまなタイトルもあります。)今回はオープニングの作品には行くことにしています。 サルマ・ハヤックが出ると聞いたもので。彼女のダンス・シーンには惚れ惚れします。ああいうインパクトのあるダンスができる人のためにこの辺で1つ ダンス映画を作るべきです!
参加作品が多いので、ファンタの時のように連載にします。何か分かった順に書いて行き、最終的にアルファベット順に並べます。
し | A | B | C | D | E | F | G | H | I | K | L | M | N | O | P | Q | R | S | T | V | W | Y | Z
日本の長く続いた漫画シリーズの劇場版アニメ。少年っぽい少女ウテナはドイツにファンを作ったようです。
自分のアイデンティティーをごまかして英国の上流階級に入り込む男の話。
ベルリン映画祭にも参加して話題になった。小さなキリスト教の町の医者と彼の家族を取り扱うドキュメンタリー。
母親が急にレズビアンになったため起きる家族の騒動。最初は気にしなかった娘たちは、遺産の分割の心配を始め、母親と恋人を別れさせようと作戦を練り始める。コメディー。
キュメンタリー風の劇映画。
楽しく暮らしていた若い娘2人の所へ突然母親が現われる。トラブルになって母親は昇天。そこからロードムービーに切り替わって、2人の娘は大暴れ。
教職にある一家の主がある日恋の病に取りつかれたように生徒を追いかけ、学校を首になる。彼の気持ちは同性愛なのだろうか、それとも何か他のものなのだろうか・・・。
ガールフレンドを失った若者のその後。
クールな皮ジャン姿、ハーレーを乗りまわす女刑事 Hanne Wilhelmsen の新しい事件。原作 Anne Holt。4時間のミニ・シリーズ。2回に分けて上映。
決まった恋人のいるゲイの若者が女性に恋をしてしまうために起こる騒動。エピソード集。テレビドラマを3回に分けて上映。
レズビアンのボディー・ビルディング。詳細不明
タイプの違う2人の女性が一緒に暮らす。中年の女性は飲み過ぎて仕事を失う。ティーンの女の子にも過去がある。2人は助け合うだけでなく生活をともにし始める。
ポスターを見ると本格的、専門的な映画のようです。
ブリトニー・スピアーズのそっくりさんコンテストで男性が優勝してしまって起こる騒動。
あまり近い関係にならない方がいい友達というのもあるようで・・・。
知らずに起こった三角関係。
ゲイを襲う者と対決するポール。
詳細不明。
モントリオールのファッショナブルな世界で成功するために19歳の若者ダニーは何にでも挑戦してみる。両親:父親はゲイ、母親はトップ・モデル。
テキサスには同性愛の人たちにはちょっと困った法律がある・・・。
詳細不明。
1950年代、ブルジョワの夫婦。妻は黒人の庭師と恋に落ち、アル中の夫は自分に同性愛の傾向があるのを自分で認めたがらない・・・。スターの出演。
オスカーにノミネート。
内気なゲイ少年を手助けするゲイでない友人。上手く行くかが問題。
写真現像助手が自分が現像している写真に写っている青年に恋をしてしまう。詳細不明。
メキシコの女流画家フリーダ・カーロの伝記。
気軽なセックスを楽しんでいたクラウディオはある日そういう相手の1人と偶然再会。深入りするつもりはなかったのにどんどん深入り。今までの規則正しい生活は混乱をきたし始める。
グラディエーターのゲイ版。
女性の強さは何か。体力か、精神力か。各国の文化によって意見が分かれる。ここで紹介されるのは香港の何人かの女性アクション・スターと女性ボディー・ビルダーでレズビアンのシャロン・ペラーリン。
John Doe と言っても、ケビン・スペーシーが出て来るわけではありません。監督の3部作の2作目。サウンドトラックがすばらしいとのこと。
詳細不明。
短編集、スクリーニング
20代のかっこいい青年ディエゴと50代の小柄な男性ペッピーノが知り合う。青年のために職、寝床、若い女の子を世話してやる。魅力的な女性デボラが2人の間に登場し、ディエゴとペッピーノの関係のバランスが崩れ始める・・・。
女性2人と男性1人の三角関係。元々女性2人がペアだったため起こる騒動。
カレッジ・ドラマ。
女性2人のペアに男性登場。三角関係に。
ジェームズはティーンエージャーの頃特に深く考えもせずゲイを襲っていた。ところが今は襲われる立場に・・・。
セネガルの音楽にジャズを加えたミュージカル。ストーリーは Prosper Marimée の小説の映画化。
かなり専門的な作品なのだそうです。詳細不明。
突然女性が現われたため長年のパートナー Jørgen とヤコブをめぐる騒動。Elsker dig for evigt で主役だった Mads Mikkelsen がここでも主演。今乗っている国の乗っている人です。
L.I.E.はロングアイランド高速道路の略。そこで起きた事故で主人公の母親が死亡。父親と2人暮しになる。事情あって刑務所に行くことになる父親がきちんと息子に事情を話していないため、息子はグレて窃盗を始める。盗品の銃が元で、トラブルに。
L.T.R. は「長期の関係 (Long Term Relationship)」の略。これ、2週間という意味なんだそうです。はあ、なるほど。
ビジネスマンと金で買った学生の関係。ストーリーに学生運動、経済、天安門事件も織り込んであり、撮影は秘密裏に行われた。
元は株のブローカーだったスク・ウォンは商売に失敗して現在はソウルの駅のホームレス。元登山家のデー・シクと一緒に都会を離れる。そこにイル・ジョーが加わる。彼女は登山家に恋をするが、登山家は元ヤッピーが気に入っていたので、話はややこしくなる。
状況は最近まで変わらなかったそうですが、1960年代のアイルランド。暴行された人、未婚の母となった人、美人過ぎる人、身体障害のある人と、世間から疎まれて修道院に放り込まれた4人の女性の話。
女たらしの歌手シャーロッテがある日ナタリーに出会って・・・。詳細不明。
待ち望んでいた男性のはずの恋人が実は女性だった・・・。
ゲイの青年が襲われる。共犯者が後悔して助けようとするが・・・。
女性の強さは何か。体力か、精神力か。各国の文化によって意見が分かれる。ここで紹介されるのは女性闘牛師。詳細不明。
売れない俳優ジミー、大晦日というのに彼女は出て行く寸前、アパートは何度も泥棒に入られる、その上飼い猫までが・・・。そこへまたしても泥棒が入って来る。とっ捕まえて話しているうちに、それが理想の男性だと分かって来るから大変。コメディー。元は舞台劇。その元は小説。
トラッシュ・コメディー・シリーズ。70年代のスタイルで、麻薬ビジネスに立ち向かうジョニー・ピンプとハニー・ホ。
トラッシュ・コメディー・シリーズ。70年代のスタイルで、麻薬ビジネスに立ち向かうジョニー・ピンプとハニー・ホ。
トラッシュ・コメディー・シリーズ。70年代のスタイルで、麻薬ビジネスに立ち向かうジョニー・ピンプとハニー・ホ。
詳細不明。
ヴィルナ・リージ(懐かしい)の家族をめぐるセックスのどたばた。愛情と欲望はなかなか同じ人からは得られない・・・。
原作アメリカン・サイコの作者 Bret Easton Ellis。80年代の学園物。
Petra Lüschow の同名の短編小説の映画化。公式な完成は2005年。
30過ぎのシングルのゲイ男性のルポルタージュをすることになったセバスチャン。ガールフレンドのコネでビバリー・ヒルズに入り込む。
この映画祭には時々パロディーのような人を食ったタイトルがあります。どこかにショーガールという映画ありませんでしたか・・・。フルモンティーと勝負の作品。首になったばかりのテレビ作家クリスチャン・テイラー。実は彼は昔から夢を持っていました。ショーボーイになること。しかし、彼は小さく、年取っていて、全然見てくれが良くありません。元の同僚は彼のマジの努力を信じることができず、彼はきっと新しい企画のための情報収集をしているんだ・・・と解釈。しかしそうではありません。彼はあくまでもマジ。
1963年ドミニックというヒットで有名になった歌い作曲もする修道女 Janine Decker と友人の Annie Pecher は1985年アルコールとドラッグの中毒で死亡。この22年間に何があったかを探る。
詳細不明。
2000年この映画祭に出た短編The Evidenceをベースにした作品。町で気軽なセックスを探すレズビアンの女性は内気マルシアの心を奪おうとするが上手く行かない。友達を手伝わせていきなりマルシアをさらってしまう。アルゼンチン中を旅して回る間に起こるいろいろな出来事。独特のスタイルで撮影されている。
セックス器具の製造に関するユーモアにあふれた話。
詳細不明。
幸せになるための10の規則。
刑務所で知り合った2人の女性のその後の人生。
ジャンヌ・モローにささげる作品。詳細不明。
これまで家庭でも学校でも優等生だったティーンエージャーのジェーンがレスビアンに目覚めてしまう。周囲はあらゆる手を使って彼女を「正しい」道に戻そうとする。コメディーのはずだったのが、メロドラマに変わり、やがて悲劇にもなりかねないストーリー。
ブエノスアイレス。銀行のキャッシュサービスの機械の近くでセックスの相手を探すアンドレー。彼のやる事を見ていたレニ。これといった当てのない生活をしていた2人が知り合う。片方は愛情を示そうとするが、もう1人は一時の快楽を追う方がいいと考える。男性のストーリーを撮ったのは女流監督。
ティーンの女の子3人でスロベニアとクロアチアの境にある川でカヌー旅行。楽しいはずの旅行が恐怖に・・・。かなりハードな作品とのこと
聞き捨てならないタイトルですが、エヴァ・エンスラーという女性が1996年からオフ・ブロードウェーに始まり世界の劇場で、ヴァギナについて語り続けているのだそうです。ベースになっているのは彼女が女性に行った多くのインタビュー。2002年、女性に対する暴力反対の意味を込めてテレビ放送。
ゲイ差別の日常。詳細不明。
3人の若い男性のワイルドな生活ぶりを紹介。ブランドン(長距離選手、学生、好奇心からワイルドな生活を覗いてみる)、トーン(パーティー好きだがこれまで2回緊急入院の経験、ドラッグなしのパーティーを楽しめるか試してみたい)、ジョン(いつも彼を裏切って不倫している浮気の常習犯のパートナーを怒らせてみようと試みる)。きわどいシーンがあるそうです。
17世紀のメキシコ。男性中心の修道院で過ごす自立した天才女流詩人の苦難。
16歳のビンセントは二重生活をしている。ゲイなのだが、人には言っていない。学校の帰りに恋人の所へ寄ったりする。スイミング・クラブでは彼はスター。両親には可愛いがられている。美人のガールフレンドもいる。そこへ転校生ベンジャミンがやって来て様子はがらっと変わってしまう・・・。
ニノが美人のボーと結婚すると言い出した時、3人の姉妹はパニックに。ニノはゲイのはずだった・・・。その上35歳になる前に結婚されてしまうと海岸のホテルを相続する権利が生じてしまう・・・。何とか阻止せねば・・・。
オスカーにノミネートされています。
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