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考えた時期:2003年3月
私は長い物に巻かれるのが好きです。麺類のことです。翁庵の若旦那がこういう職業に就くなどという事は当時知らず、まったくの偶然ですが、我が家の親戚一同麺類が好きな人が多いです。特に母が大ファンで、その影響を私はもろに受けてしまいました。専門的な知識はゼロで、凝ったり、どこかの名物をわざわざ食べに行ったりする事はありません。しかし目の前においしそうな物が出されたら嫌とは言えない性分。やや西の方から来たので蕎麦屋と言わずうどん屋と言う癖があるのですが、食べる時は卵とじならうどん、山菜、とろろなら蕎麦という風にいいかげんな決め方をします。 古い伝統的なメニユだけでなく、新しい物にも手を出します。新宿のサブナードに以前冷やしうどんというのがありました。手で作ったような、形のそろっていない太目のうどんにレモン汁、うどんのつゆがかけてあり、上に鰹節が乗っていました。夏に食べるとさっぱりしてとてもおいしいです。和製だけでなく、ラーメンでもスパゲッティーでもかまいません。イタ麺ではマカロニ、リガットーニなどソースは同じでも麺の方はいろいろ違ったバリエーションができますが、やはりスパゲッティーが好き。一生に一度イタリアで食べたボンゴレはほっぺたが落ちるほどおいしかったです。
どういうわけかあまり食指が動かないのがインスタント・ラーメン。大学時代の友達が夫婦共働きの両親だった関係から少年時代毎日インスタント・ラーメンを家で食べていたという話を聞いて、思わず涙・・・が出そうになりました。本人が嫌がっていたかは分からないのですが。しかしインスタントのヌードル事情は最初に登場した頃からがらっと変わり、今では世界に誇れる数の種類が登場、味もかなり凝ったものが出て来ており、贅沢品かと思えるような物まであるようです。考え出したのは電子レンジと同じく日本人。
さて、海外に来てしまうと事情は一転。「インスタントは嫌いだ」などと言ってはいられません。食べたければそういう物も受け入れなければなりません。1980年代の初頭に来た時は、日本レストランなどもほとんど無く、行って麺類を注文しようとしてその値段に愕然。これなら焼き魚定食でも注文した方がお金を有効に使えると考え注文変更。と言うわけでベルリンで日本式の麺類を注文したのは後にも先にも1回切り。
反対にスパゲッティーはかなり安く作れ、材料は問題なく手に入ります。当時もスーパーのヌードルは安かったですが、現在でも65円ぐらいで 500g とか 600g 入っています。これは到底1人で1回に食べ切れる量ではありません。4食分ぐらいできます。トマトはベルリンでは1年中手に入る野菜で、シーズンオフは多少値段が上がりますが、りんご、梨などと並んでほぼ一年中安い部類に入ります。シーズンでない今でも1キロが130円ぐらい。もっと下がる時期もあります。ドイツの物価は来た当時からじわじわと上がる一方でしたが、最近下降気味の物も出て来ています。そういう中で、ヌードルはそれぞれの時期にいつも比較的安価の部類に入っていました。
イタリアが近い、イタリア人も多く住んでいるという事で、ベルリンにはお金を出す気になれば非常に高いヌードルも売っています。私も以前中ぐらいの値段の物をいくつか試してみました。本場イタリアのヌードルには独自のミックス方法があって、卵を混ぜない事になっています。ドイツで売っている物はそういう事に頓着していない場合が多いです。ですからドイツのヌードルは偽スパゲッティーと言ってもかまいません。
逆の例がドイツ製のビール。ドイツでビールと認められる物には化学物質を使っては行けない事になっていました。EC が統合された時にこの法律が廃止になると聞いてドイツはかなり長い間プロテストしていました。結局多数派に巻かれてしまい法律は緩和されてしまいました。ドイツではしかし今でも純粋ビールの伝統を守っている所がほとんどで、国民は外国のビールは偽ビールだと思っています。
話がそれましたが、その高いヌードル、どういうわけかそれほどおいしくないのです。能書きに書いてある通りの時間茹でるのですが、どうも今一つ。ベルリンの水はカルキが多いから行けないのか・・・などと思っていました。暫くあれこれ試した結果、格安のスーパーのスパゲッティーが1番おいしいということに気付きました。ドイツにはいくつか大手のスーパーがあり、それぞれ自社のマークをつけたり、自社で特注した安目の製品というのがあります。こういう販売方法は日本でもおなじみではないかと思います。そのスーパーの1つが出している1番安い自社系のスパゲッティーがいいのです。書いてある時間をきっちり守って煮ると、ベルリンのカルキ水でもおいしくできます。ライバル会社というのがあって、両店ほとんど同じような物を売っているので、そちらのヌードルも試してみましたが、だめ。こんなに単純な食べ物なのに、どこか違います。それでこの店のこのヌードルに決めてもう10年以上になります。もしかしたら15年になるかも知れません。店は名前が変わり、商品も名前と包装が変わりましたが、この店が売っている1番安いスパゲッティーといって探すと、その味の商品にぶつかります。
後記: ただでさえ安くておいしいのですが、何かのきっかけがあると数年に1度《同じ値段で33%増量》などといううれしいサービスがあります。その時にごっそり買い込んで1年以上経って食べても味は落ちません。ちょうど今その時期に当たったようで、早速買い込んで来ました。ですからこれから1年は毎日スパゲッティー・・・とは言いませんが、当分麺類不足状態はなさそうです。(2005年3月)
その上私は毎日、それこそ同じ麺類を食べても飽きない性格。機械的に食べるのではなく、毎日おいしい、おいしいと思って食べています。
さて、私が作るのはトマトソース。他のソースも作れますが、このヌードルにはトマトソースが1番良く合います。必要なのはバター、塩、にんにく、黒胡椒。いろいろ試みた挙句このシンプルな組み合わせが1番おいしいという事に気付きました。ちなみにバター、塩、黒胡椒はこれまた安く、にんにくは野菜としては割高ですが、大量に使う物ではないので、結局最低の値段でできます。
後記: 2年経ってやや状況が変わりました。バターは最近値上げ後価格凍結。使い放題というわけには行かなくなっています。大手のスーパーが《6つまとめて買うと1つ分値引き》みたいなサービスをやった時を狙って買うのですが、それでようやく以前の普通の値段程度。で、普通にパンに塗る時はバターを止めてしまいました。料理の時だけバターを使うのであまり大量には必要ありません。
ところでドイツではバターは原則として塩抜き。塩味のバターを買う時はちゃんとそう表示してある物を探します。ただ「バター下さい」と言うとたいてい塩抜きを渡されます。
代わりにやや値下がりしたのがにんにく。以前はドイツではにんにくは目の敵にされていて、イタリア人を侮辱したい時ににんにくという言葉が飛び出したり、他の人でも《にんにく臭い》と言われると、まあ、喧嘩を売られたのだと解釈していい状態でした。その後事情が好転して、《にんにくの匂いは嫌いだけれど、健康にはいいはずだ》と考えるドイツ人が増えました。最近はもっと変わり、《にんにくは健康にいいから食べよう》と言い出すドイツ人が増えました。にんにくエキスのカプセルを薬局で売るようにもなっています。で、匂いの話は終わりかと思ったら、違うのです。にんにくの匂いを嫌がるドイツ人は減らないようで、《匂いの少ないにんにく》というのを売り出したのです。
これがとんでもない代物で、食べても張り合いがありません。果たして健康にいいと言われている成分が残っているのかも怪しい。あの凄い匂いが無いと、健康に良い成分も効き目が薄くなってしまうのではと疑心暗鬼にかかってしまうのです。以前から知っているイタリア人の店に行くとちゃんとにんにく臭い。それで今度行ったら、店主に、本物のにんにくはどこへ行ったら買えるのか聞いてみようと思っています。やはりにんにくはちゃんと匂って欲しい!
ベルリンに来た頃、朝っぱら早く起き出し、料理を始めスパゲッティーを平らげてから大学に行っていたので、周囲のドイツ人に呆れられ、その後妥協して、朝食はパンと紅茶に落ち着いています。ドイツ人というのは朝食や夕食を kalt (= cold) な食事と呼び、パンとハム、チーズ、ジャムなど温めない物で済ませる習慣があります。朝パンというのはいいとしても、私ならそれに目玉焼きとかソーセージの焼いた物とか、何かしら温かい物をつけたい気分です。夕食がパンとハム、チーズ、ジャムだけというのも何か寂しいです。 やはり夕食は何かドンと温かい物を作りたくなってしまいます。ここでは詳しく書きませんが食生活の習慣は日本とかなり違います。(多少詳しいのはこちら)
長くなってしまったので、ここで1度終わりにしますが、実はこの記事、インスタント・ヌードルの事を書きたくて始めたものです。スパゲッティーが出て来たので道草を食ってしまいました。
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