映画のページ
George Clooney
1961 Lexington/Kentucky, USA
本人はコメディーに興味があるようで、出演作に二枚目半を狙ったものがいくつかあります。特に追いかけたわけではないのですが、テレビから映画に移りブレークした頃から後ずっと彼の作品を見る機会に恵まれ、最近の数本以外はかなり見ています。 コメディー・タッチの物が結構多く、自分から選んで出演しているものもあるようです。
・ オーシャンズ13
・ グッドナイト&グッドラック
・ オーシャンズ12
・ ウェルカム・トゥ・コリンウッド
・ オーシャンズ11
・ スパイキッズ
・ パーフェクト・ストーム
・ オー・ブラザー!
・ サウスパーク (無修正映画版)
・ アウト・オブ・サイト
・ ピースメーカー
・ 素晴らしき日
・ バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲
・ フロム・ダスク・ティル・ドーン
後記: その後追加。私はまだ見ていないのですが、ファン他では伝説的な地位のリターン・オブ・ザ・キラー・トマトにも出演しています。
誰の案か知りませんが、クルーニーに二枚目半をやらせるというのはアイディアとしては良かったと思います。ケーリー・グラント以来大型スターで二枚目半を上手にやれる人が久しく出ていませんでした。やらせればできるに違いないと思える俳優は結構います。しかしやらせてもらえない人ばかりのようです。クルーニーにはグラントに匹敵するぐらいのスケールがあり、風格があると思った時もあり、90年代、00年代にまた1人こういう俳優が出てもいいと思っていました。 ところがどうも今一つしっくり来ない。長い間その理由について考えていました。
容姿はなかなかいいと思います。堂々としていて、二枚目がしっかり務まる人でないと、二枚目半の良さが出ません。顔や態度がおどけていると、元々コメディアンなのだと決め付けられてしまい、違う方面の人がわざわざコメディーをやる希少価値が出ません。山城新吾、ロバート・ワグナーの良さと同じです。本来二枚目だけでも行けるというところが大きな資本。
クルーニーが選んでいる監督はそうそう安物ではありません。ロドリゲスは当時まだ海のものとも山のものとも分からず、新人監督と言えないこともありませんでしたが、実はこの時期にデスペラード、フォー・ルームス、フロム・ダスク・ティル・ドーン、パラサイトと代表作を連発しています。 最近はスパイ・キッズ専門になった感があります。 私が見たロドリゲスの作品はどれもコメディー・タッチでした。
クルーニーが映画に本格的に足を踏み入れたのがこの頃からで、フロム・ダスク・ティル・ドーンが1996年。それまで数え切れないほどのテレビに出演、本人はこの時期あまり幸せではないと感じていたような話が時々人物紹介記事に出ています。 しかしあのクリント・イーストウッドでも長い下積みがあり、長いテレビ出演を経て、イタリア人監督のウエスタンに出演、その後堂々たるアクション映画のスターとしてアメリカのスクリーンに帰って来たことを考えると、クルーニーのテレビ時代も名声を得るのに大いに役に立っているし、人気番組の主演だったのですから、マイナスになってはいないでしょう。
フロム・ダスク・ティル・ドーンはわけの分からないホラー映画なのかも知れませんが、その後ブレークするサルマ・ハヤックも色を添え、お父さんにハービー・カイテル、娘にジュリエット・ルイス、クレージーなクルーニーの兄弟にクエンティン ・タランティーノという異色のキャスティング。テレビに目をつぶって映画界だけを見ると、この時点ではクルーニーが1番知られていないと言ってもいいぐらいです。
バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲はコメディーではありませんが、監督は一流。そして次のアウト・オブ・サイトでソーダベルク監督と運命の出会い。業界を良く知っている人ですから、本当に運命の出会いというのではなく、そこそこ知っていて良さそうだから仕事の話がまとまったのでしょうが、ここで運命の大ブレークをしたのはクルーニーではなく、ジェニファー・ロペスの方でした。彼女の威勢のいい姉ちゃんぶりに私は大いに感動、ファンになってしまいました。その上私がコメディアンとしてファンになったのはデニス・ファリナ とマイケル・キートンの方。
キートンが今後コメディアンに転向すると決心したなどという話は聞いた事がありませんが、彼の方が才能に満ち溢れています。キートンとクルーニーは共にバットマン出身。キートンはタランティーノ監督ジャッキー・ブラウンの FBI 捜査官の役をそのまま続投。あの時の FBI エージェントがアウト・オブ・サイトでロペスの恋人兼同僚になっていて、役者と役名が同じ。原作者が同じだったので監督が変わってもキートンを残したのでしょう。
アウト・オブ・サイトには多くの共演、助演俳優が出ていて、その後の成功は目を見張るものがありますが、成功はクルーニーの横を素通りしたような感があります。ジェニファー・ロペスが特に大ブレーク。音楽の世界で確たる地位を築き、映画はその合間に撮っていると思えるぐらいになりました。彼女の方がクルーニーよりはコメディーの才能があるのではと最近では思っています。
クルーニーとソーダベルクのコンビはその後も続き、オーシャンズ11でもクルーニーを起用しています。会社を共同で設立したのですから企画にクルーニーが参加するのは当然。そういう意味ではこのコンビは必然的なものなのでしょう。オーシャンズ12という作品も予定に入っているそうです。
彼の方から熱望して出演したというオー・ブラザーを見て私はクルーニーにコメディーの才能が無いと最終的に結論を出しました。コーエン兄弟はコメディー・タッチの作品ばかりをヒットさせています。キャスティングもなかなか良く、自作にオスカーをもたらしたこともあります。出演している人たちはおおむねコーエンの考えている事を良く理解し、期待に応えるように上手に演じています。ファーゴなどは完璧と言って良いぐらいで、オスカーの方から田舎で保安官やっているコーエンのかみさんの所にとことこやって来たのは当然でしょう。 オー・ブラザーでも助演はよくまとまっていたのにクルーニーは笑いに乗り損ねています。張り切り過ぎたのでしょう。
ウェルカム・トゥ・コリンウッドに出演したのは予算の関係だったのかも知れません。地味過ぎてクルーニーが顔を出さないとお客さんが来ない危険があります。大手でない会社は何とかして客寄せしないと、制作費の元が取れないで倒産。クルーニーが演じているのは車椅子に乗っている金庫破りの先生。目をぎらつかせて講釈を聞かせてくれるのですが、いてもいなくてもいいような役です。
皮肉なことに本人があまり好んでいないような役、カッコイイ軍人の諜報員の方はぴったり決まっています。結局シリーズ化されませんでしたが、ニコール・キッドマンと2人スマートな役でした。彼はアメリカ人だからジェームズ・ボンドの役は取れないけれど、ピースメーカー見てふとボンドの事を考えたのは私一人ではないでしょう。( 後記: その後キッドマンは似たような雰囲気の作品を出し、そこそこの成功を収めています。)
二枚目なのにたまにコメディーに出るとぴったり決まるという人にはそのボンド本人のピアス・ブロスナン、ブラッド・ピットなどがいます。個性派の性格俳優にもコメディーを軽くこなす人は何人もいます。ニコルソン、マルコビッチ、ラッシュ、デップ、上に挙げたキートン等々。あのデニス・ホッパーでもおもしろい味を出せる時があります。クルーニーはなぜこのハードルをクリアできないのでしょう。
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