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ウェルカム・トゥ・コリンウッド /
Welcome to Collinwood /
Safeknackers oder Diebe haben's schwer

Anthony Russo /
Joe Russo

2002 USA 86 Min. 劇映画

出演者

Luis Guzmán
(Cosimo - 事件のきっかけを作る男)

Patricia Clarkson
(Rosalind - コシモの女)

William H. Macy
(Riley - 妻にムショ入りされて乳飲み子を抱える亭主)

Sam Rockwell
(Pero - アマチュアボクサー)

Jennifer Esposito
(Carmela
- ペロが仕事の都合で誘惑する女性)

Andrew Davoli
(Basil - 小悪党)

Isaiah Washington
(Leon - ダンディーぶっている小悪党)

Gabrielle Union
(Michelleレオンの妹
- バージルが惚れ込む)

Michael Jeter
(Toto - 小悪党)

George Clooney
(Jerzy - 元金庫破り、
現在は金庫破りの先生)

Basil Russo (葬儀屋)
Angela Russo
(苦情を言う女性)

見た時期:2002年11月

要注意: ネタばれあり!

ドイツ語のタイトルについている Safeknacker というのは金庫破りのことで、その後についているのは「盗むのも楽じゃない」といったような意味です。このタイトルが映画の全てを表わしており、タイトルだけでネタが全部ばれています。

最近何度もクルーニーとソーダベルクの名前が一緒に登場するのでどうなっているのだろうと思っていたら、2人は共同経営者になっていました。それでクルーニーが制作で名を連ねることが増えて来たんですね。

今回もそういう作品で、クルーニーは出演と制作、ソーダベルクは制作をやっています。クルーニーはしかし大スター過ぎて、こういう作品には向いていません。出番では目立ち過ぎ、ポスターではど真ん中に座っています。制作だけにしておけば良かった。ただそれをやると、客層が Jerry and Tom のように特定のファンに限られてしまい、制作にかかったお金が回収できないかも知れません。その辺経営者としては台所の問題があるのでしょう。

クルーニーの作品はいくつか見ていますが、わりと決まっているのは大型の作品。本人が嫌がってもバットマンアウト・オブ・サイトなどがいいです。逆に存在が大き過ぎて周囲とマッチしなかったのがオー・ブラザー!。本人はコーエン兄弟に傾倒していて、どんな役でももらえれば引き受けるつもりだったようです。念願かなって出演しましたが、張り切り過ぎて浮き上がってしまいました。美男で通っている男が囚人服着て、汚らしいなりふりをして見せ、別なイメージを開拓しようとでも思ったのでしょうか。2人の囚人仲間に比べるとぴったり来ませんでした。それを反省したのか、今回は出番を抑え、演技も一生懸命に抑えていましたが、それでも彼の出るシーンだけ他の人より輝いてしまいます。しかし本作品では絶対輝いては行けません。パステル調の絵にギトギトの油絵の色をつけては行けない、燻しの所へぴかぴかのラッカーを使っては行けない、インディペンデンスの映画にクルーニーを使っては行けない・・・。出資だけはしてもいい・・・。

クルーニーは杉良太郎や三波春夫のように押し出しのいい主演向きな人なのだと思います。そう頻繁にある才能ではありません。ですから本人もそれを納得して、演じる時は大きく主演を張ってもいいのではないでしょうか。インディペンデンスが好きだというのは何となく分かる気がしますし、この人下積みも長かったそうですから、同僚の苦労を良く知っているんでしょう。ですからそういう人たちを起用しながらプロデュースの方にエネルギーを集中したらどうでしょう。

さて、今回はどんな作品かというと、ドジな男ばかりが集まって始める金庫破り。うまく行くはずの無いメンバーで、うまく行くはずのない計画。世界に誇れるドジ男がぞろぞろ集まってやり始めます。そういうところへカッコイイクルーニーが出て来ては行けません。やはり浮き上がります。しかし登場する時間が少ないので、観客が我慢できなくなる前に消えます。

これで5点ほど減点したくなりますが、それを除けばすばらしくアホな作品に出来上がっています。これは「すばらしくアホ」なのではなく、「すばらしい」「アホな」作品です。日本語は難しい。ずば抜けてアホだという点は保証します。

この種の作品に多いのですが、人々の困窮した生活の様子が良く出ています。似たようなテーマで大きなドラマも無く終わるインディペンデントの作品をいくつか見ましたが、これもそういうタイプ。ちょっと違うのは、本作品は大ヒットする可能性を秘めていることです。

出演者がすばらしい。インディペンデントの同窓会のような顔がズラリ。(ドイツではアンユージュアル・サスペクツなど言った人がいます。なかなかいいいいまわしです。)好きな人がぞろぞろ。

まずはアウト・オブ・サイトでドジで恐いチンピラ・ギャングをやっていたルイス・グスマンアウト・オブ・サイトでは相手がやり手の女刑事、ジェニファー・ロペスだったので捕まってしまいましたが、なかなかの迫力でキャサリン・キーナーの家に押し込みを試みていました。恐い、嫌な奴だと軽蔑していたら、次に見た映画では、警察のスペシャリストになって登場。どう見ても親しみなど沸かない御面相なのですが、ベストの出で立ちで、信頼できる警察官に見えました。俳優はこのぐらい変身できないと行けません。今回はまた元のチンピラに戻ってがんばりますが、この寄せ集めチンピラ・チームに運が回って来ることはありません。神様は冷たい。

グスマンは

・ パンチ・ドランク・ラブ
・ トラフィック
・ Mystery Men
・ アウト・オブ・サイト
・ ブギーナイツ

で見ました。

次はウィリアム・H・メーシー。ファーゴで初めて見たのですが、以来大ファン。いくつか見ましたが、失望したことがありません。ブギーナイツの時は出演すると分かっていたので一生懸命目をこらしていましたが、随分長い間どれがメーシーだか分かりませんでした。変装していました。この人も運のいい役というのはまず無くて、たいてい捕まってしまうとか殺されてしまう人です。誰も殺してくれなかったら自分で自分を殺してしまいます。テレビは見たことがないのですが、有名な病院の番組では長期出演をしているそうです。そこの主演の医者がジョージ・クルーニーです。

彼の作品は

・ シービスケット
・ ザ・クーラー
・ パニック 脳壊
・ Mystery Men
・ シビル・アクション
・ Jerry and Tom
・ 噂の真相 ワグ・ザ・ドッグ
・ ブギーナイツ
・ ファーゴ
・ スリル・オブ・ゲーム

後記: その後セルラーが加わりました。

で見ていますが、私が見た作品だけでも2本グスマンと重なっています。

このメーシーと以前ジェリー&トムで共演していたのがロックウェル。この人も好きで、グリーン・マイルの悪役が記憶に残っています。羊たちの沈黙でハンニバル・レクターの怒りを買って独房で死ぬ羽目になる囚人に勝るとも劣らぬ凄い囚人役でした。 Jerry and Tom ウェルカム・トゥ・コリンウッドと似た、出来の悪い犯罪者の話でした。メーシーが死ぬシーンは笑いが止まりませんでした。最後に撮り損ねたフィルムの断片を集めて見せてくれるのですが、そこにもメーシーが死ぬ寸前のシーンが出て来ます。呼吸ができないほど笑いました。ロックウェルは大スターの出る作品に顔を出していますが、これまでは端役。本作品ではセリフも多く、少し出世した感じです。次の作品 Confessions of a Dangerous Mind ではジョージ・クルーニーに起用されて、見事ベルリンの銀の熊賞を取っています。クルーニーさん、こういう所で良さをどんどん発揮して下さい。ロックウェルの作品で見たのは

・ マッチスティック・メン
・ チャーリーズ・エンジェル
・ ギャラクシー・クエスト
・ グリーンマイル
・ Jerry and Tom
・ バスキア

後記: その後の出世は著しく、主演や重要な脇役を続けています。例えばアイアンマン 2

彼らしさは Jerry and Tom に1番良く出ています。

パトリシア・クラークソンはつまらない映画ばかり見てしまいましたが、あのチル CHILLでどうしようもない母親キムをやっていた人です。

後記: 私の低い評価をものともせずその後どんどん出世を続け、遂に2004年のゴールデン・グローブ、オスカーにダブル・ノミネート。その事実に声援します。

・ The station agent
・ チル CHILL
・ グリーンマイル
・ バニラ・フォグ
・ ジュマンジ
・ The Untouchables

今回も結婚してもらえないあばずれ女で、あまり良い役ではありませんが、ポスターなどを見ると、ケイト・ブランシェットがやりそうな役に見え、そう言う意味ではちょっと得をしています。 彼女とはグリーンマイルでぶつかっている人がいます。チル CHILLの役があまりにも愚かだったので、イメージが悪くなってしまいますが、Dogville でラース・フォン・トゥリアに起用されています。演技で勝負する人のようです。

アホで運の悪い老人をやっていたのが、マイケル・ジェーター。ただしこの作品では最後この人にだけ運がついて来ます。金庫破りには失敗したけれど1000ドルを発見するのが彼。しかし人が良過ぎて、せっかくの金をメーシーにあげることに同意してしまいます。メーシーは乳飲み子を抱え、妻はムショ生活。その彼女を請け出すために1000ドルがどうしても必要でした。聞くも涙の物語。結局彼も本当の悪党になれません。だめなんですよ、ここで仏心出しては・・・。でもつい出してしまう。だからインディペンデントになってしまう。だから人に好かれる・・・。でも、財布は空っぽ。

彼はウェイクアップ!ネッド に出たらいいような老人ですが、それもそのはず。私が最初に出くわしているのは Hair です。とは言っても Hair はあまり好きではなかったし、人が大勢出ていたから、彼がどこに出ていたかなどという細かい事は全然覚えていません。ウェルカム・トゥ・コリンウッドでは彼のお尻が話題になったのだそうです。この人のお尻が出るシーンが卑猥だという事で年齢制限がかなり上になりそうになり、制作者、監督一同抗議した結果少し下がったのだそうです。見たくもないお尻なのでカットしても良いかと思いますが、おかげで話題作りに寄与。役名がトト、東洋陶器の TOTO と関係があるんだろうか。

彼の作品は

・ ギフト
・ グリーンマイル
・ トゥルー・クライム
・ マウス・ハント
・ ウォーターワールド
・ Hair

などを見ています。

ドン・チードルがやるかというような役をもらったのがイザイア・ワシントン。私が見たのはこんなところですが、

・ ロミオ・マスト・ダイ
・ トゥルー・クライム
・ アウト・オブ・サイト
・ ブルワース
・ ガール6

名前はもっと別な所で聞いたような気がします。

そしてご存知クルーニー

・ オーシャンズ11
・ スパイキッズ
・ パーフェクト・ストーム
・ オー・ブラザー!
・ サウスパーク (無修正映画版)
・ アウト・オブ・サイト
・ ピースメーカー
・ バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲
・ 素晴らしき日
・ フロム・ダスク・ティル・ドーン

と知らないうちにかなり見ています。上にも書いたように、彼には大スター用の大作の方が合っているような気がします。

しかしぴかぴかの特殊効果を使った大アクションの横で、職人肌でこつこつと映画に出ていた人たちが認められる機会ができた事は素直に喜んで良いのではないかと思います。クルーニーさん、今後も遠慮なく出資して下さいね。

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