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2005 USA 120 Min. 劇映画
出演者
Brad Pitt
(John Smith - プロの殺し屋)
Angelina Jolie
(Jane Smith - プロの殺し屋)
Vince Vaughn
(Eddie - ジョンの会社の人間)
見た時期:2005年7月
ドイツを代表する車の会社などが主催する野外の映画の催しに当たり、行って来ました。ここ暫く暑い日が続いていて、まだ日が沈んでいないうちに会場に行かないとダメなので、現在の体調ではダメかと半ばあきらめかかっていました。事故の後偉い医師たちが日光を浴びては行けないと決めてしまったので、これからの一生はバンパイヤと化して、日没以降と屋内しか活動しては行けないことになったのです。
ところが天は私の味方ををしたのです。夕方から雨が降り出し、出かける時には大雨に近くなっていました。会場についた時もしとしと。ドイツ人というのは豪雨の中、井上さんも行ったという野外の舞台でじっと何時間もオーケストラの演奏を聞くような国民ですので、台風でも来ない限り雨天中止ということは無いだろうとあたりをつけて出かけて行きました。
やはり、この程度の雨でヒットが予想される Mr.&Mrs スミスを中止するような人たちではありません。この日はプレミアだったのです。雨の中海岸に座るような簡易椅子をもらい、お城の前に陣取ります。良い席が取れ、防寒具と雨具を用意し、雨の中で待つこと1時間。すると何と雨が上がったのです。あたりはもう暗くなっていたので紫外線はますます減って行きます。雨天なのでさらに少ない。午後9時半から始まりましたが、CM や予告をやっているうちに日は完全に沈み、真っ暗。天は2度目も私の味方をしました。
しかしやたら寒い。当分体温調整が上手くできないので普通の日自宅でも凍えていることが多いです。この日も冬に着るのと同じ二重になった防寒防水ジャンパーを着て行きました。それでも映画始まって15分ほどで凍え始めました。ここでも天は私の味方をしたのです。寒いのは確かに不快ですが、寒ければ寒いほどどういうわけか痛みが減るのです。で、凍えはしましたが映画が終わるまで痛みで気が散ること無しに楽しめました。この作品はコメディーで、笑えないとなると見る価値が半減してしまうのです。天は3度目も私に味方しました。
普通の状況では雨で寒い日に野外というのは最悪。しかし今の私にはベスト。そのうえプレミアにただで行けるなんて、ちょっと前の不運を天は少しずつ相殺しようということなんでしょうか。運は天に任せっ切りにしない方がいいですが、時々振り返って見ると穴埋めしてくれている時もあるようです。
ウィル・スミス(本当にスミスだ!)、ジョニー・デップを押さえて主演におさまったブラッド・ピット。しかしスミス、デップのどちらかの方がこの役は上手くできたと思います。その場合共演はアンジェリーナ・ジョリー以外の誰かでないと合いませんが。
女性の方にはニコール・キッドマンの名前が挙がったそうですが、ピット+キッドマンですと、難しかったかも知れません。彼女が下手ということではなく、向いているかどうかの問題。中部ヨーロッパを見ているとなぜかブロンドの人は黒い髪の人をパートナーに選ぶ傾向があり、2人ともブロンドという例は少ないです。ドイツではブロンドというと必ずしも金髪の人をさすのではなく、傾向として明るい色の髪をしている人をさします。キッドマンは赤毛なのか金髪なのか良く分かりませんが、地毛は黒ではないでしょう。で、なぜかジョージ・クルーニ−などと並ぶと合っているという印象になってしまい、ピットですと似たタイプが2人並んでしまうという印象になってしまうのです。
キッドマンが激しいアクションに絶える得るかという問題もあります。ムーラン・ルージュの時何度か骨折したそうです。アクションはジョリ−でも体型だけを見ると大丈夫かなあと思ってしまいますが、彼女は何度か経験済み。ハリウッドというのは全然向いていないように思える人でもアクション・スターにしてしまうことがあります。
ピットはできる人らしいのですが、長い間《これだ!》という作品が無く、ハンサムだとかカッコイイという面ばかりが売りに出されています。他の人と大きく違うのはそこでハリウッドのシステムに大きく逆らわず、出ろと言われれば駄作に見えるような作品でも出て、美男顔で売れと言われれば素直にそれをやるところ。注意して見ているとどの作品に本人も乗り気かそれとなく分かるような演技をします。
Mr.&Mrs スミスはその中間を取ったような作品で、本人も結構楽しそうに演じています。演技の才能がキラリと光るような作品ではありませんが、存在感は十分で、スターとして大金のギャラを取る根拠はあります。アクション・スターとしてのピットはそこそこで、もっと凄い人もいます。しかしいい加減な事はしておらず、筋肉質な感じは出しています。
この作品はアクション、犯罪映画などという分類ができるかと思いますが、本当はラブ・コメディーで、話の中心はピットとジョリーの関係。その辺をピットは正しく理解しています。頭だけは良い人のようです。アクション・シーンでは本人の動きより、その結果壊れる家や家具の方に注目。注目に値するほど派手に壊れます。
夫婦の役の設定が微妙なおもしろさを出していて、ジョリ−は車の運転が上手ということになっています。そこで凄い車のスタント・シーンも出て来ます。彼女はアクションはトゥームレイダーで十分練習してあるので、高層ビルの窓から逃亡などというのもお手のもの。なかなかカッコイイです。しかしそれに目をそらされては行けません。運転中に夫婦喧嘩。そこで語られる話の方も愉快です。この映画の本質はそこにあります。
話はカウンセリングに行っている倦怠期の夫婦から始まります。名前もドイツならハンス・シュミット。英語に直すとジョン・スミス。こういう名前の俳優が昔カウボーイを演じていましたが、これはドイツでもアメリカでも《どこかの誰かさん》。奥さんの方もジェーンなどというこれまたありふれた名前。7年目の浮気を前にしていよいよ退屈さが増して来る夫婦です。
しかし2人はそれぞれ相手に隠している別な顔を持っていて、それがプロの殺し屋。有能で、大金を稼いでいます。このあたりはアーノルド・シュヴァルツェンエッガーが演じていたスパイの役とそっくり。しかし政府側の人間ではなく、民間の企業。トレーニングのできた殺し屋と、大金をかけて用意されたインフラで、ターゲットを倒して行きますが、2人は競合する別々の団体に属しています。ピットの方は小規模で、小さな事務所に属しています。ジョリ−の方は大きなビルに陣取って多数のスタッフを抱えた大企業。そしてある日仕事ではちあわせしてしまいます。仕事の邪魔をする相手は2日以内に片付けなければ行けないと、まるでやくざの掟のようなものがあり、ジョンとジェーンは対戦することになります。
2人が知り合ったのは物事をざっと考えるジョンが言うには5年前、物事をきっちり調べてやり遂げるジェーンによると6年前のコロンビア。2人ともシングルとしてコロンビアにターゲット殺害のために来ていました。事件は報道され、滞在中のホテルに調べが入って来たので危機一髪。独り者のジョンはちょうどそこにいたアメリカ人女性を急遽自分のパートナーということにしてしまいます。ちょうど自分が追われていると思っていたジェーンはちょうど都合良くそこにいたアメリカ人男性を急遽自分のパートナーということにしてしまいます。自己紹介ではジョンとジェーンと名乗り合いますが、相手が特殊な職業についているという風には考えません。それぞれが世間で通っているアイデンティティーを演じ、相手が実は別な仕事をしているとも考えていません。ピットとジョリ−は使い古したネタ、与太話を与太話として堂々と演じています。
お互いの正体を知った時、2人はファイト満々になり、横綱の対戦になります。それぞれが自分の仕事に邪魔が入ったと思い、調べたら出て来たのが夫/妻。こりゃたまげたワイと戸惑う時間も惜しいかのように、早速フル回転で夫婦喧嘩・・・ではなく、商売敵を消す作業に突入。で、その辺の物は壊れまくります。しかしなぜかとどめは刺さない。まるで2人の子供が、《自分の方が凄い》というところを見せたいので、相手に死んでもらっては困るかのようです。時代を反映してかジェーンの方がいつもジョンよりちょっと上手。
戦い、壊しまくった挙句に話は逆方向に展開して行きます。そりゃ高い金を払って連れて来たスターを使ったコメディーなのですから、どちらかが死んでおとしまいをつけるというわけには行かないでしょう。話はどういう風に進むか。アハハと笑って家に帰れるようになりますが、すぐ武器を捨ててキスというわけには行きません。後は見てのお楽しみ。
アンジェリーナ・ジョリーという女優は分かり難い人です。1度結婚し、別れ、2度目に結婚した男性は最初のご主人をそのまま年を取らせて皺だらけにしたような顔の人。性格などは全然違うようですが。その彼と暫くアツアツで、熱が冷めたらぱっと捨てて、酒豪のコリン・ファレルと一緒になるかと思わせたのですが、お酒の量の物凄さに呆れて別れたとか。現在は国連の仕事に熱心。私が見た作品は上に出たトゥームレイダー2本、当時のご主人と一緒に出たコメディー1本、その後撮った犯罪物1本。トゥームレイダーは型にはまった冒険アクション。コメディーの方はあばずれ女の役でした。オスカーを取った作品などを見ていないので、評価が難しいです。コメディーの時はそれほど目立ちませんでしたが、テイキング・ライブスからはあまりの痩せ具合に健康を心配しています。ホルモンの具合などで太ることができない人というのは確かにいますが、以前もう少しふっくらしていたので、ダイエットのやり過ぎかと心配してしまいます。スーパーサイズの食事をしろとか、マイケル・ムーアになれとは言いませんが、膝から下を見ているとマシニストになったのかと誤解してしまいそうです。こんどもうちょっと栄養つけて出て来てね。
もう1人忘れては行けないのがヴィンス・ヴォーン。この人は美男ではなく、妙な作品にも出る人ですが、個性があって記憶に残る人です。1番印象的だったのはムーンライト・ドライブのラストの高らかな笑い。危険な男や嫌な奴も演じるのが上手ですが、コメディーにもよく顔を出します。
ピットとジョリ−は特に結婚する予定も無いのにマスコミにラブラブの情報を流していましたが、分かるような気もします。Mr.&Mrs スミスは2人のスターが作品を撮っただけということですとちょっと弱い感じがします。そこでカッコイイポスターを作りました。ドイツでは女性用トイレにジョリ−、男性用トイレにピットの写真を張っている所もあります。それだけではまだ興行成績が心配なので、2人が一緒に散歩しているシーンをマスコミに流したりしているようです。するとゴシップ好きな観客が好奇心を持つ・・・。2人の演技を見ていると、プロフェッショナルにやっています。しっかりマスコミにも売り込めば、中程度のヒットも大ヒットになるだろうぐらいの計算はお手のもの。
後記: 2人のロマンスはプロモーションのギャグだろうと思っていたら、ジェニファー・アニストンをコケにして、2人は一緒になってしまいました。アニストンはグィニス・パートロフのような崩れ方はしませんでしたが、我慢を重ねたようです。ピットとジョリー、どうしても周囲の人を騒がせないと気が済まない性格なんでしょうか。
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