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The dead girl

Karen Moncrieff

2006 USA 85 Min. 劇映画

出演者

Toni Collette
(Arden - 母親の世話をする女性)

Piper Laurie
(アーデンの母親)

Giovanni Ribisi
(Rudy - 店員)

Rose Byrne
(Leah - 検死官)

Mary Steenburgen
(Beverley - レアの母親)

Bruce Davison
(レアの父親)

James Franco
(Derek - レアのボーイフレンド)

Nick Searcy
(Carl - 倉庫の持ち主、ルースの夫)

Mary Beth Hurt
(Ruth - カールの妻)

Marcia Gay Harden
(Melora - 娘が行方不明になった女性)

Gillian Pernoll
(Ashley - メロラの孫、幼児のため2人1役)

Elizabeth Pernoll
(Ashley - メロラの孫、幼児のため2人1役)

Kerry Washington
(Rosetta - メロラの娘のルームメート)

Brittany Murphy
(Krista - メロラの娘、アシュレイの母親)

Josh Brolin
(Tarlow - クリスタのボーイフレンド)

見た時期:2007年3月

2007年春のファンタ参加作品。

謎解きではありませんが、あらすじが大方明らかになります。見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

The dead girl で1番最初に登場するのは文字通り死体とその発見者。この死体にまつわる 物語が5つに分かれています。

事の起こりは行方不明になった若い女性。アーデンという孤独で貧しい女性が平原で死体を発見。警察に届けたので、レポーターなどがアーデンの所へ押し寄せて来ます。アーデンは病気で普段寝たままの母親に支配されて婚期を逃した女性。事件がきっかけで彼女に注目が集まることを嫌がる母親と揉め事になります。しかし知名度が上がったため彼女の前にはボーイフレンドとして、近所の食料品店の店員が立候補。彼女は母親を去る決心をします。第1話終了。

死体の女性検死官レアは最新の死体の検査中に死体の指に自分の姉と同じアザを発見。驚いて同僚に報告、行方不明者のチェックを始めます。両親にその事を伝え、姉は死んだのではないかという意見を言います。娘の死を絶対に認めたがらない母親とは争いに。一方で彼女の前には素敵な男性が登場。死という曇が上空を覆った人生から抜けようと歩み出します。第2話終了。

中年夫婦。夫が時々消えます。行方不明の女性を特集した新聞記事を保管していた妻が、ひょんな事から夫の留守中に見知らぬ女性の血のついた下着などを多数発見してしまいます。夫婦仲は冷えていて、夫が彼女に何も語ろうとしないことに疲れ果て、彼女は証拠品を警察に持ち込もうとします。しかし何かに躊躇いを覚え、証拠品を自分で処理してしまいます。これまでは売春婦を買いに行っていたのだろうと思っていた妻は、今では夫が連続殺人犯と確信しています。第3話終了。

娘クリスタの行方不明を警察に届けた母親。観客は1番最初に発見された死体が彼女だと知っていますが、警察は母親の事情聴取をしている段階。刑事がちょっと席を外した時に、母親はクリスタの最後の居住場所の住所を盗み見ます。そのメモを頼りに行ってみると、それはマルホランド・ドライブ的なモテル。ロゼッタというルームメイトと知り合います。

ロゼッタとクリスタの生活はかなり荒れています。上品な母親と、娼婦のような姿のロゼッタは最初言い争いますが、徐々に打ち解け、母親は娘にアシュレイという子供がいることを知ります。その子を引き取って帰ろうとした時、ロゼッタが悲しみ、それを見てこんな荒れた生活でも人間的なつながりがあった事を知ります。母親は良かったら自分と一緒にワシントンへ来ないかと誘いますが、ロゼッタはできないと断わります。麻薬中毒が障害になります。第4話終了。

最後にまだ生きているクリスタの登場。間もなく娘アシュレイが誕生日だというので、プレゼントを用意し、娘を預けている場所へ行く予定にしていました。ところがそこへ車で行ってくれるはずの男に用ができておじゃん。知り合いにバイクを借りて1人で向かいます。ところが道中ガス欠。そこで出会ったのが連続殺人鬼のカール。第5話の後空白の時間があって、第1話に。

輪舞形式の話ですが、社会問題中心の筋運びで、ファンタの普段のタイプとは違います。1つの死体が引き起こすいくつかの出来事を並べてありますが、犯人は逮捕されず、母親はまだ娘の死をはっきり知らされておらず、宙に浮いたまま幕。

かなり美人のブリタニー・マーフィーですが、The dead girl ではメグ・ライアンに良く似た笑みを浮かべます。同じ病院で整形をしたかのようにそっくりです。彼女はスパンでも似たような役をやっていました。せっかくの顔を麻薬でやつれたメイクにして、怒鳴りまくります。

トニ・コレッテはノーメイクかと思えるような殺伐とした姿で出て来ます。パイパー・ローリー演じる独裁的な母親に支配された娘役で、中年に近付いているのにボーイフレンドもおらず、孤独な生活を続けていました。この程度の役は軽くこなす性格俳優です。

ジョバンニ・リビシは今1つ好きになれない俳優です。演技が似ている俳優としてはマイケル・J・ポラードがいますが、私はリビシの方が苦手です。これまでに見た作品では演技がいつも似通っていたのと話し方が好きになれないのが原因です。

ローズ・バーンはここでは感じのいい、あまり個性の無い女性を演じています。彼女は春のファンタでは2回の出演。両作品とも個性の強くない役ですが、端役ではなく、台詞も多いです。

その他マーシャ・ゲイ・ハーデン、ケリー・ワシントンなどが十分台詞を言う時間とテキストを与えられ、女優としては満足の行く作品と思います。ただ、ファンタに出すには犯罪、推理面がメインになっておらず、The dead girl は5つのエピソードを通じて人間関係を表現する作品です。そのためインテリ層には受けると思います。スパンの他に思い出すのは Ken Park。社会の底辺、底辺に住む人の心に目を向けています。

ファンタというのは英語にさえ強ければ(字幕が無い作品もある)、18歳以上という以外参加制限の無い映画祭です。インテリの人も1年に2度、合計10日はインテリジェンスを忘れて、アハハと笑い、キャーと叫び、友達と一緒に「凄いなあ」と驚くための映画祭。あまりモラル、ドグマ、メッセージは大きく取り上げられません。

その中に今年の春のファンタでは2作品ほどモラルを問う、あるいは人間関係の荒廃を問う作品が出ました。ファンタに定着するかは未知数です。

後記: 時々まだ若い名の知れた俳優が死ぬようになりました。先日はブリタニー・マーフィーの番でした。彼女がどういう人生を送っていたのかは全く知らないのですが、女優としては期待をかけていました。非常に美人なのですが、汚れ役もこなせ、壮絶な表情を浮かべる演技も見たことがあります。まだまだ今後大きくのびる人だと思っていたのでとても残念です(2010年)。

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