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USA 2017 135 Min. 劇映画
出演者
Chosen Jacobs
(Mike Hanlon - 連続殺人事件の起きたメーン州の町の住人、写真の発見者、司書、負け組メンバー)
Steven Williams
(Leroy Hanlon - マイクの父親)
Bill Skarsgård
(Pennywise - 人の弱さに漬け込むピエロ、悪魔、超能力を有する)
Jaeden Lieberher
(Bill Denbrough - イギリスに住むマイクの知人、被害者ジョージーの兄、負け組少年クラブのリーダー)
Jackson Robert Scott
(Georgie Denbrough - ビルの弟、兄に魔法の石の話をしてもらいたがる、ピエロに出会い、死亡)
Geoffrey Pounsett
(Zack Denbrough - ビルとジョージーの父親)
Pip Dwyer
(Sharon Denbrough - ビルとジョージの母親)
Jeremy Ray Taylor
(Ben Hanscom - ニューヨークで暮らす建築家、マイクの友達、負け組メンバー)
Sophia Lillis
(Beverly Marsh - 父親に虐待されている少女、シカゴで服飾デザイナーをしているマイクの友達、ベンが彼女を好きだった、負け組メンバー)
Stephen Bogaert
(Al Marsh - ベヴァリーの父親、娘を虐待する)
Finn Wolfhard
(Richie Tozier - マイクの友達、カリフォルニアでコメディアンをしている、負け組メンバー)
Jack Dylan Grazer
(Eddie Kaspbrak - ベンと知り合う、父親は朝鮮戦争で戦死、ニューヨークで母親と暮らしている、負け組メンバー)
Molly Atkinson
(Sonia Kasprak - エディーの母親)
Wyatt Oleff
(Stanley Uris - マイクの友達、負け組メンバー)
Ari Cohen
(スタンリーの父親)
Janet Porter
(スタンリーの母親)
Nicholas Hamilton
(Henry Bowers - 高校の不良少年、殺した動物を冷蔵庫に貯めている、苛めっ子グループのメンバー)
Stuart Hughes
(Oscar Bowers - 警官、人種差別者、ヘンリーの父親、ハンロン家と反目し合っている)
Logan Thompson
(Victor Criss - ヘンリーの友達)
Megan Charpentier
(Gretta - マイクたちのクラスメート、スノッブ)
Jake Sim
(Belch Huggins - 不良少年の中で1番体格がいい)
Owen Teague
(Patrick Hockstetter - サイコパス)
Elizabeth Saunders (Starret)
Joe Bostick (Keene)
Katie Lunman
(Betty Ripsom)
Sonia Gascón (Ripsom)
見た時期:2017年9月
2017年の夏のファンタのオープニング作品。原作がスティーヴン・キングだったのでちょっと期待していました。135分も頑張って見たのですが、あてが外れた感じです。
事前に集めた情報では7人の子供が話の中心。故郷で一緒に育った仲良しやいじめっ子。27年後に大人になって再会、ストーリーは思い出シーンもあるので、現在と90年代を行ったり来たりということでした。
実際は私たちが見たのは大長編の前半。それだけで135分。なので私は時々時計を見ていました。いつ終わるんだろうって。
後半が制作されればファンタに来るかも知れません。
★ ピエロ出没
物語の狂言回しはピエロ。演じている俳優の様子から見て、大人。俳優は27歳なんですって。定期的に現われて悪さをします。素顔は感じのいい青年ですが、役の都合上べったりと濃いメークをしています。子供が弱みに付け込まれ、取り付かれると命に関わります。資料によって違うのですが、30年周期で現われるという記事と27年おきに現われるという記事がありました。
舞台はスティーヴン・キングお好みのアメリカ北東部。 原作は1986年出版。小説発表後間もなくの1990年にスティーブン・キングのイットとしてテレビ・ドラマされています。
★ 実在のピエロ
今年は実在のモデルがいる殺人事件の映画化が多かったのですが、この小説、映画にもモデルになった事件があります。
ジョン・ウェイン・ゲイシーという男で子供の前にピエロの姿で現われ、少年を餌食にしていました。知られているだけで33人を殺しています。まだゲイであることを公にしにくい時代の話ではありますが、狙ったのが年端も行かない子供だったことを考えると、ゲイであるよりも、自分より弱い者に襲い掛かるという面の方が問題だったのではないかと、現代なら考える人がいてもおかしくありません。
私がそう考えるのは、ゲイシーの父親が病気のため、怒りを家族の弱い人に向けていたからです。男性が素敵な男性に出会ったり、女性が素敵な女性に出会ったりして、一緒に生活しようかと思うのは構わないと思いますが、親から虐待されたりして、男性恐怖症や、女性恐怖症になってしまうところから発するゲイの場合、まずは虐待で受けたストレスから解放され、改めて自分は男が好きなのか、女が好きなのか考えて見ても遅くないのではと思います。男女でもゲイでもそういうストレスの無い中でのパートナー選択が望ましいのではと思います。ベルリンのゲイ人口は他の町に比べ高いのですが、かなり定着して来て、新しい世代も育っています。家庭の事情などに追い込まれてのパートナー選択が減ればと祈っています。
ゲイシーは職業的に徐々に成功し、結婚もします。働きぶりは周囲に認められ、地域社会のためにボランティア活動も始めます。 しかし未成年男性相手の関係がゆすり事件に発展し、刑務所行き + 離婚。ところが刑務所で学業に精を出し、これまた成功。高校も出ていなかったゲイシーは通信教育で大学まで行き、刑期は劇的に短縮。
その後再犯でまたとっ捕まりますが、運良く不起訴。優秀な面と運を持つ一方、どこかしらでモラルがスパッと抜けていたらしく、その後は未成年と関係するだけではなく、殺しを始めます。最初は誤解から相手を殺してしまったのですが、その後の殺しは計画的になります。同時に企業家としても成功を重ねて行きます。再婚。社会には受け入れられ、この頃からピエロに扮してボランティア活動を始めます。また離婚。少年犠牲者の数はその後増大。
実業界の関係から政治家にコネができ、警察が怪しんでも逃れていましたが、警察は色々怪しい出来事を観察し、きちんと逮捕しようと決心。家宅捜索の結果自宅から29人分の死体を発見。他に川に捨てられたケースもあり、現在では9歳から20歳の33人と言うことになっています。
記事を書き始めた頃にはまだばれていなかったのですが、10月末、日本で9人の死体を解体したという男が逮捕されました。何となく「この人が?」という印象だったのですが、最近おもしろい分析をした専門家がいました。
その人によると、捕まった男はこの事件の1部分、具体的に言うと、死体の処理だけを担当していたのではないか、集められた人たちは別な人に殺されたのではないか、そういう事を趣味でやっている非合法のグループがあるのではないかという推理でした。
全部の推理に納得するわけではないのですが、捕まった男が人を呼び寄せる、殺す、死体の処理をするという作業を短期間に9回行い、それでいてああいう普通の表情をしている話にしっくり来ず、専門家の推理になびこうかなあと迷っているところです。
裁判上のテクニックなのか真実なのか分からないのが、彼の多重人格説。直前に他の事件で多重人活が報じられていたので、そこからヒントを得て演技しているのか、弁護士の助言だったのか・・・。仮に彼が多重人格者だったとしても1つの体を共有する4人の男(精神)が33人殺しているので、中の誰かが責任を取らなければ行けないですよね。
33人分として死刑12回、終身刑21回、合計33の刑を受けます。しかし再審請求など様々な手を使って処刑を免れること14年。しかし新たに服役中に知り合った文通相手を殺そうと計画。面会におびき寄せ殺しかけたため、これまで彼を助けようとしていた側も呆れ、再審請求は却下。ブルース・ブラザーズのジョリエット・ジェイクも入っていたというジョリエット刑務所で死刑。
この男が原作に登場するピエロのヒントになっているそうです。欧米人はピエロが好きな反面、時々怖い小説や映画が作られています。君たち、ピエロが好きなのかい、嫌いなのかい、はっきりせい。
★ 7人の子供中心
物語をピエロ中心に描いたら、恐ろしい話になるか、サド・マゾ・ポルノ(=過剰なサド・マゾ)映画になるかでしょう。キングは中心を子供の方に置き、性の餌食にされた上殺されてしまったシーンは横に置いています。犠牲になる子供たちの家族や友達との付き合いの方に視点を置いています。
物語のきっかけは雨の日。兄ビルから紙の船を貰った弟ジョージーが外出。ところが運悪く船は排水溝に流されてしまいます。せっかくビルが作ってくれたのにと悲しんでいたら、排水溝の中からピエロが話しかけて来ます。風船や飴をあげようかって。釣られてしまったジョージーは姿を消します。現場には大量の血痕。
映画ではこの事件が発端。町ではこの他にも子供が消える事件が続いていました。主人公の子供たちは7人。中にはこの事件の新聞記事などを図書館で読む子供もいます。ピエロが見える子供と見えない子供がいます。ここで仲良くなって行くのはピエロが見える子供たち。
この子たちの敵はピエロだけではありません。町にはいじめっ子グループがいて、主人公の子供たちは苛められる側。その上苛められっ子グループの子供たちの家庭環境も良くありません。ビバリーは父親から虐待を受けています。
パート1では子供たちがグループを作る過程、子供たちの家庭の事情、苛めっ子との関係を紹介し、最後に苛められっ子グループが結束してピエロと対決する決心をする所までたどり着きます。
図書館通いをしている坊やがピエロは27年ごとに現われることを突き止めているので、子供たちは27年後の再会を約して血の約束をして第1部終わり。
★ いいんだろうか
この作品が好きになれなかった理由があります。長過ぎるのもその1つですが、子供たちの撮影方法がまるで、子供に悪さをする大人向きの商品カタログのように見える点です。子供たちの表情や、アングルがまるで、襲って下さいといわんばかりの雰囲気を持っているのです。無論全ての子供の出る映画をディズニー・タイプにしろとは言いません。ただ、人に悪さをけしかけるような撮り方には疑問を持ちました。
成人した女が超セクシーな姿、立ち居振る舞いで現われ、大人の男を誘惑するのとはわけが違います。子供の場合本人の意志ではないでしょうし、演技指導をするのは大人。そして子供の俳優には自分のやっている演技が犯罪を誘発するかの判断もできません。監督やマネージャーが言う通りにやっているだけでしょう。
今年のファンタ作品には確かもう1つこの点で引っかかった作品があったように思います。新しい流行なのかも知れませんが、《何でもあり》主義には賛成できません。
続編がファンタに来たら無論見ますが、何となく積極的にはなれません。
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