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参加作品
開催予定:2017年9月
今年のファンタも終了しました。次は来年の1月。
今年はトップを切って始まったのがミュンヘン。ベルリンは真ん中あたり。 12日開催が最長で、それがベルリン。(短編特集を1枠と計算して)全部で58枠、本数にすると54本、再上映4回でした。
長い間初日2枠、大抵の日が6枠、週末1日は7枠、最終日は5枠と言うことが多かったのですが、今年は大抵の日が5枠でした。主催者、参加者共年を取ったのでこういうのがいいと最初は思ったのですが、実際は・・・
・ 休暇を取って、この時期家に帰るのは数時間だけ、他は映画館で過ごし、
仕事も何も忘れたいという人に取っては物足りない
・ 実際にこのスケジュールでやってみると却って疲れた
と言う話を10年選手、20年選手、25年選手などのベテランから何度か聞きました。
私は2つの意見の折衷というところです。今年始めの手術、その後の長期休養が却って祟って、基本的な体力が落ちていました。なので今年に限ると体調不良を起こす日が多々ありました。これから来年に向かって基礎体力を強めようと計画中です。
90年代頃から仕事は仕事、教室や事務所のドアが閉まると次の日の勤務まできれいに忘れてしまうようになったので、わざわざファンタを利用して仕事のストレスを忘れる必要は無いのですが、映画以外何もしない、映画館に住んでいるような12日間というのは私にもいい区切りになっています。
さて、今年ですが、やや不作の年と言えます。自分が体調不良で作品に十分集中できなかっただけなのかと思っていたら、長年の友人の間からも不満の声が聞かれました。それをまとめて、自分の意見も加味すると、
・ 以前に優秀作品が溢れかえった年が何度かあった
・ それほどではないものの佳作が並び、ジャンルがファンタに良く合う作品がほとんどだったが、今年はエンターテイメント性重視のファンタより、(モラルや教育効果を狙った作品の多い)ベルリン映画祭に出した方がいいと思われる作品が目立った
・ 撮影にはそれなりのお金が使われているが、ストーリーが練れていない作品が多く、犯罪や異常な出来事をただ列挙しているだけのスタイルがちょくちょくあった(「何のために作ったの?」という感想になる作品が多かった)
・ 「予算は少ないけれど何か新しい事をやってやろう」という意欲作が少なかった
これに加え、日本の作品ではプロットは悪くないのに俳優の演技の稚拙さで大損している作品が多いというか一応上手く行った作品が1本だけというもったいなさが見られました。これは日本語を使う人間にしか分かりませんが。
【私の限られた範囲でのベスト5】
(順序不同、体調不良の時に当たった作品はご愁傷様、数に入っていません。)
The Crucifixion (宗教、医学などいくつかの視点を公平に取り入れていた)
The Mermaid (この監督のファンには不満が残るようだが、この1作だけを他と比べずに見ると、大笑い。つい調子に乗って2度見てしまった)
Radius (今年の作品の中では珍しく、プロットに新しい試みが見られた)
Shock wave (アクション映画としても良かったし、アンディー・ラウファンは大喜び)
The strange ones (この種の作品は時たまあるが、安定した作りで、地味だけれど良くまとまっていた)
【圏外ですが、多少見るべき所があった作品】
Darkland (デンマークではアラビア系、ドイツではアラビア系とトルコ系の映画人が頑張り始めている、主人公の目線で観客が話について来られるように緻密に演出されていた)【恐らくはと思われる蛇足】
主催者はファンタの他にかつてゲイの映画祭も毎年やっていました。あちらの作品は必ずしも犯罪、オカルト、アクション、ファンタジー、SFである必要はありません。ゲイというテーマの方に重点が置かれています。
そして最近は権利を他の団体に譲り、関与していません。ただ、その名残りでゲイ関係で犯罪などがからむ作品を少し取り入れています。それがややベルリン映画祭向けの傾向を示したのかも知れません。
原因不明の体調不良が続いています。そのため座席に座っていても内容を理解できない作品が出始めています。一生を通して滅多に起きない頭痛、視力障害、目の痛み(なぜか病気でない方の目も)、普段まず起きないめまいが続いています。
蛋白質系の食事にしているので足腰はがっしりしていて、ちょっと前のように体に力が入らないということはありません。皮膚、毛髪の状況を見ても、これまで時たま起きたような乾燥の症状は出ていません。
なので、何がどう悪いのかは謎です。
7日目の1作目は初日に上映された人魚のコメディーの再上映だったのですが、もう1度見に行きました。私は同じギャグで2回笑える経済的な人間です。
日本で企画されていたのが契約のトラブルで韓国へ移された怪獣映画は、やはり不発という印象を残しますが、俳優は頑張っていました。
最終の回の Fashionista は終盤ぎりぎりまでつまらない作品という感じでしたが、1番最後に捻りがあり、そこから逆に考えると結構出来のいい作品でした。日本人として登場する人がちゃんとした日本語を話せなかったのはご愛嬌。
8日目は体調不良で見たのは3本。イスラエルの作品は珍しく後味が悪かったです。詳しくは下を参照してください。
イスラエル、アイスランドと普段あまり見られない国からの作品が来ていたので期待の1日のはずだったのですが、アイスランドの作品もほとんど理解で来ませんでした。体調不良のためただ座っているだけと言う風になってしまいました。最終の回はパスして帰宅。残念な1日でした。
6日目。今日で前半終わりです。フィンランド映画の関係者がゲストとしてやって来ました。
でも、この日のハイライト、そして個人的にはファンタ全体のハイライトはアンディー・ラオ主演の拆彈專家。観客の期待をしっかり把握した大活劇です。もう1度見たい。
5日目は三池特集。この日の作品数は6。今年のファンタの最多の本数の日です。三池の1本目は比較的良くて、2本目はそれよりレベルが下がります。前日最新作を見ました。新しくなるに連れて階段を下りるようにベレルが下がっています。偶然なのか、予算が下りる代わりに条件をつけられたのかは分かりませんでした。
4日目は反日デイ。日本人で自ら世界に誤解を撒き散らしている有名人がいますが、その一環で作られたような作品が1本。刀の使い方を心得ないというか、扱い方を知らないと非常に危険な物だという事を知らないアメリカの子供たちが、人生がガラッと変わるほど思い知らされる作品が1本。日本語のタイトルをつけたのはいいけれど、観客を無視して監督が自分の道を突き進んだ芸術作品が出ました。
国がある程度力を持つと、その国に反対するキャンペーンが張られることもあるということなのでしょうか。
3日目。4本は期待をやや裏切る良さで、1本は期待通りのつまらない作品でした。
また、最初のゲスト軍団が来ました。前の作品の前の休憩時間に大きなポスターを何枚か窓ガラスに貼ろうとしている男性がいたので、手伝いました。その人が何とゲストが大挙してやって来た作品の主演。びっくりしたな、もう。
本日からフル・メニユです。今年は1日5本。
トレイラーを見たり、インターネットの情報で予想していたのが大きく外れました。それほど高い期待をしていなかった方に佳作がありました。
7月に職場復帰してから月を追うごとに仕事が増え、原稿は書いていたのですが、アップに至りませんでした。
そうこうしている間にファンタに突入。そこまでの事情はまえがきをご覧下さい。
今日はこれから2日目に出かけます。1日目の2本の感想は書きました。ナビは現在調整中。
カテゴリーが増えました。現在までに分かっているのは
・ オープニング
・ 注目の作品
・ 注目の監督(Wolf Creek の監督)
・ ハチェット10周年記念(2006年に1、2010年に2、2013年に3がファンタに参加。3作目は別な監督。)
・ 三池崇史監督2本立て(+ 最新作も別枠で1本)
・ 血の滴るコーナー(10本)
・ 短編集(9本、合計105分)
・ フィナーレ
今年は2人の監督が作った作品が多いです。
今年の注目の監督はオーストラリアのグレッグ・マクリーンなのですが、なぜかファンタお気に入りの三池の作品がたくさん出ています。私が見た最近の三池作品はあまりいいとは思わないのですが、1999年、2012年の作品が出ています。もしかしたらそちらはおもしろいのかも知れません。
血の滴るコーナー(コンペ)の作品が決まりました。
カテゴリーが決まり始めました。今年は例年に無く早く決まっていくような印象です。
事前に作品について少し勉強しておく時間ができるので助かります。週末に1本見るといった生活だった頃は映画館に行って、見てからびっくりすればよかったですが、10日ちょっとの間に60本以上見る者は、多少下見をしておかないと、何かいい物を見逃すのではないかという気持ちになります。特に、本邦初公開でいつDVDが出るか分からないような作品が多く、時には世界初公開も混ざります。
トレイラーを見るだけでも、撮影が美しいとか、筋が凝っている、俳優ががんばっているなどということが少し分かります。
フィナーレの作品が決まりました。韓国作品です。この監督が以前撮った作品の日本版リメイクも参加しています。韓国流の恨みを日本でどういう風に料理するのかが見物です。
今年は韓国オン・パレードの年になるのでしょうか。この他にも韓国、韓国人俳優の絡んだ作品が出ています。政府は経済、外交とも大混乱の中、映画だけはきっちり作っているようです。
これまでは血の滴るコーナーでコンペが行われていましたが、今年はそれに加えて短編のコンペも行われるようです。
今年は早々、5月頃からファンタの参加作品が決まり始めています。まだカテゴリーは不明。ベルリンの開催はごっそり9月に移りました。
ナビゲーションは追って調整します。
オープニング
監督はアルゼンチン出身。短編の Mama を見たギレルモ・デル・トロの口利きで長編を制作。アメリカでは成功。 短編を撮った後に同じ作品を長編として作ることを過去2回やっている。It はその後に作った作品。
物語は現在と過去を何度も往復。
トレイラー: いかにもスティーヴン・キングという作り。これを「やり過ぎ」と見るか、「キングはこうでなくちゃ」と思うかは個人の趣味の問題。
後記: 120分というふれこみだったのですが、ファンタでは135分版。ちょっと長過ぎます。しかもこれは前半。パート2があるようです。そちらではパート1に登場した少年少女が大人になっているところから始まるようです。
問題点が3つ:
・ 長過ぎる。
・ 年端の行かない少年少女に悪さをする人たちに対して宣伝カタログの効果が出てしまうシーンがある。
・ 80年代の雰囲気があまり出ていなかった。
パート2で2つ目の問題点が解消されることを祈ります。
ハチェット10周年記念
参考資料 − 2006年上映
Hatchet / Terror no Pântano/ Hatchet - Pesadelo no Pântano / School American Horror / Butcher: la légende de Victor Crowley / Hatchet ハチェット2006年に Hatchet ハチェット、2010年に Hatchet After Days ハチェット アフターデイズ、2013年にハチェット レジェンド・ネバー・ダイが参加しています。Hatchet ハチェットとHatchet After Days ハチェット アフターデイズは見ていません。ハチェット レジェンド・ネバー・ダイは見ました。ハチェット レジェンド・ネバー・ダイは別な監督です。 アダム・グリーン監督がHatchet ハチェットを作った時は長編2作目でした。
注目の作品
血の滴るコーナーにも参加。
これまでの作品は全て2人の監督の共同制作。
シチリアの小さな村から13歳の少年が消える。クラスメートで彼に恋をしていた少女は人々の沈黙を受け入れない。
トレイラー: 1週間ほどシチリアに行っていたことがあるのですが、トレイラーに描かれている気候や景色とかなり違います。トレイラーの景色はまるでチェコかドイツのよう。シチリアはもっと明るく、暖かい感じです。
後記: トレイラーで受けた印象のまま話が進みました。駆け足でしたがシシリアの4分の3ほどの場所へ行き、島内最高峰の山にも登りましたが、こういう感じの気候の場所はありませんでした。ベルリンに住んでいる人間の印象では夏でしたが、訪れた時期は秋です。私たちは半そで、コートやヤッケは必要ありませんでした。一体どこで撮影したんだろう。
話はうっすらと実話をなぞりながら書かれた台本。どうやら当局に迫られて組織に関する証言をしたマフィアの家族がいたようです。見せしめとしてその家の息子が誘拐、監禁、そして結局は殺され、死体は薬品で溶かして捨てられてしまったそうです。
シチリアだけに限って言うと、貧困と失業がマフィア業に人を向かわせるという点はあるようで、私の見た範囲だけで言うと、公僕、マフィアのどちらかの選択肢と、失業者が目立ちました。実際行って見ると、観光と漁業以外にこれと言った産業が目に付かず、国からの予算で生き延びているのだろうかと当時も思いました。
海水浴場、火山、おいしい料理は観光客を呼び寄せるのにいいですが、観光は客の自国での懐状態に影響されるので、世界的に景気が悪化すれば、まず削られる項目です。なのでシチリアが観光だけを頼りにしていると、かなり収入が左右されます。
作品のあらすじ: 島内には派閥があり、マフィアの仕事に就いている人、そうでない人の区別のほかに、マフィアで当局の捜査に協力した人は特に強い村八分に遭います。そんな状況の中で知り合ったジュセッペとルナはロミオとジュリエットの立場になってしまいます。
そしてある日ジュセッペが数人の男に誘拐され監禁されてしまいます。警察の制服を着た男もいたのですが、偽警官だったようです。学校の卒業も控え、大切な時期だったにも関わらずルナは必死で周囲にジュセッペの事を説いて回りますが、誰も本気で探そうとしません。沈黙の壁にぶつかって1年以上。
親友と一緒にチラシを作って町に撒いても結果は思わしくありません。悪夢にうなされたり、孤独にさいなまれる中がんばり続けるルナですが、一時は精神病院に送られ、周囲はルナの頭がおかしいという雰囲気を作ってしまいます。
結局ジュセッペは救出されることも無く、殺され、死体は薬でばらばらにされ海の藻屑に。ルナは親友が紹介してくれた新しいボーイフレンドと幸せを掴みますが、それでもジュセッペの事が心に引っかかったまま映画は終わります。
2人のロミオとジュリエットぶり、弱い女でないルナのがんばりが長時間描かれますが、結論として監督が何を訴えたかったのかは焦点が定まっていませんでした。マフィアの犯罪を告発するのが目的なら、変な幽霊話や、お告げは入れない方が良かったと思います。
後半、普段は覆面をしてからジュセッペを見張ったり世話をしていた男が声からジュセッペに身元を特定されてしまうシーンではインパクトを強められると思ったのですが、それ以上の言及はありませんでした。要は父親に近い人にジュセッペは誘拐され殺されたわけです。
注目の監督
2005年 Wolf Creek で長編デビューした監督。2013年の Wolf Creek 2 もファンタに来ています。
先日はテレビ俳優を使い、コロンビアでロケをした Das Belko Experiment も来ました。南米ロケが安上がりで済んだのでしょうか、今回もコロンビアと共同制作です。まさか、有名な民間経営兵士養成所の訓練を暗示したのではないことを祈りますが、Das Belko Experiment のラスト・シーンは注目に値します。
2001年に脚本を自分で書いた短編でデビュー、2005年に長編デビューしていますが、欧米の監督に比べ作品数はあまり多くありません。
Wolf Creek では1人、2人の人が生き延びることだけがテーマ、Das Belko Experiment では大勢の人が同僚や友達を殺して自分だけが生き延びるのがテーマ。今回は数人の旅行者とガイドがボリビアのジャングルで生存をかけてまた何か・・・。
Jungle はちょっと前不思議な作品で生き残れなかった死体役で出ていたラドクリフが主演。
トーマス・クレッチマンは東ドイツの元水泳選手。モスクワオリンピック直前に徒歩で西側へ亡命。ローテンブルクの人食い男(2002年逮捕)をテーマとした映画に出演(2006年)したものの、8年半の禁固刑で服役中の犯人から公開差し止め要求が出され、ドイツでは未公開。検察が上告したため、犯人は終身刑。現在被告側が上告中。映画は2009年に上映許可。クレッチマンは顔だけ見ると穏やかな人物のようなのですが、こういう変な役も回って来るようです。
この種の生き残り映画は好きになれない・・・。
後記: ホラー映画でした。ラドクリフがやらなければ行けない事はやらず、やっては行けない事はどんどんやるのです。大体から外国で知らない人に話しかけられてああも簡単に信頼してしまうところから考え直してもらいたいものです。
元ネタは現在58歳のイスラエル人。イスラエル人と聞くと、国中の人がしっかり兵役をやっているし、四六時中周囲の国ともめているので、一人一人がしっかりサバイバルの心得を持っているものと思い込んでいました。ラドクリフの演技や、映画の状況描写を信じるとすると、随分おバカさんだったようで、本当なのだろうかと疑ってしまいます。
三池崇史監督2本立て
2本立てというふれこみですが、最新作も来ているので、実際は3本です。
プロットだけを見ると、御伽噺のように次々人が殺せて、後半まではばれないという荒唐無稽な話。これを受けるようにするには語り口が重要。原作を読んでいないので、上手く読者や観客を乗せることができたのか、想像がつきません。
トレイラー: 予告を見ただけの感想です。
最近の作品を見ていて、評価が高過ぎと思っていましたが、これ(悪の教典)こそがファンタが好む三池スタイルではないかと思いました。
後記: フェスティバルでは3本目、この日では2本目の三池の作品。
トレイラーを見ての予想通り学芸会のレベルの演技でした。3本の三池作品のうち2本が大量殺人。これを見ると日本人は大量殺人が大好きな国民だという印象になります。
監督は原作に従ってこういう作品を作ったのだと思いますが、演技指導に時間をかけたらもう少し見られる作品になったのではと思いました。
人生をちょっと甘く考えていた普通の男が、異常な形で独占欲を発揮する女に出会い、危うく命を落とすところだったという話。筋だけを読むと平凡な男たちと異常な女の対比のよう。最近良く言われるトラウマ、サイコパスのテーマを15年以上前に取り上げている。原作は映画公開の2年前に出版。
トレイラー: 雰囲気は最近の三池作品よりいいです。このコーナーの2本こそがファンタの好きな三池なのだと思います。
後記: 今年のファンタで見た三池作品の中では良い方。会話に盛り込まれたドライなユーモアも効果を上げていました。全体の半分まではホラーや犯罪映画ではなく、普通のトーンで進みます。ホラーになるのは主演の女性の身元に大きな疑いが生じたあたりからの後半。
そうやって前半を静かなトーンで普通に通したのはとても良かったです。こうやって準備をしておくと、後半の異常な出来事が生きます。
私が見た三池作品の中では1番古い作品です。ファンタに三池の作品は色々来ていますが、構成、演技、撮影などを含め全体を見るとこの作品が1番まとまりがいいです。
血の滴るコーナー (コンペ)
2006年からこのコーナーはコンペになっています。これまでに選ばれた作品は・・・
Brick ブリック (見ませんでした) |
Ex Drummer (見ませんでした) |
その男ヴァン・ダム | 第9地区 |
Four Lions | Hell | ハッシュパピー バスタブ島の少女 | ブランカニエベス (見ませんでした) |
Housebound | ネスト | Under the Shadow | 今年はどの作品が・・・? |
このコーナーの参加は10本ですが、うち1本は注目の作品として別枠でも取り上げられています。
あらすじ: 昔ある所で老女が自殺しましたとさ。そこは教会の中。彼女は8歳で消えてしまった息子の事で思い悩んでいたそうです。それから時間が経ち、町から田舎に越して来た3人の若者が古い家をリフォーム。ところがおかしな事件が起き始めます。60年前に消えた子供と関係があるのか・・・。
アイスランド人には普通の欧米やアジアで言う苗字がありません。大昔は恐らく欧州全体がそんな感じだったのだと思います。男性は《誰かの息子》、女性は《誰かの娘》という風に名づけられていて、Thor Kristjansson だと、《クリスチャンの息子のトーア》、Ágústa Eva Erlendsdóttir だと《エーレンドの娘のアウグスタ・エヴァ》となっています。ではクリスチャンソンの息子がやはりクリスチャンソンになるかと言うと、そうではなく、次の子供は《トーアの息子》となります。クリスチャンソンの親父さんがクリスチャンという名前だったわけで。(英語の son (-son)、daughter(dóttir) と同じ語源です。)
それからオリジナルのタイトルは英語のタイトルと全く同じ意味です。何でそんな事を知っているのかって?大学にいた頃3学期ほどアイスランドの文法を勉強したことがあったもので、つい昔の事を思い出してしまいました。
トレイラー: 日本かと思うような歌声が流れる。怖そうな雰囲気は出ている。
後記: 普段見られない国から来る作品はいつも楽しみにしているのですが、この日は体調不良で、2作目から後はダウン。監督も来ていたのに残念でした。
私は目はやられませんでしたが、重症火傷を負った時、顔はこの作品の写真と似た感じでした。それでも手術無しでかなり治りますから、大火傷を負ったからと言って、すぐ絶望しないで下さい。その上手術をすればもっと治ります。忍耐と時間が必要ですが。
さて、作品の方ですが、ティーンエージャーのグループが殺すか殺されるかという状況に追い込まれる話。バトル・ロワイヤル式ですね。
トレイラー: ジュマンジのように数人の若者がゲームを始めます。それがどう狂うのか分かりませんが、次からのシーンは殺戮。ありえねえという展開です。感じ悪。
後記: 体調不良で前半の途中でダウン。一応ホールに座ってはいましたが、内容は理解で来ませんでした。
自分でも見た部分: 数人の若者が変なゲームをやり始めます。針が刺さって全員の血液がゲームの機械に採取されます。ゲームは「24人を殺せ」と命令します。若者たちは本気にしなかったのですが、時間切れで1人の頭が吹っ飛びます。The Belko Experiment と似た展開。私の見た範囲では2人目の頭の吹っ飛びます。
友達から聞いた部分: その調子で残った人たちは誰かを殺さざるを得なくなり、行った先は老人介護施設と病院。末期で死にそうな人の命日を少し早めるだけだからいいだろうという考え。緊急事態の中で思いつた案としてはブラック・ユーモア風ですが、まあ冷静な判断。
それでも1人を除き全員死亡。後に警察が捜査をしたらしく、証拠品としてゲームが押収されています。その後があほらしいというか、続編を狙ったというか、安っぽい展開。
警官が友達との間でクリスマス・プレゼントを。何と捜査で押収した品をプレゼントし合うのです。そして1人がこのゲームを貰ってしまった・・・そうです。
監督は長編デビュー。
あらすじ: カップルがキャンプ旅行中に犯罪の現場だった所に来る。 放り出されたテントと怯えた幼児を発見。間もなく地元の2人組に追いかけられる・・・。
トレイラー: トレイラーにアラビア語の字幕がついていました。まだ解説が無いのですが、トレイラーを見た限りでは、どこかの悪餓鬼が赤ん坊を連れた若夫婦を森の中で脅かしまくるような話ではないかと思います。3人はキャンプをしていた様子。 − 上に書いたように、子供は2人の子供ではないし、男女はカップルですが夫婦ではないかも。
後記: 何のために作ったのか分からない作品でした。これこれこういう感じでキャンプをしている2人が襲われる、その前に既に襲われた家族があったというだけ。
監督は長編劇映画デビュー。
あらすじ: 4人の少年が元軍の施設があった場所に入り込んで遊んでいる。イスラエルはまたしても戦争になっており、男性はほとんどが参戦。家にとどまっている母親ははらはらしながら報道を追っているので、子供は放り出されている。そのためこの子達も勝手に遊んでいる。そこに脱走兵がやって来る。子供たちと兵士たちはその場所をめぐって争うことになる。
トレイラー: 国民皆兵、ちょくちょく戦争がある、国民が武器を見慣れているなど国情が違うことを考えた上で見た方がいいかも知れません。出演者は2人の脱走兵と、4人の子供。ヘブライ語は全然分からないのですが、所々にドイツでも聞く単語が出て来ます。
後記: 長編デビュー作としてはうまくまとまっています。ただ、これまで見たイスラエル作品と比べモラルの低下が目立ちます。イスラエル社会にも苛め文化があるらしい印象を与えます。主人公の少年たちの間でもありますし、同じく重要な役で出て来る兵士の間にもあります。主人公の少年たちと、町の別な少年たちの間にも苛めを含めた対立が。
少年たちは自分たちの遊び場を荒らしに来た2人の脱走兵と武器も使って対立するのですが、最後は少年たちの勝ち。しかしそこまでに描かれるのは自国の子供に銃を向けかねない兵士、銃で遊ぶ子供たち、争いとなると殺人も厭わない子供たち、怪我をした兵士を置き去りにするもう1人の兵士、殺した後警察に届けることも無く家に帰って普通の生活を送る子供たち。こういう結論のイスラエル映画を見たのは初めてです。
長編デビュー
後記: かつて白人が主人公だった作品を、黒人を主人公に変更し焼き直しをした時期が暫く続きましたが、今年のファンタは女性を主人公にした焼き直し作品がずらっと並びました。その中で珍しくそういう焼き直しでない作品です。ま、ここでは白人が主人公なので、いずれアフリカ系、女性を主人公にして作り直されるのかも知れませんが、この作品のような筋はこれまで見たことがありませんでした。
静かな作りですが、退屈はしません。
長編デビュー。
90年代のニューヨーク郊外。高校生まで親友だった男の子2人の関係が事故をきっかけに揺らぐ。その上2人は同じ女の子に恋をしている。
トレイラー: 俳優が典型的な米語でなく、英国の英語に近い英語を話すので分かりやすいです。 事故というのは日本刀で遊んでいて友達の1人を切ってしまう事件。本物の日本刀は高価な物で、子供が遊び半分に持ち出せるような物ではないので、なぜこの現場に少年が日本刀を持ち出せたのかは作品を見てみないと分かりません。日本でも有名俳優の息子が似たような事件を起こしています。日本の刀は力任せで斬る外国の刀と違い、重さのバランスを利用して斬るように作られているので、「はずみ」で正しい所に正しい力が入ると、ばっさり行ってしまいます。扱いを知らなければやたら重いので、そう簡単に扱えないのですが。
後記: デビュー作としてはきれいにまとまっています。話に起承転結があり、俳優も優秀。撮影もきれいです。
問題はテーマの扱い方。日本刀を持ち出し、マリワナを吸いながら振り回したため結果として、座頭市の息子の事件と似たようなことになってしまいます。
2人の主人公のうちの1人の兄がマリンの兵士という設定になっているので、その兄の荷物の中に日本刀とマリワナが・・・。兵士の弟は高校生。訪ねて来た友人が刀を持ち出そうとしたり、家にあったマリワナを吸うのを止めようとするのですが、友人は忠告を聞きません。
家の近くの野原でちょっとした争いになり、弟の忠告を無視した少年に事故のような形で日本刀が刺さってしまいます。こういう時は救急車を呼んで医者が来るまで刀を抜かない方がいいのですが、そんなことは想像もできない子供たち。抜いてしまいます。それで事態が悪化し、原因を作った少年は死んでしまいます。
ここで警察に届ければ、事故か過失傷害、少年が命を落としたとしても過失致死扱いで解決できたと思うのですが、その場にいた少年たちは死体、刀、少年の乗っていた自転車を埋めてしまいます。
残った少年たちは自責の念に駆られて苦しむのですが、後半同じ事を繰り返します。なぜか家に刀が戻っていて(掘り起こして持ち帰ったのでしょう)、そこへ訪ねて来た女友達が刀を持ちながら踊りだします。この日もマリワナを吸っています。
結局冒頭の喧嘩の第2幕のようになってしまい、また死者と重傷者が出ます。今度ばかりは警察と救急車が呼ばれ、女の子や親友に怪我をさせた兵士の弟は逮捕。
日本人なら真剣は非常に重いので本物だとすぐ気づきますし、真剣は危険な物だという自覚があるので、遊び半分で振り回したりはしません。ちょっと詳しい人なら、未成年の所持は禁止されているとか、むやみに人に見せびらかしては行けないとか、きちんと包装して持ち運ぶ必要があるとかいうことも知っています。
それがアメリカでは簡単に少年の手に渡ってしまう上、アメリカ人は日本人が映画で刀を片手で振り回して人をどんどん斬りまくっているのを見ているので(無限の住人参照)、軽い気持ちで扱ったのでしょう。作品ではそういう感じになっています。
日本の事件を知った上で作られた作品なのかは不明。
死に取り付かれた2人の高校生が巻き起こす騒動。
トレイラー: 高校生にしてはやたら老けた主人公。まじめな仕事をしているスポーツセンターの男を襲うシーン。話の内容はさっぱり分かりませんでした。
後記: 連続殺人を年端も行かない女子高校生にゲーム感覚でやらせるというストーリー。ユーモラスに描かれていますが、非常に危険な子供を2人野放しにしているということです。
メグ・ライアンの息子が重要な役で出演しているのですが、うまく役にはまっていません。なぜ彼を連れて来たのかは不明。他の映画にしておけばよかったのに。
公式プログラム
カテゴリーの分類更新中
ゼロ・グラビティの海底版。タイトルの言われは海の深さ。休暇を楽しむ姉妹。海に潜って鮫を観察するための檻に入る。ところが檻と船をつなぐ綱が切れてしまう。47メートル下の海底に落ちてしまう酸素ボンベが持つのは1時間。近くには白鮫がうろつく。
この手の話は苦手です。
トレイラー: オープン・ウェオーター(2)、ゼロ・グラビティの焼き直し。どうやって話をするのかと思ったら、宇宙服のように会話が出きるマスクを被っていました。これと言ったストーリーは無くて、状況が怖いというタイプの作品のようです。
後記: 3日目の最終回。最終にしたの分かるなあ。こんなあほらしい作品にわざわざ大枚はたいて見に来る人は少ないと思うもの。
主演は恐ろしくおつむの弱い女の子2人。失恋した子を友達が誘い、鮫を見学に。ところが海底に送り出した籠のザイルが事故で切れてしまい47メートルの海底に。
その後は井上さんのご家族が見たら呆れて叫び出しそうな軽率な行動が続きます。見ているのがつらいぐらいのあほらしさ。そのために命を失っても納得してしまいます。
長編2作目、普段は俳優。
金持ちの男から盗みをと思った若いカップル。ところが話はとんでもない方向に・・・。
トレイラー: 作品は既にユーチューブに上がっています。自堕落な男女が登場。次は強盗シーン。金は手に入る。騒がしくて不真面目な印象。
後記: 68の言われは、主人公たちが盗む金の金額が68 000 ドルだから。この金でランボルギーニを買うつもりだった男から強奪。しかし足りないんじゃないかなと思いました。
監督は Bad Match に探偵役で出ていた人。多才で脚本家、プロデューサー、映画監督、ゲームの考案なども手がけています。
話のテーマは、「男もすなる強盗、殺人といふものを女もしてみむとてするなり」。最近は女性監督も増え、女性が男性社会に進出するテーマも増えています。気になるのは監督が男か女かに関わりなく、ただ男のやることを女に置き換えただけの映画が目に付くこと。ヘビーな喫煙、飲酒と同じで、男がやっているから真似をすればいいというものではありません。頭を使って取捨選択をしなければいけないのに、この作品では女がジェームズ・キャグニーばりの執拗で異常な性格。あっさり人を殺しますし、信用できない事を言いまくり、人のいいちょっと頭の弱い主人公ははめられっ放し。最後に何とか悪女を退治して生き残るシーンで観客は手を叩いて喜ぶ仕掛けになっているのですが、男が女のおバカさんの真似をするのも同じように不要。
女性の男性世界への進出を上方志向とし、頑張るならそれはいいですが、そこで男性が下方志向をする必要あるんだろうか。両方とも「上を向いて歩こう」とはならないんだろうか。こういう所はいいとこ取りしてもいいんじゃないの。
監督はテレビ、ビデオなど2002年頃から国内で活躍。
韓国の作品をベースにして、日本の事情を加え、韓国でも一捻り、二捻りしている作品をさらに捻ってあるそうです。対日感情、対韓感情が悪化している昨今、一時期大評判だった韓流ドラマも下火。政治問題では当分出口が見えません。しかし韓国製劇場映画の警察ドラマ、スリラーの分野では政治が絡んでもカッとせず、冷静な作りの作品を作るようです。ファンタで何度かそういう作品を目にしました。俳優の力量も含めこの分野では学芸会状態の日本より2、3歩先を行っていると言わざるを得ません。
あらすじ: 最近時効になった連続殺人事件。時効が過ぎてから犯人と名乗る男が本を出版し、メディアに登場。ちょうど関西で大地震があり、東京では毒ガス事件が起きた微妙な年。当時の事件関係者だった刑事、犠牲者の遺族はこの挑発的な出来事に心穏やかではありません。本の著者で犯人と名乗る男は劇場型の性格なため、関係者だけでなく、日本中を巻き込んで大センセーションを起こします。しかし時効にかかっているので、司法は手を出せません。
この後二転、三転します。
トレイラー: またしても学芸会的な演技。特に若い俳優の発声がひどい。ストーリーは手が込んでいておもしろそうなので、残念です。
後記: トレイラーと同じ。せっかくおもしろい筋、しかも韓国版よりさらに捻ったのに、俳優がこれではもったいないです。
9年に渡って連載され、30冊、13話続いた漫画の劇映画化。時代劇ですがファンタジーが織り込んであり、時代考証はしていません。
両親を殺された少女が仇討ちをするというのが物語の外枠。殺しを頼まれた男が万次という主人公。殺しを依頼した少女が死んだ妹に似ていたため用心棒を引き受けます。万次は年取った尼によって不老不死にされていますので死にません。
元からのコンセプトだったのかも知れませんが外国の宗教からパクッタような登場人物の名前がちらほら。演技力の怪しい若手をサポートするために大ベテランが動員されています。歌舞伎界からは海老蔵が出演。歌舞伎の人は演技とアクロバットの両方が行けるので、そこだけ楽しみです。
トレイラー: 若手の俳優の学芸会演技は目をおおいたくなりますが、漫画の劇映画化として演技以外のエンターテイメント性は中国の活劇よりいい感じです。これで日本の俳優の演技が上手くなってしまったら、世界最強、向かう所敵無しになって、他の国が迷惑するので、ブレーキをかけているのでしょうか(笑)。
長編漫画なのでやたら登場人物が多くて、解説を読んだだけでは人間関係があまり分かりませんでした。まあ、仇討ちの話なので、僅かな味方を除いて全部が敵なのでしょうが。
井上さんからもざっと連絡が入ったのですが、この監督、仕事が多い割りに、そしてファンタの主催者からは好かれている割に、作品が今一つパッとしません。観客の反応も私の感想とほぼ一致していて、「良かった」という声は聞きません。今回も空振りしそう。
後記: 外国人が持っている日本、侍などのイメージに合わせる形で日本を表現する有名人がいますが、この作品もその類。原作が漫画なので、日本人は荒唐無稽な話をアイドル・スターや有名俳優を使って撮ったお遊びと取りますが、日本人の観客がほとんどいない外国の映画館で上映されると、かなり日本のイメージに歪みが出ます。それを分かっていてやっているのでしょうか。それとも日本以外では売れないと思って日本(だけ)向けに制作されたのでしょうか。
主演女優の発声は目を覆いたくなります。日本人の俳優の養成はどうやっているのでしょうか。木村拓哉は大声を出さないことで、欠点や未熟な点が見えないようにしています。そういう方法を取るのも力量の1つと言えるかも知れません。杉咲花に演技指導をした人はそういう事を教えてあげなかったのでしょうか。それとも大声でがなりまくるのが熱演と誤解したのでしょうか。彼女に限らず日本にはこのタイプの俳優が多く、ファンタに作品が来るたびにため息をついています。
年端も行かない少年少女俳優が立派な演技をする作品をいくつも見ているのですが、日本やドイツにはそういう教育、養成環境が無いのでしょうか。
2011年の春のファンタに参加した Trolljegeren の監督。ノールウェイ人。普段は脇役の多いブライアン・コックスとエミール・ヒルシュが検死解剖医兼葬儀屋役で主演。ヒルシュはダニエル・ブリュール似の若い俳優。残念ながら最近警察沙汰を起こしています。
あらすじ: バージニア州の田舎で一家3人が猟奇的に殺されます。事件の起きた家で発見された4人目の死体は若い女性。外傷は無し。ところが体内からは両手足の骨折、胃内の火傷、臓器に刺し傷などが見つかり、舌は引き抜かれています。その他にも正常でない状態が見つかり、親子には説明ができません。
夜を徹して仕事をする親子。外は嵐。電気が切れ、電話では嵐のため相手の声がよく聞こえず、2人はモルグに閉じ込められた形。その上不審者がモルグを歩き回っているかも知れない・・・。
見所は謎の死体。この死体が話をどの方向に持って行くかは一応聞いているので、その先は馬鹿馬鹿しくなると思いますが、コックスが出ているので、それでも見られるように作られているのかも知れません。
トレイラー: コックスはとても上手い役者ですが、周囲から浮かないようにする気遣いもできるらしく、この作品では息子と仲良く仕事をする田舎の親父さんになり切っています。ホラー映画に彼が出るのは珍しいように思いますが、楽しめそうな雰囲気です。
後記: 期待が外れました。幽霊話と言うコンセプトが無理筋で、せっかくの主演2人のいい演技が無駄になった感じです。
Trolljegeren の監督なのでがんばって入れられる所にはユーモアを詰め込んでいますし、親子を演じる俳優も上手くこなしていますが、全体の筋の展開が無理筋なので、俳優の演技も監督の技量も上手く生きなかったようです。残念です。
あらすじ: 監督自身が演じる貞淑な妻で、母親の女性はストレスがたまっている。亭主は不倫男で家を空けてばかり。ある日を境に奥方は犬になってしまう。亭主は4人の子供と奥方の姉妹との関係を何とかしなければ行けなくなる・・・。
トレイラー: 現在はメイキング・オブのみ。
後記: 主演の男性はジム・キャリーの再来のような顔。主演の女性はザ・ウーマンのポリアンナ・マッキントッシュをカンニングしたような演技ですが、彼女がこの作品を監督しています。
コメディーなので表現が極端ですが、近年の女性の立場を良く描いています。物凄く身勝手な亭主(俳優の役の解釈がいいです)と、物凄く気遣いのできる妻。しかし夫の身勝手が行き過ぎて、妻は自殺を試み失敗。暫くして犬になってしまいます。
この非常事態に、親戚縁者や身近な人が心配をしてくれているのに、亭主は長い間大丈夫と言い続けて、何もしません。妻を精神病院に入院させ、家には親戚が手伝いに来てやると言ってくれているのに、自分の家の事は構わないでくれと言って、妻を治そうともしません。
この種の人間関係は何度も見ていますが、男性はなかなか自分のやっている事を理解しないようです。女性監督の進出はまだそう多くありませんが、ようやく女性の立場を表現できる人が出始めたようです。自由の国アメリカでは多くの犠牲を払いながら黒人が徐々に社会進出しましたが、女性の進出は、シンボル的な扱いばかりで、実質的には遅かったです。それでも芽が出始めたようです。
父娘が話をするシェパードと一緒に森の奥で生活していた。 ある日謎の四角い物体を発見。そして過去を変えることができることも発見・・・。
後記: 低予算で、エイリアンや UFO を登場させずに上手に語る SF が時々出ますが、そういう作品の1つ。これまでに見たそういう作品に比べ語り口がだらだらしています。もう少し引き締めたら大成功したかも知れませんが、一見に値しますので、DVD でも来たら見てください。ホラー性は少ないです。
2013年春のファンタに The ABCs of Death の A Is for Apocalypse で参加した監督。スペイン出身。
アン・ハザウェイがずっこけたと言われている作品。東宝が提訴しているとのこと。当初は日本を舞台に撮る予定だったそうです。最終的に舞台は韓国に移されました。
ニューヨークで暮らしていた女性。不運続きで現在は失意の真っ只中。ちょうどその時、韓国に巨大な怪獣が出没したとのニュースを目にします。その姿は北朝鮮ゆかりの怪獣。そしてその怪獣は核戦争反対のシンボルとして登場。その点ではゴジラのパクリ。
インターネット上で見られるサイトの情報だけですが、かなり支離滅裂のようです。
トレイラー: コメディーのコンセプトは一応行けそう。トンデモ映画とか、お馬鹿映画のつもりで見たらそれなりに楽しめそうな感じです。勝手に作らず、オマージュだとか言って、先に映画会社と話をつけておけばよかったのに。
後記: 契約上の揉め事が無ければもっと行けたのではないかと思いますが、それでも俳優は健闘していました。以前サンドラ・ブロックが取り上げたアル中問題をブロックのようなわざとらしさを取り除いてうまく筋に取り入れていました。
ハザウェイのラップトップの表に北斎の波の絵、家に持ち込まれるソファーのマットレスを布団と呼ぶなど、当初日本を舞台にしたかったんだなあと思える跡が少し残っていました。
悪魔祓いを行った時に修道女を死なせて閉まったという罪状で服役中の神父。被害者が精神病の患者だったのか、神父が本当に悪魔とやりあったのかが問題。それを取材しようというジャーナリストも登場。
トレイラー: ルーマニアに古い建物が残っていたのでしょうか。ロケはルーマニアで行われています。観客を怖がらせようとして作られていますが、安っぽいトリックを使い過ぎ。
監督はルーマニアに行ったついでにもう1本ブダペストというコメディーを作ったようです。
後記: 予想を良い方に大きく裏切る作品。
まずはちょっと無理かなという点。
主人公がアメリカから来たのは分かるとして、ルーマニアの田舎の人が皆かなり達者な英語を話すのはご愛嬌。ただ、神父など教会関係者は中世の頃からインテリ層に属すので、ラテン語はこなします。ルーマニアなので恐らくはカソリック。ルーマニア語とラテン語は近いので、他の国の人よりラテン語は楽にこなすでしょう。そういう意味ではそこへもう1つ英語が入って来ても日本人が思うほど遠い言語ではないので(英語はドイツ語の文法にフランス語、ラテン語系の語彙をぶっ込んだ物)、片目をつぶりましょう。
良い点。
オカルト、エクソシスト物の中では最高ではないかと思います。主人公はアメリカの、やや小さめですがニュー・ヨーク・タイムズを思わせる会社のジャーナリスト。ルーマニアで女性が死に、神父がエクソシズムをやらかした上の致死傷のような形で逮捕された事件を察知して、編集長に現地に飛んで取材をしたいとねじ込みます。編集長は彼女がのめりこみ過ぎていると注意して、反対。結局は許可しますが、必ず連絡を入れるようにと釘を刺します。ルーマニアに着いて見ると、皆比較的簡単に取材に応じてくれます。断わる人もいますが、結局は色々話を聞くことができます。
他の類似の映画と大きく違うのは、信仰は信仰、医学は医学、それとは別に客観的な目を持った登場人物が多く、村の人も悪魔に取り付かれる人がたまに出ることはあるんだという考えを持った上で、伝統的な生活をしており、アメリカからやって来たジャーナリストに比べると、受け止め方が静かです。ジャーナリストが挑発的に話を持って行っても、神父は「自分の心に空虚さがあると、悪魔に入り込まれる」という説明。冷静に「彼女には精神的な不安定さがあった」と回想する人、「ドイツに子守の役で行ったときに男に引っかかったことが原因かも知れない」と客観的な事実を見逃さない人などが出て来ます。ジャーナリストが強引に問題化しようとするのに対し、医者、神父、村人がそれぞれ落ち着いた説明をするのがこの作品の珍しいところです。
悪魔を信じる人の中に「悪魔は人の間を飛び回る、1人の人間が用無しになったら、別な人間に乗り移る」という考えの人がいて、それもこの作品の中では妙に納得が行きます。と言うのは一時期悪魔に取り付かれた人間の反応も描写されているからです。1人は神父で自殺、もう1人は村の少年で、徐々に正常な生活に戻りつつあり、もう1人は儀式中に死んでしまいます(この女性がジャーナリストがやって来るきっかけ)。
ジャーナリストの女性自身母親の死に関して納得していない点があり、後半彼女自身が悪魔に乗り移られてしまいます。彼女と色々言い合っていた神父の必死の努力で助かります。所々で勝手に建物に入り込み、写真を撮るだけではなく、物を盗んだりする行儀の悪いジャーナリストぶりも入っていて、全体のバランスが良く取れていました。
今年のファンタは焼き直しの脚本が多い中、この作品には新しい視線が感じられました。
現在のところ全く内容は不明。文章による資料は見つかりませんでした。
トレイラー: 自分にあまり自信の無い女性と、パッとしないのにやたら自信家の男女関係から始まります。彼女をわざと失望させる男。その後男に言われるまま三角関係に入る女性。前半は男女関係とセックス中心。後半は大金、ナイフが登場するので、状況がエスカレートするのでしょう。2分ほどのトレイラーでかなりの内容を紹介しています。
後味の悪い作品のようですが、犯罪映画としてはおもしろそう。
後記: 見始めるとまずはおバカな女性の物語に見えます。後味の悪い作品と評価している人がいましたが、前味が悪く、後味は良くなって行きます。
ロスト・ハイウェイの手法を用いてある女性の抱える問題、そのために巻き込まれる事件を描写して行きます。この日は女性の中毒問題特集だったのか、4本のうち2本がその方面のテーマを扱っていました。冒頭からユニークな音楽。それもコンセプトの一部で、内容のヒントではあったのですが、結末まで行かないと分からない、終わってみて「ああ、そうだったのか」となる作品です。 一見の価値あり。
ビルの屋上で3人の男にいいようにおもちゃにされている女性。ある日謎の男が現われる。
トレイラー: ドイツのイメージをさらに悪くする不健康そうな作品。俳優の台詞の発声も学芸会風。ドイツ映画界も日本と似たような問題を抱えているのでしょうか。
後記: 監督と出演者が来ていました。トレイラーのイメージそのままで、感じの悪い凝り方をした作品です。トルコ人、アラビア人が全面協力して作ったもう1本のドイツ作品はのびのび作られていましたが、アフリカ系の俳優も協力したこちらの作品はドイツ人に取ってもアフリカ系の人に取ってもお先真っ暗な印象を残します。
監督は長編デビュー。観客が失神するというふれこみのホラー映画。
2004年のファンタに参加した変態村、
2007年のファンタに参加した 、Contre-enquête
ファンタには出なかったレミング
の主演のローラン・ルカが出演。
物語の枠: 菜食主義の両親に過保護なほど可愛がられた優等生。16歳で両親の後を継いで(今日本で話題の)獣医になる決心をし、高校飛び級で、姉も入っている全寮制大学に入学。寮では新入生歓迎行事。
姉は大学に入ってから人が変わったようになっていて、妹の目から見ると不良。その姉にも強制されて新入生歓迎行事の時に生肉を食べる羽目になる。妹は元々は肉類でアレルギー反応を起こす体質。ところが暫くすると、肉に対して禁断症状が出るようになる。やがてエスカレートして、普通の肉ではなく、人肉が食べたくなる。
過保護に育てられた年端も行かない、学校の試験用の頭だけ優秀な女の子がどうやって世間を渡って行くかという方向に動きそうな作品です。
私は普通の日本の家に育ったので、欧米人に比べると野菜や穀物の方を多く食べますが、身内からはずっと「肉類や動物性蛋白質も適度に取らないと行けない」と言われて育ったので、菜食主義ではありません。《適度》という量が欧米人より少ないので、ドイツ人の友達からは菜食主義と間違われることもありましたが、ずっと適度に肉類、卵、チーズなども食べていました。その間にドイツでは菜食主義が広がり、明らかに栄養のバランスを欠いているような人も見かけるようになりました。中には肉を食べるのは止めたけれど、その分サプリメントを取っているなどという人もいました。物事はほどほどにと思っていたら、最近日本では学者の中に肉もある程度取らなければ行けないと発言する人が出始めました。
トレイラー: ノイローゼ、学内の苛め、方向を見失った女性という印象です。結末がどの方向に行くかは不明。
ちょうど今日本では獣医学部新設をめぐって大もめしているのが皮肉です。狂牛病、鳥インフルエンザなどの対策は是非とも必要なのに、医者を増やしては行けないとはねえ。私は英国で羊が恐ろしい数殺処分になったニュースを身近で見聞きしており、その後宮崎では知事になったばかりの東国原知事が大変な苦労をした話も聞いているので、獣医は一定数公務員にするべきとまで考えています。獣医、防疫担当の医師、昆虫に詳しい生物学者などを一定数公務員として確保しておかないと、今後やって行けないのではないかとまで考えています。子供の頃大学の農学部を知っていたことが影響しているのかも知れませんが。
後記: ローラン・ルカが出るとこういう話になるのは仕方ないでしょう。
うんざりするほど獣医学部の大学の慣例で新入生苛めのシーンが続くのですが、その中で菜食主義、親の言うことに姉より素直に聞いていた、まじめ一方の妹が徐々におかしくなって行く様子が描写されます。
姉妹は共に頭がおかしいのですが、ショーダウンのところにルカが絡んで捻りがあります。それが無いとちょっと平凡。
監督は長編デビュー。
大まかな筋: 1980年代。オーストラリアの郊外(ということは人が少ない)で連続殺人発生。犯人はボニーとクライドとは言わないものの、若いカップル。主人公の女性もこの2人の毒牙にかかるところ。しかしすぐに諦めない彼女は犯人2人の関係をギクシャクさせて、自分の形勢逆転を試みる。
トレイラー: 楽しく普通に暮らしている様子をスローモーションで撮影。捕らえられて鎖でつながれている主人公が形勢を逆転させるのはかなり大変そう。犯人の男がドイツのどこでも見かける普通のタイプなのが怖い。
後記: パッとしませんでした。実話を尊重しながら映画化したために俳優が演技力を発揮する余地が少なくなった感じです。
オーストラリアの郊外というふれこみなので人が非常に少ない所かと思っていたら、郊外ではあるものの住宅街。怖さはむしろそういう所に建っている普通の家なので、人質がもし家の外に出たらすぐ近所の家があって、電話を借りられるという状況の中で起きた犯罪だという点。映画が怖いのではなく、起きた事件が怖いです。
アメリカ映画などと比べると控えめに描写してあるので、心して見ないとはっきりしませんが、まだ女性解放が進んでいなくて、男性は女性を家庭内で支配するものという固定観念が生きており、女性も自ら覚悟をして自立の道を探すのでなければ、男性の言う通りにするしか生きる道が無い時代が表現されています。自立を目指してもがく女性を元夫も、実の娘も理解できない時代です。金は自分が十分稼ぐから家に戻って来いと言っている夫、貧民外に移り住んで自分で家をリフォームする母親と対立する娘などが出て来ます。
この点は監督が強調したかったのだと思いますが、誘拐された女性が酷い目に遭うショッキングな事件でもあり、犯人の夫婦関係がやたら歪んでいるのも重要なテーマで、焦点が拡散してしまった感じです。
アメリカ南部に住む若者たちがオートバイで砂漠に繰り出し、パーティー。ひょんな事から付近にあった不思議な施設に迷い込む。軍の研究所のような感じの地下壕で、人の影はほとんど無く、奥には巨大化した蟻が住み着いている。
後記: 呆れるほどのおバカ映画。作った理由は何だろう。
この種の作品としては典型的で理論性などは吹っ飛んでいます。観客に見せたかったのは誰かが秘密裏にこういう研究をやって失敗し、巨大化した動物や昆虫が野放しになってしまうという点なのか、今旬の話題の、巨大な地下壕を作って政治の世界で現役で暴れまわっている若親分を示唆しているのか。
時々喧嘩になっていた主人公は皆仲直りし、ライバルとも和解。全員五体満足で救出もされます。君たち何が言いたかったの?
監督は長編2作目。
後記: 静かなトーンでいいと評価している友人もいました。私は上げ底、詐欺と言いたいところをぐっと抑えて、「あまり感心しなかった」という評価。
幽霊、化け物、エイリアンなど、出るのならさっさと出せよ、はっきりしろよと言いたくなります。結論を言うと「自分で犯した間違いで、他の人も偉い目に遭う」作品です。
監督の本職は音楽。映画はこれがデビュー。
タイトルは日本語の糞。舞台は地震後のロサンジェルス。それ以外の内容は不明。
後記: たまにこういう作品が作られますが、ファンタには滅多に来ません。アヴァンガルトの芸術作品で、商業的な成功は未知数。日本語のタイトルをつけたものの、なぜかは不明。
主演は韓国からカナダ、米国へ移住した韓国人。ウォーキング・デッドに出演。
あらすじ: 主人公はこの韓国人。法律事務所で働く青年役。どういういきさつか、同僚が変なビールスを作ってしまう。これに侵されると恨みを持った相手を残酷に殺すようになる。事務所は隔離されてしまい、中の同僚、上司は殺戮に没頭・・・。
春のファンタにこれをひねったような作品が出ていました。今年はこういうのが流行なんだろうか。嫌〜な感じ。
恨みがテーマになっているようですが、制作はアメリカ、監督は英国系の氏名、脚本家はイタリアっぽい苗字、主演俳優以外は欧米系の名前が並んでいます。
トレイラー: 今のところ無し。
後記: この種の作品は関心が無く、体調不良だったので、座席に座って休憩していました。
後記: 体調不良のため一部しか見ませんでしたが、この作品全体が前半という感じです。上映された部分は延々と主人公のジェフリー・ダーマーが高校時代どういう生活を送っていたかの説明。小さな動物を殺したり、問題児。人間相手には受動的、消極的な生活を送っていました。頭は良かったものの学校では無視されたり、からかわれたりでしたが、それなりに友達もいました。
両親の離婚などを経て、作品の最後は親友と言える友達を殺そうと試みるシーン。家の中に招き入れられはするのですが、たまたま友達が帰宅したので、生きています。この後ダーマー少年はウィキペディアに載るような大事件を起こします。
1978年から13年間に少なくとも17人が殺され死体はばらばらにされたり、食べられたりしています。映画では最後にヒッチハイクの青年を車で拾うのですが、この人が彼の最初の殺人の犠牲者のようです。兵役中にドイツに住んでいたことがあるのですが、そこでも5人ほどが消えています。この5人は17人の中に入っていません。
紆余曲折の後確たる証拠のある事件で起訴され、本来なら死刑。本人も納得していたのですが、法律が変わったため無期懲役。服役中に他の囚人に襲われ死亡。
他の監督なら、連続殺人の方を映画化したと思います。この作品はまだ家庭のドラマという段階です。なお、ダーマー少年を演じた俳優は本人に非常に似せています。
ダーマーの件は漫画家ダーフ・バックダーフが作品として発表し、非常に受けていますが、彼は危うい所でダーマーの最初の犠牲者になりかけた親友。
監督は長編デビュー。20歳ぐらいの男性が始めて女性と一夜を共にするというのがメイン・テーマらしいですが、それ以外の情報はまだ無し。
トレイラー: 放送禁止用語が画面に何度も出ますが、つまらなさそう。
後記: 私自身はこのジャンルに関心が無いのですが、スプラッターや放送禁止用語乱発の汚らしい映画をお好みの人には満足がいただけるでしょう。
主演の男性が恐ろしくがんばっています。ねずみに見えるような顔の俳優を探して来て、さらにそれらしいメイクで出て来ます。
見る前には情報が無かったのですが、内容は・・・大晦日から新年になるという時に大パーティー。そこに来ていたあまり持てない、ねずみに似た顔の男ニコ。10歳以上年上のおばさんと話がついて彼女のアパートで一夜を過ごすことになります。彼がまだ童貞だというのが彼女にとっては重要な条件。
驚くほど汚れて世話をしていないアパートへ呼ばれ、いよいよセックスという段になっておかしな方向に脱線。
彼女は童貞の男を捕まえて子供を生ませるためにニコを誘ったのです。一夜のうちに彼は首尾よく妊娠し、子供を出産。彼女にはニコに強く嫉妬する夫がいて、帰宅したのでニコと出くわします。でもまあ、子供を産み落としたニコ。しかしその後揉め事になって、夫婦は殺されます。でも2人を殺さないとニコが死んだでしょう。ニコは発狂していて、警察に捕まった後精神病院に直行。
ロサンジェルスで繰り広げられる頭の狂った人たちの大パーティー。
トレイラー: 撮影に凝っている。
後記: 体調不良のため早退。
監督は長編2作目。
タイトルの言われは、主人公に半径50フィート以上近づくと、目が白くなって死んでしまうからです。
後記: カナダには佳作がたくさん隠れていますが、この作品の質の良さには感心します。
出来事の列挙だけでもちょっと変わった作品だなと思いますが、最後に1発大きな捻りがあります。こういう展開は予想ができませんでした。きれいにホームランをかっ飛ばされた感じです。君たちはそれでも長編2作目か。ディエゴ・クラッテンホフが健闘。
監督は長編デビュー。
美術学校の女学生がクラスの人に暴行を受ける。直後に届けなかったため立件が難しく泣き寝入り。少しして大学のフットボール選手が女学生を襲ったのみならず、犯行の一部始終をインターネットにアップ。彼女も立件、告発の難しさを思い知らされた1人。
心の中で完全に切れてしまった主人公はチャールズ・ブロンソンの乗りで、自らの手で男を片付け始めます。身近な知り合いも過去にいやな経験をしていました。
警察の捜査が絞り込まれて来ると、その知り合いが主人公の罪を一手に引き受けて自殺してくれます。せっかく遺書を残してくれたのに、それを破棄。結局は警察にお縄。
後記: クリント・イーストウッドの2桁行くかと言われている子供たちの1人。面影が全然無い顔です。きっと母親似なんだ。
監督は長編デビュー。
主人公の若くて美人の女性があっと言う間に肌が老人のようになってしまう難病にかかる。絶望した彼女。しかし自分の皺だらけの肌を他の女性の肌と入れ替えることを思いつく。代償は・・・。
トレイラー: 私も全身の10%弱皮膚の移植をしたことがあるので、この人どうするんだろうと興味深々。他人の肌を使うと抗体の問題が起きるのですが、トレイラーを見ると、そのあたりの事情はすっ飛ばしている様子。
年を取った肌というより、若い肌の上に砂かセメントを塗りつけた感じです。フランスのユニークな作品をパクったのかな・・・?二番煎じでは勢いが削がれますよ。
後記: だめなのではないかと恐れていたのですが、やっぱりだめでした。ドイツには頚城を離れてのびのびと作品を作れる人たちもいるのですが、まだ戦後続いている妙な作風の作品が多いです。せっかくカナダを巻き込み、英語で作品を作ったのだから、もう少し自由な作風にしても良かったのではないかと思います。これまでのドイツの作風が好きな方はどうぞご覧になってください。
監督は長編デビュー。
荒れ果てた町ベルリンで店に強盗に入って食いつないでいた2人。ある時歯科医を襲ったら、その医者が2人が次に何を考え、何を言い、何をするかを100%言い当てるのでびっくり。実はこの歯科医は仕事が終わると趣味で脚本を書いていて、2人はその作品に登場するのです。
・・・というユニークな発想で始まる作品。
トレイラー:
後記: 1つ前の作品の前の休憩時間に映画館入り口の窓に大きなポスターを貼ろうとしている人がいたので、手伝いました。その人が最初から終わりまで出ずっぱりの主演だったのでびっくり。
スタッフ、キャストにアラビア、トルコ系の名前の人が大勢。そしてこの人たちは4年間無償で映画を作り続け完成に持込みました。補助金には一切手を出していません。こういう形で映画を作ると、外国からの制約や、これをしては行けない、あれをしなければ行けないといった前提条件が全部外れます。監督は自分がやりたい事を自分のお金でできます。ドイツの長編ではほとんど最初の制作方法です。
これはピーター・ジャクソンの初期の作品と同じ手法。ただ、ジャクソンと違い、こちらの映画には300人から400人ほどの人が協力しており、一見メジャー系か大金を払ってくれるスポンサーがついているような技術にきちんとお金を使っている作品です。
監督は長編2作目。重要な役で出演もしています。重要な役で久しぶりのファムケ・ヤンセンも出演。ジェームズ・フランコも出ているのですが、なぜか有名な映画紹介サイトのクレジットには載っていません。
トレイラー: 短い時間に大まかな筋がうまくまとめられています。日本では見かけないようですが、欧米には悪趣味なリアリティー・ショー番組があり、視聴率を稼いでいます。ドイツでは業界でルール違反をしたような女優やタレントを無理やりにそういうショーに出演させ、いわば公開処刑のような事をします。ただ、ドイツではそういう人たちは出演を条件に高額のギャラが払われるらしいです。
This Is Your Death ではテレビの制作会議で自殺希望者が自殺する場面をオン・エアしようという企画が立てられ、実行されるようです。監督が演じる一家の父親を被害者側の中心人物にすえているようで、人がどこまでグロテスクになれるかを批判的な視点で描くようです。
私の目には80年代頃から世界はどんどんデカダンスに向かい、話題にする材料が無くなったところで、グロテスクな方向に動き、そうなってからも久しいように映ります。私自身は貧困の中で暮らしているので、そういう贅沢は味わったことが無く、デカダンス社会にも参加していません。バブル期を生きた人とは雲泥の差のジリ貧生活をしていました。そんな状況にもいい点があります。バブルがはじけて一旦お金を手にした人が転落する中、私は前と変わらない貧乏生活。私の所には変化はありませんでした。
一旦お金を手にした人がこれから貧乏になろうという時を狙って、変な人から変な話を持ちかけられ、それに乗ってしまう人が続出する時期がありました。視聴率を稼ごうというテレビ局が人の弱点を目ざとく見つけたのかなと思いながらトレイラーを見ていました。やっと今頃になって批判をする人が現われたのかと、やや呆れています。遅い!
後記: 上手く演出すればフェイ・ダナウェイが現役でバリバリ活躍していた頃ぐらいの大センセーションにもできる素材ですが、監督が控えめに演出したため、あまり大きな話題にならないと思います。
監督が準主演の重要な役で出演しているのですが、俳優としては説得力に欠けます。この役をもっと上手く演じられそうな俳優はたくさんいます。
ただ、黒人の中流家庭の生活の実態を世間に知らせようという監督の気持ちは伝わって来ます。恐らく、サブプライムローンで上手く乗せられ、ブームが去った後とんでもない目に遭った人たちの苦しみを公にしたかったのだろうと推測しています。
俳優の中で比較的健闘したと言えるのは中心人物を演じているジョシュ・ダーメル。見てくれ抜群の番組司会者の役。もう1人非常に嫌な印象を残す主演がケイトリン・フィッツジェラルド。彼女は何を考えているのか分かりにくい笑顔を絶やしません。
ファムケ・ヤンセンは人の命を屁とも思わない冷たい女を演じているのですが、顔の様子が変で、プラスティックのよう。そのことで冷たさを出そうとしたのなら、俳優としては三流の手法。
出番は少ないですが、ジェームズ・フランコの嘘笑いは光っています。
心臓外科医として才能に恵まれ、家族もでき、幸せ一杯の医師。ある日弟がギャングがらみで殺されたため人生が大きく狂います。
トレイラー: ドイツ語を話すトルコ人は見慣れているのですが、この作品にはデンマーク語を話すアラビア人がたくさん出て来ます。弟は殺されたというよりオートバイの事故で死んだような描写になっています。どうも家族思いの男のドラマのようです。2013年のファンタに似たような枠でちょっと違うデンマーク映画が出ていました。ちょっと前までドライなコメディーを量産していたデンマークですが、今後はシリアスな社会ドラマ、家族ドラマを売りにするのでしょうか。
後記: 2日目の最初の作品でもあり、トレイラーを見ても、まあまあと言った感じで、あまり大きな期待をしていませんでしたが、予想外の佳作です。
話の筋は時々あるような復讐劇。出来の悪い弟が金銭問題を起こして頼って来るのですが、冷たく突き放したら、重症を負わされて自分が勤務している大病院に入院して来ます。手の施しようが無くてそのまま死亡。で、兄ちゃんは反省して復讐をという話です。
この作品が光るのは、一貫して主人公の目線で描かれ、観客がその気持ちについて行けるさじ加減になっている点。主人公がなぜスター外科医の地位、臨月の妻との平和な家庭生活をなげうってまで人殺しにならなければ行けなかったのか、その過程の描写に十分な時間をかけてあります。にも関わらず91分。見事なまとめ方です。
スタッフ、キャストに大勢のアラビア系の人が入っていますが、制作はデンマーク。ごく一部アラビア語になりますが、ほとんどはデンマーク語が使われています。主人公の家族はイラクから30年前に移住して来た人たちという設定になっています。ドイツに来たトルコ人やアラビア人も世代を経て今では医者になる人もいます。医学用語を全部ドイツ語で覚え、同僚などから受け入れられて、エスタブリッシュメントの世界に少しずつ浸透しています。そのデンマーク版です。
1987年から仕事を開始しており、作品数の多い監督。
アンディー・ラウ(♥!!!)が警察の爆発物処理班の主任で、爆発物を使うギャングと対決というストーリーらしいです。無間道の後にラウが警官役で出て来るとつい疑ってしまうなあ・・・(笑)。
トレイラー: 私は「ラオ様」とは言いませんが(言いたくなっちゃうけれど我慢(笑))やっぱりアンディー・ラオはいいなあ(♥!!!)。
海底トンネルがテロリストに狙われる!ラオ様(あっ、やっぱり言っちゃった)出動。景気良く車が吹っ飛び、ヘリコプターも動員。海底トンネルが狙われるとなると、日本も人事ではありません。東北に新幹線ができるずっと前、青函トンネルの海中駅を見学したことがあるのですが、ああいう所を狙うとなると結構な力仕事です。物凄く頑丈に作られています。
近年は見学ができなくなったそうですが、時代の変化を考えると正解。良からぬ事を考える人が出ては困ります。乗り鉄の私は見られて運が良かったです。分厚い時刻表をじっと見ていると、見学できるということが分かるんですよ。
後記: この日は拆彈專家を見るために少し早めに家を出たのですが、道中映画館用でない眼鏡をかけていたのに気づき、急遽帰宅。超人的なタイミングで乗り換えができ、地下鉄がすぐやって来たので、映画館の駅に着いたのは上映15分前。映画館に着いたのは開演8分前。まさか間に合うとは思いませんでした。
映画館に行くにはいくつかの方法があるのですが、この時ばかりは大枚をはたいてタクシーに乗ろうと、乗り換えのたびに思いました。「しかし、まてよ、あそこはこの時間交通渋滞しているはずだ」、「この駅から出るバスは時々取り消しが出るぞ」、「駅で『次の電車はあと5分で到着』の表示が出る時は、前の電車がまだ構内にいて、ドアが閉まる所だ、突進すればそれに飛び乗ることが出きる」などとその場その場で判断。
この神業が実現したのは、まだ死んでいないラオ様の霊が取り付いたんだと都合のいい解釈をして、幸せ一杯でホールに入りました。
日本は一時期ヨン様ブームでしたが、私はドイツには起きていないラウ様ブームを1人で追っています。インドのラオ様ことシャー・ルク・カーンはドイツの中年のおば様たちがカーン様と言って追っかけているのですから、いずれはラオ様ブームが起きてもおかしくない・・・でも、ブームが起きないとライバルができなくていい・・・などと自分に都合のいい事ばかり考えています(笑)。
あらすじは・・・爆発物の起爆装置を外す職人的な警官のラオ様が、本来別部門の囮警官として悪の組織に潜り込み、成功裏に組織の半分ほどを逮捕。ボスの弟も含まれています。ボスはラウ様に負けないぐらいの爆発物の専門家。才能を生かす場がラオ様と正反対。なので対立は止むを得ません。
信頼していたラオ様に裏切られて組織の大きな痛手となったので、ボスは怒り狂い、弟の奪還と復讐を誓います。それがまた相手の弱点を突いて実に効果的。悪役の悪ぶりが強いとライバルが引き立ちます。
この兄弟は兄が弟の面倒を一切見る思いやりのある兄ではあるものの、弟の意向を全然聞いたことが無いという自分勝手さもあるので、刑務所に入った弟は兄の元に帰りたくないという本音を漏らします。
山場は2つ。中盤で大勢の人質を取られ、ぽろぽろと解放される人が出る中、自分のドジで職業が警官であることがばれてしまった若者は体に爆弾を巻きつけられて解放されます。犯人がラウ様に突きつけた問で、ラオ様が青年警官を救えるかが見所。ここでパニックに陥りかけた青年警官を落ち着かせるために2人は大声で警官の心得を復唱するのですが、このシーンは作品が言いたかったメッセージの1つです。
その結果は? − 映画見てね。
もう1つは最後のシーン。香港海底トンネルの両端に500キロずつ爆弾が仕掛けられていて、両方の起爆装置を外せれば大ハッピーエンド。ラウ様は仕事に取り掛かる前に専門家の意見を仰ぎます。「もし片方だけ成功した場合、海底トンネルは持ちこたえるか」と聞きます。答は「何とかなるかも知れない」。すると彼は反対側の端で仕事を請け負う若手の処理班に、「俺は黄色いコードを切る。もしこれが爆発したら、お前は赤いコードを切れ」ですって。何てかっこいいんだろう。
その結果は? − 映画見てね。
この作品が公開されたのは2017年。と言うことは企画、撮影は2年ほど前からと想像されます。現在周囲の国相手に大騒ぎを起こしている国家のトップとこの作品に出て来る悪兄弟の兄の容姿が良く似ています。また、この騒ぎを利用して株の取引で設けようという悪徳株商人が、近所の国のちょっと前の国家のトップと似たイメージの俳優。もろ分かり批判のニュアンスを入れています。
ラオ様はこの撮影の後、今年1月に事故で重症を負い、長期入院。順調に回復はしているものの時間はかかるようです。
周囲には反日の噂が流れているラオ様ですが、これまで見た作品には主人公の振る舞いが日本の伝統的な精神によく似ていて、これが中国人かと思えるものがありました。また、来日して自分のための催しに参加した後スタッフと後片付けをしていたなど、良い話も耳に入っています。反日スタンスを取らざるを得ないのかも知れませんが、日本人の習慣、考え方は理解しているように思います。
今回の職務に忠実な警察官の役はかつて汚職を乗り越えようと頑張った香港警察の誇りを示したとも言えますし、日本人の一般的な警察官や自衛官のスタンスと似ていたとも言えます。
涙なくしては見られないこの作品の後半。ショーダウンの後悲しげな曲が流れて来たのですが、声に聞き覚えがあると思ったらラオ様でした。
監督は英国領香港出身。俳優としての仕事が多く、監督作品は少ないですが、少林サッカー とカンフーハッスルは大成功しています。
トレイラー: 時間が無かったので、本編を見終わってからトレイラーを見るという体たらくでしたが。
特に愉快なのは主人公の男性が警察に出頭して人魚の件を届けるのですが、警官2人が話を理解せず、紙に絵を描いて「こういう事か」と訊ねるシーンと鉄板焼きで蛸を料理する大悲劇シーン。
もう一度見て笑いたいです。 − 見ました。笑いました。
後記: 日本や中国から聞こえてくる批評では以前の作品に比べて落ちるということでした。私たちは長過ぎる It の次に見たので、清涼飲料のようでした。無論ギャグの冴えが悪いとか、環境問題などと言う大仕掛けのテーマを選び過ぎたと言えないこともありませんが、私は初日のフィナーレを単純に楽しみました。
これから2度目見に行くぞ。 − 行きました。笑いました。
短篇
今年からコンペになります。
ホラー、コメディー
フィナーレ
この監督が2013年に撮った殺人の告白の日本版リメイクが22年目の告白 私が殺人犯ですです。日本版は既に捻ってある韓国版をさらに捻ったそうです。推理小説ファンには受けるかも知れません。
トレイラー: ずっと前に中国か香港で作った女性暗殺者養成コース卒業の女性のアクション映画がありましたが、それと似た感じです。ただ、アクションはこちらの方が頑張っています。そこへどうやら大甘のメロドラマが絡むようです。
トレイラーの印象なので、実際に見たら全然違っていたなどということもあり得ます。
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